27【台風の予兆】
しばらく近くに台風が来るらしく、台風対策の手伝いをしていた。
そしたら、夜に「フェアリノス」で歌うノアちゃんを見に行ってもいいことになった。
ただし、あまり長居しないことが条件。
マスターの意向で、ノアちゃんは『プリンセスライン』のドレスを着ている。
マスターがお酒じゃなくてノンアルコールのカシスオレンジを出してくれた。
綺麗でとっても素敵な歌声。
妙に嬉しい。
歌の途中で視線があって、少しぎょっとしたノアちゃんは微笑した。
実は来ていることを秘密にしておいた。
歌が終わって、そしてそこで、店内に『うわさ好きのばばぁ』を発見。
その横に、『危ないじじぃ』がいて、私に近づいてくる彼女に近づきだした。
「ノア君、危ないっ」
席から立ち上がった私を一瞥して、『彼女』を見たじじぃとばばぁが二度見した。
客前で、男性化したノア君。
店内がざわつく。
「・・・すごいっ!!マジックってこれだったんだっ?」
私の機転に、店内から拍手が起った。
ノア君は挨拶のポーズをお客にして、私に近づくと腕をつかんで外へと出た。
「仕方ない。お嬢さん、代金はいらないよ」
マスターののんびりした声に、中から「アトリメデューナ!」とばばぁが叫ぶ。
「家まで送るよ」
「もし女性化したら夜道は危ないよ」
その時、店の扉が開いて、おもむろに外に出てきた人物がいる。
危ないじじぃは、背中をかくような仕草をした。
そして留めてあったのだろう刃物を取り出し、ガムテープをはがした。
「君たちを・・・犯して殺して・・・食べたい」




