その十八 失言と気付き
ショッピングモールに移動した四人。
いよいよ買い物へと向かいますが……?
どうぞお楽しみください。
土曜日のショッピングモール。
大勢の人が行き交い、楽しそうな声がそこここから上がっている。
「わぁ! 賑やかだね! 京極さん、こういう所好き?」
「え、あ、うん、まぁ……」
美夜子は友達とわいわい楽しむのが好きであって、単なる騒がしさが好きな訳ではないのだが、とりあえず頷いておく。
「それで京極さん、どこに行きたいの?」
「あ、その、服とかを少し……」
「そ。だったら早く行きましょ」
望美はそう言うと、先に立って歩き出した。
自然とそれについて行く形になる三人。
そんな中、宏人がわざとらしく問いかける。
「なーにをそんなに急いでるんだ五階?」
「飛び入り参加の浅井君に話す必要があるかしら」
にべもない言葉に肩をすくめる宏人。
すると通が心配そうに続く。
「もしかしてこの後何か用事があったりするのかな……?」
「べっ別にこの後予定なんか何もないんだからねっ! たっただ服を見に行くのがちょっと楽しみなだけなんだからねっ! 勘違いしないでよねっ!」
慌てた望美の言葉に、通の顔から憂いが消えた。
「楽しみにしてるんだ! よかった!」
「はわっ!? べっ別にあんたに見せるのを楽しみにしてる訳じゃないんだからねっ! かっ勘違いしないでよねっ!」
「うん! 京極さんと見せ合いっこしたいんだよね?」
「……わかればいいのよ……」
にこにこ笑う通から、溜息をついて目を逸らす望美。
「……あれで隠せてるつもりなんだから、大したもんだよなぁ」
「……うん、そうやね……」
「……?」
宏人の呟きに、美夜子は悲しげな呟きを返す。
その表情と語気に、宏人は何かを察した。
(……成程。京極も楽面の事をね……。これはまた面倒になって来たな……)
宏人は溜息を隠すと、赤い顔を見られないように進む望美と、それに続く通と美夜子の後を追いかけるのだった。
読了ありがとうございます。
三角関係の予感……。
次回もよろしくお願いいたします。




