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21【うわさ好きのばばぁと危ないじじぃ】
「ちょっと、ねぇ、ちょっと・・・荷物重いから手伝って?」
ノア君との約束があったけど、時間に余裕があったから老婆の荷物を持ってあげた。
どうやら荷車が壊れたらしい。
「見かけない顔ねぇ?どこの子?」
「いえ、お気になさらず」
「そーお?ねぇ、知っている?ここらに『おかま』がいるのよっ」
「・・・ん?そのひとは危ないんですか?」
「違うわよ~。あたしの見立てじゃ、ありゃ特別体質だわ」
「え?」
「は、じゃなくて、え、ってどういうことかしら?」
「なにが?」
「あ、違うんだ。あなた、どこに行くの?」
「あっ。また来てやがるっ。ばばぁ、てめぇは関わってくれるなっ。殴られてぇのかっ」
突然飛んで来た声は、中年の男のものだった。
くたくたのYシャツに、くらびれた灰色のズボンに、薄汚れたスニーカー。
舌打ちをして老婆は「こっちだよ」と家のある方向を示した。
いくらかお小遣いをもらったけど、なんだか気分のいいものではなかった。
「いいかい?あのじじぃには要注意だ。頭がおかしい」
お店に向かう頃にはだいぶ時間が経っていて、ノア君がお店の前にいた。
「さっき、危ないじじぃが来てた・・・都合で双子ってことになってるんだ」
「さっき対面したひとかな?」
「かもしれない。近所のうわさ好きなばばぁに気をつけて。そのじじぃの妹だ」




