七話 恩人を運んでいたら意味が分からず光始めました・・・
俺は今緑野郎の犠牲者の遺骨を回収しながら、とある事を考えていた。
そうこの世界でのこの国での葬法である。土葬なのか火葬なのか分からないし、よく知識もないのでどんななのが正解なのか正直悩んでいた。
ていうか葬儀とか色々大変だとTVとかでもよく聞くようになっている。でもいつかやらなきゃいけないんだろうな〜とぼんやり観ていたが、ていうか今まさに悩むことになるとは思わなかった。
そう俺はどんよりと意気消沈しながら、どうするべきかと悩む。空間収納魔法に遺骨を一時的に収納しながら回収に没頭していた。
そして先ほどの焚き火の前へと戻ってきた。そして俺の助けになったポーチと地図の類を持っていた女性の遺体がそこにはあった。
終わりましたので……。貴女様の仇はきちんと取りましたので、どうか安らかに。
俺は恩人の遺体に跪き、手を合わせながら礼をした。彼女が居たからこそ俺は道標を得ました。それに多分だが、というか俺の妄想だが、彼女の無念と執念が俺を導いてくれたんじゃないかと思ってしまう。だからこそきちんと俺の役目として果たしたと思う。
そして俺は彼女の遺体を持ち上げる。空間収納魔法の容量がいっぱいになってしまった為、持ち運ばないといけなくなったのである。仕方ないと思いつつ、洞窟の入り口に向かおう。
しかし入り口に人の遺骨はなかったのは、そもそもこの世界の強者というか生態系のピラミッド的にも上の位置なのだろう。つまり奥の方に進むたびに、人の遺骨が沢山あった理由とは緑野郎共の権威を象徴していたのかもしれない。そして下っ端共は、人の血肉をボスに捧げてボスに気に入られようとしていただろう。
まぁ〜今更考えても意味はないだろう。むしろ考えた所で何の意味もない。彼ら彼女らの仇は俺が取った。それだけで充分だ。
むしろ今考えるのは葬法だ。きちんとこの国に則った弔い方というのはしたい。そうじゃなきゃ犠牲者達は報われないと俺は思う。
「はぁ〜誰か教えてくれる人いないかな〜」
そう俺はボソッと口走ってしまう。実際教えてもらうしか道はないしな。村にでも行って教えてもらおう。獅子も消滅してないという事は、きちんと村に辿り着いただろう。
あの獅子のもう一つの能力は居場所が分かるという点だ。つまりこれで村へと迷わず、一直線に行けるという事だ。
うん!?うん!?それで安心して、俺は村に行って安心した日常を生きれるぞ!
血生臭いのは、あまり好きじゃないし、争いなんてもってのほかだ。村に行って保護してもらえば楽に生きれる。
そう俺は、恩人を持ちながら入口へと行こうとした時…………
恩人が光り出した。
うんうん……うん?うん…………??うん!?へ!?
「えっえっえっどゆこと?なんで光ってるの?爆発でもするの!?いやそしたら杭を抜いた瞬間、接触した時に爆発するしな。それに緑野郎にそんな知能は流石にないだろう。それじゃこれはなんだよ。意味わかんないよ。この人が特別な何かなのか。いやそれもないな。そしたら杭に刺されたままなんておかしい。そしたら時限式な何かが発動したのか。それもないな。そしたら、復活した瞬間緑野郎にめった殺しにされるに決まっている。それに復活出来るほどの人ならゴブリンなんかに殺されるのはおかしい。つまりこれも違う。それに緑野郎を討伐した後になってるのを見計らって設定したのか。いやこれも根拠は薄い。俺と彼女は一切面識は皆無。接点ゼロなのにやるとは思えない。なら別の誰かと思っても、それもいつ来るかなど分かったものじゃない。それじゃ後は…………俺が原因?いやいやいや復活のスキルは持っているがこの世界の理を歪めるほどあれな訳はない。一瞬見た時は、頭に過ったがそんな事するほど、面倒な事になるに決まっている。いやそしたら俺の何が原因なんだ。何もスキルを発動してないし、そんなパッシブスキルも覚えがない。なんだ!?何が原因なんだ。俺のスキル群に覚えがないし、つまりシステム的な問題か?それが俺にまだ残ってて。それが俺に勝手に作用したか。思い当たるのが、俺が一才使わなかったシステム。相棒眷属システムか。あれは確かプレイヤー同士で、師匠と弟子的なシステムでプレイヤーに一度だけ許されたシステムだったような。ただ評判は微妙で、あまり誰も使わなかったような記憶がある。しかしあれは二人の同意が必要な筈だ。つまり根拠的にも薄い。いやしかしこの世界ではこのシステムも変質してて、片方の許可があれば可能になったのか。いやそれにしても、復活するのは聞いた事がないしそんなのはなかったはずだ。ていうかそもそも許可なんて発した覚えもないし、口にした訳でも、思った訳でもない。つまりそれも違うような気がする。いや…………よくよく考えたら口にしたな……。さっき……。誰か教えてくれる人いないかな〜ってボソッと言っちゃったな!?いやいやいや!?いや、あれを許可したと解釈するのは無理あるだろ!?いくら変質していたからって、曲解しすぎだろ。あれが許可されただったら、なんだって許可になってしまうよ。変質させた奴頭おかしいだろ!いやいや、キャンセルーーーー!?キャンセル出来ないんですか!?キャンセルお願いします!誰でもいいんで!止まって!?止まれよ!?止まんなかったら、面倒くさい事になっちまうよ!確かに恩人だが、復活させたって周りに知れた瞬間、俺はヤバい事になっちまう。なんで!あのゲームの時のシステムでもキャンセルは可能だったはずだろ!オーマイガー!そのまま相棒眷属システムが、完了しちまうと俺が師匠みたいな立ち位置になっちまう。俺にはそういうの、似合わないし面倒くさいし。だからこそより、このシステム使わなかった訳だし!そういうのは、他のギルドメンバーに任せっきりにしてた訳だし。俺が教えた瞬間、リーダーゲスいですねって直球で言われたからね!だから俺はそれを機に、教えない事にしたから。やめて〜やめてくれ〜!光続けないでくれーーーー!?お願いしますーーーー!?」
俺は、そう慌てながら長く口早に口に出してしまった。それに頭を全力で回転させながら、この恩人の光の理由を、考察していた。
そんな事を考えている途中でも、恩人は光続けていた。それが眩しくて、だんだん光量が増しているような気がした。
そして遺体の傷などが、だんだん修復されていく。
そして俺の脳内に、言葉が響く。痛いよ!?直接言うなよ!?
「相棒眷属システムの承認を得ました。………………完了しました。魂の記録を確認中。……………………確認しました。魂の記録を、魂の修復を開始します。………………………。魂の修復を完了しました。師匠であるユウスケ様のスキル群のデータを、魂にダウンロード中。………………魂の強度が不足しています。魂の強化を行います。………………完了しました。再度実行………………。完了。これより相棒であり、眷属であり、弟子である個体名、アライ・ルナクの起動を開始します……」
うん、このシステムあとで絶対潰す。絶対許さないからな。本当に。
そして彼女の光は収まり、眼を開ける。
「貴方は?」
そう俺に語りかけた。言語機能とかも問題ないようだ。
しかし起きた瞬間、何があったか理解出来ない事だろう。
「俺か?俺の名前は、う〜ん」
そもそもユウスケなんて、名乗っていいものなのだろうか。俺、異世界人ですなんて言ってるようなもんだしな……。う〜む……。
「アディ・ブレード。それが俺の名前だよ」
そしてこれが俺の異世界での名前であり、そのうち世界中で響く事になるなんてこの時の俺は、予想だにしなかった。
七話最後まで読んでくれてありがとうございます。
空間収納魔法は、MPのパラメータによって重量が決まっています。MPが多いほど、重量が増えます。
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