五話 洞窟の中に行くと焚き火をしている緑野郎共がいました・・・
少し残酷描写があるので、注意して読んでいただければ幸いです。
俺は現在、緑野郎ことゴブリン共の住処と思われる洞窟にいた。臭いはというとあらゆる腐敗臭があり、魚や肉の類や野菜などの食品類から、見たくもないような腐敗した存在もいた。
魔物の類だろうか。大元は、狼のような感じだが、尻尾の方は爬虫類のような鱗で覆われている。死後何日とかのレベルの話ではないだろう。何ヶ月かのレベルだな。それに少し腑の辺りを食い散らかしたあと手をつけてないという事は、少し食べたけど美味しくなくて洞窟の入り口付近に置いていたとかそんな感じだと思う。
それに入り口付近の方が臭いが強めだった。これは多分、魔物避けだったり外敵侵入防止の為に腐ったあらゆる物を置いている。そんな気がした。それと同時に他のゴブリンにもここに大勢の仲間がいるよ〜という知らせも込めての臭いかもしれない。ここの洞窟の攻略が終わったらこれらも処分しよう。
そう思いながら着々と、俺は洞窟の奥へと歩みだしていた。しかし明かりなどは無くて、だんだん視界が洞窟の入り口から遠ざかるごとに暗くなってきた。
「合技スキル光の調べ」
俺がそう唱えると、右手側に光っている球体が現れた。それが洞窟を照らしている。
視界も良好になったし、洞窟探索再開だ!
俺がそう意気込みながらまた洞窟の奥へと進んでいくと、何やら光というか熱気を感じた。
岩の陰に隠れながら、チラリと様子を少し見始める。どうやら焚き火をしながら休憩している様子だな。数は三匹だな。緑野郎といえど焚き火するくらいの、脳みそは持ち合わせているのか。なんか原始人的な感じに思えてきた。が一応言っとくが、魔物は魔物。悪逆非道で、人に害しか与えない存在だ。そこら辺は忘れないようにしなきゃいけない。
だから慈悲など必要ない。むしろ嬉々としては言い過ぎだが、倒して、やらなきゃいけない存在なのだ。そこら辺は緑野郎共と人間とは、区別はきちんとつけなきゃいけないな。
それに俺はこいつらに殺される寸前だったんだ。やらなきゃやられるとはこの事だろう。だから俺は、意趣返しの志を持って緑野郎共を殲滅する事にしよう。
あっちも多人数でやってきたんだ。卑怯者とは言ってくれるなよ。恨むなよ。絶対……。
とりあえず、光を一回消すか。スキル解除と俺は、念じると光の球体が霧散していく。成程。やはり念じるだけで、スキルを解除出来るのか。便利だなぁ〜。いちいちコマンドを使って、消すの面倒くさかったんだよな。それにバトル中なんか、そのスキル解除のコマンドをするだけで一ターンが消えるというそこだけはクソ仕様だったな。
洞窟に入る前に、俺は予めナイフを三本ほど生成しておりそれを一本手に持つ。
俺はそういうと気配を完全に脱力させる。そして……
「合技スキル 影蛇首壊」
俺は普通に歩き、その焚き火でゲラゲラ笑ってるような会話をしているゴブリンに背後から近づく。しかし緑野郎達は俺の存在を認知出来ず、一匹のゴブリンの首を、俺は狩った。
焚き火でさっきまで談笑していた奴の首がいきなり落とされた。首はまるで、焚き火によって埋葬されるかのように体と共に前にいき、燃やされ炭になった。それと同時に明かりは無くなり、暗黒へと変える。
しかし俺には暗視があるから、全然大丈夫だ。むしろ暗くなった方がクリアに見える始末である。
そしてゴブリン共は、いきなり友の命が奪われてただただ恐怖していた。それもそうだろう。いつ自分の首が、さっきまで談笑していた友の様に落とされるか今か今かと恐怖しながら辺りをうろちょろ見渡して警戒していた。
うろちょろしていて警戒しているという事は、やはりゴブリン共は暗視持ちなのだろう。きちんと辺りを認識している雰囲気を感じる。
早めに見つからない内にケリをつけないとな。そうしないと、バレて仲間呼びされても迷惑だ。
しかし何故侵入者がいると分かっているのに、仲間呼びをしないのだろうか。侵入者がいると確信と認識がないから、呼べないのか。つまり認識して初めて緑野郎共は、仲間呼びが出来るのか。それかここの洞窟の緑野郎共の主が、怖い上位存在で下手に仲間呼びなんてして誰もいませんでした〜。なんて事になったら、多分抹殺されるのかもしれない。
まぁ〜下手に考えても埒が明かないからとりあえずこの緑野郎共二匹を終わらすか……。
俺はまた普通にゴブリンの一匹の後方へと歩き、首を刈り取る。ただ自然な流れのように、ただ農家の人が稲を普通に刈るように、極々自然な動作で俺は緑野郎の首を落とした。
それをもう一匹が、また近くにいる仲間の首が落とされた事を認識して恐怖して洞窟の奥へと逃げ出そうとする。しかしゴブリン共にも恐怖とかそういう、負の感情ていうのはしっかりしているのか。ただ奥に引っ込んで、仲間達と共有して警戒態勢になったら面倒だな。
「飛刃ナイフ」
俺は手に持っていた一本のナイフで、空を切るかのように振り出すと、恐怖して逃げようとしていた最後のゴブリンの首が落とされる。
逃げようとしていた体は、時が止まったかのように停止しながら地面へと倒れる。首も一緒に同様に落ちる。
そして焚き火を少し調査するか。何かあるかもしれないしな。焚き火はいたって普通の人間が同じように簡易的に作れる代物だった。これに関しては、さして問題はない。
そして俺は壁際の方を見た……。そこには人の死体だった。見るも無残な死体に少し俺は、喉を鳴らす。それも女性である。それがまるで見世物かのように木の杭で磔にされていた。
なんでこんな事に、なんでこんな事をするんだ。なんでこんなに酷いことが出来る。魔物だからって限度があるだろう。奴らには限度すら皆無かよ。
俺は糞緑野郎共の怒りがこれで増した。さっき思っていた、人間のようだみたいなやつは撤回だ。徹底的に追い詰めてやる。俺は奴らを根絶やしにして、この女性の無念を晴らしてやる。俺はそう誓いを強くした。
それにしてもすみません。手を合わせてお祈りする。死体漁りをする訳ではないが、身元になる物を持っていたら家族か友人に知らせないといけない。ただ放置して、終わりましたでは彼女も報われないだろう。この洞窟探索が終わってからの埋葬で申し訳ないが、先にやって俺が死んだでは話にならないしな。
ただ身元になる物は先に回収しておこう。俺はそう思いながら、木の杭を外した。外した瞬間、彼女の体が重力の影響で、落ちようとするがそれをなんとかキャッチする。
「すみませんが、少しここで寝ててください。あと少し身元になる物見るだけなので」
俺はそうボソッと呟きながら体を見渡した。そしたら首の方にペンダントがあり、壊さないように慎重に外す。
ロケットペンダント的なあれだろうか。中を覗くと家族の写真が写っており、なおかつその写真の裏には彼女と見られる名前が一つあった。
「アライ・ルナク」
貴女だったんですね。ありがとうございました。ポーチと鎧の件に関しては本当に、本当に助かりました。どうか安らかにお眠りください。
俺はそう思いながら、この女性に礼をする。
この洞窟探索が終わったら、きちんと休める場所に行きますから。それまでは少しの間だけ、待っててください。
貴女をこんな風にした、糞ゲス緑野郎共を始末してきますので、殲滅してくるのでこの間だけ暗いここで少しだけ寝ててください。
俺はそう緑野郎共の殺意と怨恨をよりこの一件で増して、決意を新たにしてまた洞窟の奥へと暗く、先の見えない先へと歩みだした。
五話、最後まで読んでくれてありがとうございます。
「光の調べ」スキル一覧
「光の照らし」球体状の光の玉を生成し、辺りを照らす。「気配ありし感覚」生物を察知する範囲が広がる。「マップ・リサーチ」一度通った道をマッピングする。(現在は脳内に直接記憶されている)
「影蛇首壊」スキル一覧
「影の歩法」敵対生物に察知されにくくなる。「自然な暗殺」対象に察知されてない場合、クリティカルヒットになる。「首刈り」クリティカルヒットした場合、威力が二倍になる。「蛇成」対象を一撃で倒した場合、気配を察知されなくなる。「壊した後のこの手」対象を一撃で倒した場合、筋力と俊敏が上がる。
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