その二十 試着と写真
通が自分で服を選んだ事がないと知り、騒つく三人。
ひとまず通の服を選ぶ事になりますが……?
どうぞお楽しみください。
『服飾の中心』と銘打つ服屋『RUM MASSY』。
四人はそこで買い物をする予定だった。
しかし実際は、
「楽面君にはユニセックスでカジュアルな服が似合うと思うわ。だからこれを」
「いやいや、似合いそうとは思うが、高校生男子がショートパンツはないだろ。せめてハーフパンツで」
「で、でも楽面君細いから、タイトなジーンズとか似合うんちゃう……?」
『RUM MASSY』初体験という通のファッションショーの様相を呈している。
「シンプルな服装の方が楽面君の純朴さには合うはずよ」
「だからってそれ着せたら小学生だろ。もう少し年齢を意識してだな……」
「格好良い系もありやと思うんやけど……」
三人の意見はまとまりそうにない。
そこで通が、
「あの、じゃあ僕とりあえず着てみるよ。それで写真撮ってもらって、家で相談してみるから」
「しゃっ写真っ!?」
「あー、それがいいかな」
「今すぐ買うわけやないもんなぁ」
「……!」
納得する宏人と美夜子の横で、一人テンパる望美。
(私の選んだ服を楽面君が着て、その写真を撮れる……!? 何てご褒美! 保護してクラウドにも上げて、何なら引き延ばして部屋に飾ったりして……!)
夢が広がる望美は、
「どうしたの五階さん?」
通の言葉に更に混乱する。
「べっ別に写真を変な事に使おうなんて思ってないんだからねっ! かっ勘違いしないでよねっ!」
「え……」
「うわぁ……」
美夜子と宏人のドン引きに、自分の言葉がむしろいかがわしさを際立たせたものだと気付いた。
「あ、ち、違うの、これは……」
「うん! わかってるよ! 五階さんはネットに流したりしないって信じてる! だからばっちり撮ってね!」
「……うん……」
嫌われなかった安心感。
信頼されている嬉しさ。
そして写真を私的に利用しようとした事への後ろめたさ。
複雑な気持ちがないまぜになった望美は、小さくそう答えるのだった。
読了ありがとうございます。
まぁ好きな男の子の写真だから多少はね?
次回もよろしくお願いいたします。




