お互いの肩に手を置いて見つめ合って…
「がっしゅく……?」
おいおいおい…イベントって俺は聞いていたんだが。
言葉のアヤってやつか。確かに合宿よりイベントなんて言った方が聞こえがいいだろうよ。
俺はこれに気付いた瞬間ドッと疲れを感じた。 リテュエルは嘘をつきたくなかったのだろう。
確かに嘘は、ついてない。良かれと思って言っているのかもしれない。でも…なぁ…。。。
現在の俺は、嘘の定義というものを学んだ。
それによると
『人を欺く意思のある言動、全て』
だそうだ。つまり、これはこういうことだろ。
話を戻そう。
司会の兄やんは…
…兄やんでは駄目だ。名前を付けてあげよう。
【豪放の戦士・マルス】
「皆さんは人見知りですか?」
俺達の中で3人くらい当てられて答えた。
「はい」「うん」「人見知りです」
「私もこんな大勢の前で喋ってますけど、初対面の人と話すときは緊張してます。皆、人見知りなんです。人見知りになりたがる必要はないんです。でも、人と話したくないという人もこの中にいるかもしれない」
「試しに聞いていきましょう」
俺もこの質問にはハッとした。
皆さんも考えてみてくれ
『この世界のお金と道具、すべて手に入る代わりに、あなた以外の人間が存在しません。その世界を望みますか?』
さぁ、あなたは?
「いいえ」
「いいえ」
「いいえ」
「そうなんです。皆さん人見知りで、人と話すのも苦手だなんて言ってるけれども、本当は分かってるんです。人間が一番関心を持てるのは人間なんです」
ぐぬぬ…。
確かに俺は友達いないし、いや、むしろいらねぇし『ウエェェェ――イwww』なんてやってる奴等も大嫌いだけどこれには言い返せない。
「私は過度な人見知りを治すのには荒療治しかないと思っている。隣の人と二人一組になりましょう。まず、自己紹介をしてください。」
ふぅーん…めんどくせぇな。
確かに俺は、ここに来る前バロンとも上手く話せず、ラミナさんにも恥じらいや照れくささというカッコ悪さを散々、見せびらかしてしまったけれど、一対一という状況であればてんで普通だ。キャバクラ行くぐらいにな。
俺の隣には少し萎え気質な奴だった。まぁ、ウエエェェ――イ系でなくて良かった。
彼はアーサーと名付ける。
【眠れる輝竜・アーサー】
俺とアーサーが横並びで座っていた椅子を対面に向ける。
(現在の俺は対面に座るだけでも、少し、恥ずかしい。)
「ども、ゼロです」
「あ…ぁ、アーサーです」
こいつ絶対童貞だなw いや、俺も人のこと言えねぇけど。
「歳いくつっすか…?」
「23ですね」
「あ、マジすか…!じゃ、同い年ですね」
「あ……!そうなんですね」
こんな感じの会話をした気がする。特に何も考えず年齢の話をしていたが、今だったら出来ないね( ;∀;)
1分経ったぐらいでマルスが口を開いた。
「皆さんどうでしたか?緊張しましたか?じゃ、今度は喋らなくていいです。。。1分間、相手の目をじっと見つめてください。喋らなくていいので頑張って見つめ続けてください。これは、恥ずかしいですよぉww」
恥ずかしいですよぉww じゃねぇよ。
そんなことやったことない…。皆さんも苦笑いしまくっていた。中には、「ええぇ…(^^;)」という声を上げている人もいた。
そうだよなぁ…。一分間黙って見つめ合うだなんて、これをやったことある人いるんか?
「はい、じゃ、やってみましょーう」
ぐ…。
俺とアーサーは仕方なく見つめ合った。アーサーが男で本当に良かった。これがもし、女でかつ可愛い人だったら俺は恥ずかしすぎて文字通り顔から火が出たかもしれない。
アーサー…、 お前の顔は色黒で少し肌が汚いな。それでも意外とカッコいいんだな。。 さっきこいつ童貞だろう…なんて、思ったけどやっぱ内面というか自信って大事なんだな。顔に出る。
なんて…俺も思われてるのかな。 お前は俺を見つめてどう思っているんだろう。 そんなこと考えると恐ろしい。
たった一分、60秒我慢しよう…。
いや長い、早く終れ。
「はい、一分でーす。」
はあぁ…。俺も他の奴等もため息をついていた。皆さん長い一分だったんだろうなw 俺たちの安堵も束の間、次はもっと鬼畜だった。
「皆さん、慣れてきましたか?じゃあ次は、お互い、相手の肩を掴んで見つめてください。これも恥ずかしいんですよね」
ぅぉぉぉ。
そんなことすんの!??そんなことする必要あんのか?
俺とアーサーは言われるがまま、お互いの肩に手を置いて、男同士で見つめ合った。
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
途中で俺もアーサーもクスッと笑ってしまった。恥ずかしさを隠すための笑いで思わず目を背ける。今思い出すとよく60秒も我慢できたと思う。
「はい、一分でーす。」
(ハアッ、ハアッ、ハアッ)
いやぁーーー長かった。本当に長い一分だ。
「相手の肩に手を置いて見つめ合う、これは抱きしめるのと同じ効果を持っているんですうんぬんかんぬん……」
あぁ、そう。
俺はもう恥ずかし過ぎて放心状態だ。頭がぼーっとする。
「皆さんが少しでも人に慣れたところで、これから10人ずつの2つのグループに分けます。グループ内で、自分がどう変わっていくのか話し合いましょう。一人リーダーも決めてくださいね」
ん?
そうなん?まぁ、ウェエエエエエイ系がいないみたいなので良かった。
俺達はBグループでアーサーと同じだった。だからと言って話すわけではないが。
俺たち10人は、とりあえず自己紹介だけした……
ただ、自己紹介をする、誰からする?ってのを決めるのにも数分掛かった。
初対面の若者10人。お前が主体的に行動しろってのが無理な話だ。
俺からではなかったが、誰かから初めて時計回りに自己紹介をした気がする。
さぁ…リーダーは誰にする…?
「……」
沈黙が流れる。
周りのメンツを見て俺がやってやろうかな…とかも思った。ショボい奴ばっかだし。 いやでも、なんか面倒くさいことあったらな、とか考えて結局、俺は手を挙げなかった。
こういうのってほら、一番年上の奴がやるもんだろ?
じゃあ、俺である必要がないな。
ンなこと考えてたらイケメンが手を挙げた。
「じゃ、俺やるよ」
ほう。やるやん。
こいつは俺より年上だろう。さっき喫煙所にいた中の一人だ。腕に竜の刺青をしていたのでドラゴンと呼ぶ。
「じゃあ、皆で意見出し合いましょう。」
ドラゴンがこう言ったのはいいが、意見つっても…ねぇ。
別に自分を本気で変えたいわけでもないし、一々この場で手なんか挙げねぇって。
と、全員が思っていたと思う。
一方その頃、隣でやっていたAグループでは、はきはきした女の子がリーダーに速攻で決まっていた。 はえぇよ…。
その子は、リーダーって呼ばれていたのでそのままリーダーって俺も呼ぶ。あ、リーダーは可愛い。
『じゃあ、皆で意見を出し合っていいと思ったら、「いいと思います」、って声に出して言おっか』
そう言ってリーダーが次々にメンバーを指名して案を聞いていく。
「何々で……こうしませんか?」
『あ、いいと思います!!!』『私もいいと思います』
俺らのどんよりした空気の中、リーダーの可愛い声が響き渡る。
いいなぁ…、俺もあっちのグループが良かった。
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