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八千職をマスターした凡人が異世界で生活しなくてはいけなくなりました・・・  作者: 秋紅
第三章 冒険者の仕事はしんどいようです・・・
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五十六話 虐殺のようです・・・

 なんかやはり俺の体の具合の調子がすこぶるいい。というよりかは、前回よりさらに動けている気がする。青年状態になっていないのに、強くなっている気がする。それでも青年状態程ではないが。






(マスター)は、一度ナノマシンによる能力の超強化を受けております。それが肉体の活性化にも繋がっておりました。先の死闘により、その結果、(マスター)の中で眠っていたリミッターが解除され、それにより今現在の状態でも、強くなっております」






 要するにレベルの限界を突破して、強くなっちゃったようなもんなのね。それなら納得だわ。






 これもフリーのお陰なのだと考えると、有難い限りだ。






(マスター)の役に立てて、光栄です」






 フリーはそう言いながら、俺の右肩付近より少し後方で待機していた。






 俺の攻撃や動きの邪魔にならないように離れた位置にいるようだった。





 俺は次の標的に眼を向ける。さっき一瞬にして、リーダーのような人の首を掻っ切っちゃったから部下の人達が恐怖しているのだろう。






 しかし逃げるという事が出来ないと考えたのだろう。恐怖により、顔が歪み、鼻水や涙を垂らしてみっともない姿で、悲痛の叫びを上げながら俺に立ち向かってきた。







 圧倒的実力の前に、彼らは何もする事など出来ない。大人しく首を捧げるか、それともみっともなく死を覚悟して抵抗の意思を示すのか、その二択しか彼等には選択肢がなかった。






 俺だって同族である人を殺害する事に関しては、罪悪感がない訳ではない。しかし少しでも躊躇していたら、こっちが息の根を止められてしまう。






 だからこれは俺は、仕方の無い行為であると諦める事にしているのだ。だってそうでもしないと、またいつ襲撃を喰らうのか分かったもんじゃないからだ。






 それに一人でも逃したりしたら、それこそ情報が伝わるのが早く、恨みを募らせてこれより多い人数で襲われる可能性だって充分にある。






 そんな芽は、少しだって潰さないといけない。そんな理由で、俺はこれから同族である人の息の根を止める。その罪は背中で全力で背負う覚悟は出来てる。





「そうだな。クズであるお前らにこれだけは言おう。俺を存分に恨め、恐れろ、泣き出せ、その全てを俺は背負って、今からお前らの命を刈り取ろう。等しく命の潰えた先は、肉の塊なのだから」






 それは彼等の殺害宣言である。俺の眼には、感情が一切籠ってなく、ただ淡々と剣を振るう意志のみが俺を支配していた。





 それを宣言した後、さっき接近していた奴の体を真っ二つに斬り下ろす。






 そのすぐ側で恐怖のあまり、足腰が立たなくなったのだろう。尻餅をついて、なるべく俺から離れようと必死になって後方に下がる。






 俺が真っ二つにした奴とは、仲が良かったのだろう。それが至近距離で真っ二つに斬られた所を見たら、誰だってそうなる。





「安心しろ。お前も一緒にあっちに送ってやる」






 俺は恐怖により怯えている奴に向かって、情けとしてその言葉を発した。






 俺は剣で横一文字に斬り、そいつの上と下で綺麗に分かれた。苦痛の表情のまま、そいつはこの世の生を終えた。






 そいつが斬られた後、他の人達は恐怖のあまり我慢が出来なくなったのだろう。必死になって逃げようと脚を動かす。





 3、4人くらいかと俺は数える。






 上級スキル・追跡者の鉈。俺は剣を投げる。その瞬間、剣が弧を描くようにブーメランの要領で逃走しようとした奴等を全員斬った後、俺の所に剣が戻ってきた。







「絶対、逃す事は許さねぇよ。俺らに殺意を向けたんだ。その罪は背負って逝って貰わねぇと気がすまねぇからよ」






 それを聞いて、観念して首を差し出した者がいた。殊勝な心掛けだなと思い、その首を無痛のまま斬り落とした。





 首はそのまま地面に立てかけられたかのように、ボトっと落ちていく。その表情は生に諦めたような表情をしていた。





 人を斬り殺す時、より相手の表情がよく見えてしまうな。






 死ぬ間際の奴が、どんな感情でこの世を去ったのか表情をつい見てしまうのは、悪癖っぽいな。






 俺は息を大きく吸った。そして剣を鞘にしまう。そして残り数人といった所だろうか。そいつらに眼を向ける。






 八の型・神月・居合抜刀。俺は腰を低くして、脚を前に出す。それは神速の居合である。剣はいつの間にか引き抜かれていた。






 その瞬間、その残り数人の首は綺麗に斬られていた。






 首は完全に繋がっている筈なのに、事切れていた。ただ彼等は立ったまま、気絶してるかのような感じすらしていた。






 しかし完全に死んでいる事は、すぐさま分かった。そいつらの眼には、生気が一切なかった。それが彼等が死んでいるという証明になった。






 それにしても、張り合いのない奴らだったな。おそらく実力的に上の存在との、戦闘をしたりするような集団じゃなかったのだろう。






 よくある護衛のないか弱い商人だったり、村人だったりが主な略奪対象だったのだろう。







 だからこそあそこまで、俺との戦闘で恐怖した。そうじゃなきゃ、一人のリーダーが死んだだけで取り乱したりはしないだろう。






 だからこそ、より疑問に思ってしまう。そんな犯罪集団が、マリィさんを殺害するメリットがあまり考えられない。






 それにそのリーダーは『仕事』と言葉に発した。つまり自主的な行動ではなく、誰かしらからの依頼という線が濃厚だろう。






 その原因を取り除かない限り、マリィさんの命は常々脅かされるだろう。






 それに今回、マリィさんが薬草採取をすると分かっての依頼である。つまり依頼者の特定は容易いだろう。たまたまマリィさんを見つけたというのは無い。あそこまで集団で行動していたという事は、分かっての行動だ。








「おい!! そこにいるのは分かっている。出てこい!」







 俺は木の幹の隠れている奴を大声で呼んだ。気配はしているが、敵意も害意も殺意もないもんだから放置していたがこのままにしていくのもあれだし、それに誰からの依頼なのかと情報を引き出した方がいいだろう。






 木の影から幼い顔立ちをしている少年が出てきた。その眼は何処か諦めたかのような、まるで死ぬ事を覚悟したようなそんな眼をしていた。






 ていうかその少年に俺は見覚えがあった。確かこの町に来る前に、野宿中に俺のポーチを盗んだ少年であった。






 その少年の懐にはナイフを忍ばせているが、それを抜く気などその少年には見当たらなかった。完全に死にたいと言った感じか。






「ほら、俺を殺してくれよ。あんたらを殺そうとした一味だ。その罪は受け入れるつもりだ」







 少年は虚な眼をして、俺に自暴自棄な言葉を言い放った。





 あの後何かあったのだろうか。それも死にたいと思う程の出来事が。






「あんたに殺意も害意もないのは眼を見れば分かる。そんな眼をしている奴の命を奪った所で、目覚めが悪いだけだ」






 そんな眼をしているのを殺すのは、気が引けてしまうしな。ただ俺にはどうしようもないだろう。そこには死ぬ事を受け入れてしまったのだから。






 ただそのままほっとくのも、俺としては出来ない。どうしようかね。






(マスター)の仲間に、勧誘したらどうでしょう?」






 こいつ何言ってるんだ。一応、子供であるが犯罪者集団の仲間という事実は、確かにあるんだぞ。そんな奴を勧誘なんかしたら、俺らのパーティーとしての評価を疑われてしまうぞ。






「しかし彼の隠密性は確かなものです。わざと存在だけを、気配を察知されやすいようにしてましたし。先行しての偵察だったり、情報収集といった部分では、逸材でしょう」






 そういう事なら、戦力アップや後々の将来的な部分から考えると、仲間にした方が賢明か。俺は少しその場で悩みながら考え込む。

五十六話、最後まで読んでくれてありがとうございます



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