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その三十一 待ち合わせとナンパ

美夜子みやこの誘いで休みに出かける事になった望美のぞみ

とおるが来るのを密かに心待ちにする望美でしたが……?


どうぞお楽しみください。

 休日。

 美夜子みやこの誘いで望美のぞみは駅前に立っていた。


「……楽面がくめん君は本当に来るのかしら……」


 待ち合わせの時間まで、まだ三十分程。

 美夜子を信じ切れない望美は、辺りをきょろきょろと見回す。


「よぉ、可愛いお嬢ちゃん」

「なになに〜? 暇なの〜? 俺達と一緒に遊ばな〜い?」


 そこにナンパ男が二人やって来た。

 望美はそんな二人を冷たく見つめる。


「友人と待ち合わせをしています」

「そんなのどうでもいいじゃん。俺達と遊ぶ方が楽しいぜ?」

「車回してくるからさ〜。海でも見に行こうぜ〜」

「大事な約束です。どうぞ他の方をお誘いください」

「そんな事言わずにさぁ」

「その友達って女の子〜? なら一緒に連れてってあげるからさ〜」

「……いい加減にしてください。お断りしているのが分かりませんか」

「怒った顔も可愛いねぇ」

「車乗ったら気分も晴れるって」


 怒気をはらみ始める望美の声に構わず、男達は望美の周りから離れない。

 その時。


「あ、五階ごかいさーん」

「!?」


 とおるが笑顔で駆け寄って来た。

 途端に望美は怒りを維持できなくなる。


「ちょっちょっとまだ待ち合わせより早いんだから、はっ走ってくる必要なんかないんだからねっ! こっ転んだりしないでよねっ!」

「え……?」

「あ、あれ〜? クール系美少女だと思ったのに〜?」


 戸惑う三人の元に、通が到着した。


「あれ? 京極きょうごくさん以外にも一緒に遊ぶ人いるの?」

「こっこの人達は今来たばっかりの知らない人なんだからねっ! かっ勘違いしないでよねっ!」

「あ、そうなんだ」

「……何だよ彼氏持ちかよ」

「行こうぜ〜」


 男達は離れて行き、望美と通だけが残された。


「じゃあ京極さんを待とうね」

「……そうね」


 二人きりの状況に固まる望美。

 美夜子が来るまで、望美は通の話に曖昧な相槌を打つしかできなかった。

読了ありがとうございます。


明らかに勝ち目がありませんからね。仕方ないね。


次回もよろしくお願いいたします。

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