その二十一 ご飯とシェア
服屋を出てフードコートに入った四人。
昼食にも一悶着あるようで……?
どうぞお楽しみください。
ショッピングモール内のフードコート。
『RUM MASSYでの買い物を終えた四人は、席に座ってメニューを眺める。
「俺は日替わり定食だな」
「うち、焼き魚にするわ」
「僕は唐揚げ定食かな」
「……なら私も唐揚げ定食にしようかしら」
通の注文に合わせて、同じものを頼もうとする望美。
その内心では、
(楽面君と同じものを食べる……! これって何か恋人っぽい……!?)
などと考えていた。
しかしその妄想は呆気なく打ち砕かれる。
「あ、五階さん、唐揚げにするの? じゃあ僕トンカツ定食にする!」
「え……」
まるで内心を見透かされ、避けられたと考える望美。
(わ、私と同じものは食べたくないって事……!? や、やっぱりさっきの写真発言が嫌われる原因に……!?)
顔を青くして小刻みに震える望美に、通はにっこり微笑む。
「僕、唐揚げとトンカツで迷ってたから、五階さんが唐揚げを頼んでくれるなら、シェアしたいなって思って!」
「シェア……」
その瞬間、望美の脳裏には、
(私の唐揚げと楽面君のトンカツを交換……!? それって『あーん』的な!? い、いや、違うわ! ……違うけど、何か、恋人よりもっと仲良い感じ……!?)
凄まじい勢いで妙な妄想が流れた。
その沈黙に、
「あ、シェアするの、嫌だった……? それともトンカツは嫌い……?」
と通が不安がる様子を見せる。
「べっ別にシェアが嫌なわけじゃないんだからねっ! とっトンカツも好きだし、勘違いしないでよねっ!」
「よかったぁ」
望美は慌ててそう叫び、通は胸を撫で下ろした。
「……」
そんな二人の様子を辛そうな顔で見つめる美夜子。
それを見た宏人は、
(……さて、どっちを応援したもんか……)
とこっそり溜息をつくのであった。
読了ありがとうございます。
望美の妄想が止まるところを知らない。
次回もよろしくお願いいたします。




