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大魔王を倒したらどんな願いでも叶えてくれるそうです。繊細さん(HSP)な僕は殺された彼女を生き返らせます。  作者: かたりべダンロー
異世界城内編

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犯罪者の集まる異世界

良かったら読んでいって下さい。




 ポニーテールの美女は鼻から血を流し、顔も腫れ上がっていた。痛そうだな。彼女の行動に僕は敬意を表するが、今後の彼女に対する風当たりが強いだろうなと少し心配をする。


 黒ローブのスタッフの一人が彼女の前に立ち、呪文を詠唱し出す。スタッフの手が光り出すと、そっと彼女の顔の前に手をかざす。すると、みるみるうちに鼻からの出血が止まり、顔の腫れも引いていく。そして、彼女の顔は殴られる前の綺麗な顔へと完全に戻る。


 向こうの世界から来た僕達の歓声が上がる。これが魔法の力か、すげぇ。僕も魔法の便利さを目の当たりにし、ここが異世界である事を再認識する。


 あっちの方ではチンピラ男の治療も魔法で行われている。同じように顔の傷が治って行く。しかし、チンピラはかなり怒っている。今にも、ポニーテールの美女に殴り掛かりそうな勢いだ。


 それを見て、黒ローブのスタッフの一人が声を上げる。


「あなた達、二人には三日間、独房に入ってもらいます。つまり、あなた達二人は他の人よりも戦いの準備をするのが、三日間遅れる訳です。これはペナルティーです。十分に後悔して、反省して下さい」


 そして、ポニーテールの美女とチンピラの男は黒ローブのスタッフ達に別々に連れて行かれる。チンピラの男は抵抗しているが、しっかり抑えられ無理やり連れて行かれている。

 

 すると、僕の後ろの方から、会話が聞こえて来る。


「なぁ、さっきの男って強盗殺人で指名手配になってたゴウケツじゃないのか?」


「あ、そうだ。ニュースで見た事がある。まだ警察に捕まらずに逃げてるって言ってた。まさか、異世界に逃亡して来るなんて恐いよ」


 殺人を犯して指名手配されている人間が異世界に逃亡しているだって。僕はその言葉を聞いて、怒りが込み上げて来る。そして、身体がブルブルと震え出す。


 向こうの世界で人を殺したのに、異世界に来たからって無罪になるんですか? 何の罰も与えらず、こっちで楽しく暮らすんですか?


 それで、殺された人の家族や友人、恋人が納得するんですか? そんなにこの世の中は、悪い人に有利な理不尽な世の中になっているんですか?


 僕はそんな事許せない……。絶対に許せない……。


 そんな感情のまま、僕はサイコパスの経営者クロスギに近付いていく。

 

「クロスギ社長ですよね? 僕は山川優人と言います。早崎礼子さんを知ってますよね?」


 クロスギは眉一つ動かさず、僕の方をじっと見る。僕の事を何者か見定めようとしている冷たい目だ。


「私はクロスギですが、そんな女性は知りませんよ。山川さんとおっしゃりましたっけ? あなた一体何をされてた方なんですか?」


「僕は作家です。そして、早崎礼子さんとお付き合いをしていました。早崎礼子さんはあなたの会社で勤めていた女性ですよ。あなたが知らないはずがない」


 僕はクロスギを問い詰める。しかし、クロスギは表情一つ変えずに淡々と応える。


「知らないものは知らないですよ。あなたは何か勘違いをされてるんじゃないですか?」


 嘘だ。明らかに嘘だ。サイコパスは平気で嘘を付く。やはり、レイコの言ってた通り、この男怪しい。僕はさらに追求をしていく。


「勘違いなんかじゃないですよ。だって、あなたはレイコの葬儀の時に来てましたよね? 会社の代表として。そして、レイコの殺害現場でも、僕と会いましたよね? 単刀直入にお聞きします。あなたがレイコを殺したんですか?」


 クロスギはヘビのような目で、僕をじっと見ている。そしてまた、感情を全く見せずに僕に応える。


「知らないと言っている人をどうやって殺すんですか? 私は殺してないですよ。あなたの話はムチャクチャですね。ひょっとして、頭の悪い方なのですか?」


 僕は頭に来すぎて絶句する。この男を殴りたくて拳をギュッと握り締める。


「あなたの質問は正直、無意味ですよ。仮に私がその方を殺したとして、はい、殺しましたと素直に認めると思いますか? 普通なら思いませんよね? それにですよ。もし、仮に私が殺人を認めたとしても、何の罪に問われるのですか? この世界に警察や裁判所があるのですか? あったとしても、私が行った行為は向こうの世界での事だ。どうやって裁くのですか? だから、あなたの質問は意味がない。ナンセンスです」


 クロスギはあざ笑って、僕の方を見る。目は笑っていない。口元だけが笑っている。まるで、作り笑いのような笑顔だ。これもサイコパスの特徴だ。


 奴と話してみて、ますますレイコ殺害の疑惑が深まる。そして、僕は怒りの感情を抑えながら、クロスギに応える。


「……そうですね。確かに無意味な質問でしたね。スイマセンでした……」


 僕がそう言うと、クロスギはクルッと身体を返して、自室の方へと去って行く。怒りで僕の身体が震えている。僕は奴の後ろ姿をじっと睨み、唇を噛む。


 確かに僕の質問は無意味だった――――。

 誰がレイコを殺したかなんて関係がない――――。


 僕が大魔王を倒して、願いを叶えれば、全ての問題が解決する。


 僕が必ず、レイコを生き返らせる……。


 僕はその為に異世界に来たのだ……。


 僕はその為にこの命を懸ける……。




 


 


 


 

 




読んで頂き、ありがとうございました。

もし良かったら今後の執筆の励みにしますので、ブックマーク、評価などをよろしくお願いします。

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