10【オオカミさんの家におつかい】
おつかいを頼まれた先は、「潤富:うるふ」さんと言う森にある家。
ウルフって言う響きから、屋号は「オオカミ」。
日差しがけっこう強かったから、パーカーのフードをかぶった。
持っているのは野菜や果物や蜂蜜やジャム。
まるで『赤ずきんちゃん』みたい、と内心高揚する。
知ってるのはオオカミさんの家に赤ずきんちゃんがおもむく話ではないし、
かぶってるフードは赤色じゃないけどね。
それにオオカミさんは女性。
森の中で採れる薬草なんかで、貴重な薬酒を造ってくれる役割。
それで日頃のお礼に、若手の私が荷物を運んでいる、ってわけ。
短い階段をのぼって、丸い扉をノックする。
「オオカミさーん、いらっしゃいますか~?」
中から出てきたのは、オオカミさん本人。
「おや、『赤ずきんちゃん』みたいで可愛い。オオカミさんは狩人が怖いぞ~」
苦笑。
オオカミさんは人見知りだけど、私には案外と素の状態で冗談を言ったりもする。
荷物を受け取ると、それを置きにいったん家の中に戻って、薬酒を持ってきてくれた。
「はい、交換」
「はい、交換成立です」
「前より少しだけ飲みやすくなってるかも」
「喜ぶだろうなぁ」
ふふ、と二十代後半か三十代前半くらいの見た目のオオカミさんが微笑う。
「明日は40歳の誕生日なの」
それを聞いて、翌日市販のケーキを買って会いに行った。
歓迎されて一緒にお茶をして、案外と雑談は盛り上がった。




