26【元勇者の天秤】
自分としては、逃げて行く危ないじじぃを早々と元勇者さんに倒して欲しかった。
そう言うと、元勇者さんは苦笑した。
「俺はまだイカれてて、だから花屋してんだわ」
元勇者さんが勇者だった頃、最愛の相棒がいた。
勇者さんを助けるために、その最愛の相棒さんは代価として消失したらしい。
どんな悪党をこらしめても、勇者さんにとっては個体として意味がなくなる時がある。
・・・そう言われた。
相手が特殊能力者の場合、罪の見え方が違うと言われて不思議な心地。
罪が見える能力、っていうものを、なぜか知っていた気がした。
どこかで見たか聞いたかしたような・・・不思議な心地。
小さい頃にテレビとか読み物で得た知識だったりするのだろうか?
よく分からない。
元勇者さんは、「泳がせてみようかな」とぼやいていた。
普通のひとじゃないことは気づいているつもり。
惹かれた分、退いた気もする。
正義の天秤がおかしくなった元勇者さんは、外猫アンジーを知っていた。
勇者さんには「ミオリン」と呼ばれているアンジー。
「多分、外猫が知らせてくれるだろう。その時は協力するよ」
アンジーを撫でながら、元勇者さんはそう言ってくれた。
両手の薬指に指輪をしている。
右が魔法石指輪『藏之助』で剣とか入ってるのかな、って思った。
ノア君からもらった薔薇の花は、ドライフラワーにしたら長持ちするかな?
ちょっと、のんきなこと書いてしまった。




