その十一 お昼と相席
お昼の時間。
転校の挨拶をクラスメイトに誤解され、孤立するかと思った美夜子でしたが、通はそんな事気にしないようで……。
どうぞお楽しみください。
お昼休み。
「……」
クラスメイトから遠巻きにされ、一人での昼食を覚悟する美夜子。
しかし通は全く気にせず、弁当を乗せた机と椅子を持って、美夜子の隣に移動する。
「え、あの……?」
「お弁当、一緒に食べよう! 賑やかなの好きなんだよね?」
「え、えぇ、おおきに……」
戸惑いながらも頷く美夜子。
そこに、
「私もお昼、ご一緒していいかしら」
「も、勿論や……!」
望美も椅子と弁当を持ち、美夜子の前に座る。
(……この二人、うちがやらかしたの気にせんと付き合うてくれるん……? 何てえぇ人や……!)
笑顔になる美夜子に、通も微笑みを浮かべた。
「五階さん、やっぱり優しいね」
「やさっ……!? べっ別に転校生が珍しいから一緒にご飯食べようかなって気まぐれで思っただけなんだからねっ! かっ勘違いしないでよねっ!」
「それでも嬉しいよ。ね、京極さん」
「……うん」
「ふっ、ふーんっ!? まぁ喜ばれたからって別に嬉しい訳じゃないけどねっ! さっさぁ早く食べるわよっ!」
こうして三人は一緒にお昼を囲んだ。
それを見ていたクラスメイト達が、
(あれ……? さっきのって別に嫌味じゃなかったのかな……?)
と思い始めている事を知らずに……。
読了ありがとうございます。
通が仲良くしてたら、大抵の人は良い人に見えるマジック。
次回もよろしくお願いいたします。




