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八千職をマスターした凡人が異世界で生活しなくてはいけなくなりました・・・  作者: 秋紅
第一章 異世界で生きなきゃいけなくなりました・・・
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三話 村へと歩こうとしましたが遠くて野宿しました・・・

 俺は今、ヴィーザル大森林という樹海から抜け出し、北東にあるとされている村に行くために歩いていた。地図では近いように表記されていたが、全然近くなかった。もう辺りの空はオレンジ色が支配しており、夕方になり夜になろうとしてると分かる。その地図の縮図法とかどうなってるんだよ。本当に。この地図を初めて作った奴をぶん殴りたくなった。



 仕方ない。野宿するしかないな。食糧に関しては遺してくれたポーチの人に感謝して頂くとして夜の寒さに耐えるように焚火くらいはしないといけないな。ここは森であり、いくらでも焚き火になりそうな枝が沢山落ちているので助かる。



 後は魔物だな。寝込みを襲うような輩は大勢いるだろう。実際夜の方が、安定して狩れるだろうしね。そこら辺はどうしようかな。あまりMPを使う事はなるべくしたくないがこの際仕方ない。血の花の蜜のお陰で、HPとMPのストックは三つあるしね。ゴブリン共にはそういう所では感謝してストックを使う事にしよう。しかし俺の貧乏性のせいかストックを使う事は気が引けるな。仕方ないのだが。




 そう思いながら、所々落ちている枝を拾いながら開けていそうな場所を探して歩いていた。木の葉と巨木により日光が遮られているせいで、土壌がぬかるんでいた。ぬちゃぬちゃという音を立てながら俺は脚が疲労により重くなってる中歩く。早めに開けていて、そこまでぬかるんでない所と湿気があまりない所を探さなきゃいけない。夜になると余計危険性が増してしまう。地図はあるが、この通り役に立つとは言い難くなってきた次第である。一応歩いているルートは地図に記録し続けているが、それも地図という根本が信用にならなくなっていたせいで意味を成していないような気がする。




 そして歩き続けること、数十分は経っただろうか。湿気があまりなくぬかるんでなく開けているという立地条件最高の所を見つけた。うん、自分は贅沢ものだな。うん…………。とりあえず集めた枝を一箇所に纏める。そして本来なら種火をしたりとかそういう面倒臭い工程が必要だが、ここは異世界。スキルが使えるとすると頼らざるをえないのが人の常というもの。楽な方に行くというのも人の常だと俺は思う。




合技(オリジナル)スキル 栄華の炎プロスペリティ・インファイア




 そのスキルが発動すると、火の玉が纏めた枝木を燃やした。メラメラと暖かい焚き火が完成したようだ。




 アースガルドの特徴の一つに、ギルドの紋章とは別にその土地を支配しているなら炎を灯す事が必要だった。このスキルを考える前なら皆街などの魔力とは別に炎を灯すだけの魔力のストックが必要だった。今にして考えると、馬鹿馬鹿しいなと思うがその当時はそれが主流だった。しかし俺はいちいち炎を灯し続けるのめんどくさいし、何より魔力のストックを減らせないのかと思った。炎を灯す為だけに魔力のリソースが割かれるのは俺的に我慢出来なかった。そして俺が考え抜いた先に、出来たのがこのスキルだった。この複合スキルの一つ、栄華の力というのは大元である。これはギルド全体の規模や貢献度によりステータスが上がり、HPやMPすらこの範囲にいる間一括にして考える事が可能というものだった。本来は大規模レイドボスとかに使う技であるし使用制限が一週間に一回とか鬼畜そのものだった。しかし俺は規模や貢献度によりステータスが上がるという所に注目した。もしかしたらギルドの象徴たるこの炎も範囲内なのではないかと思ったら案の定正解だった。規模や貢献度によるステータス上昇をギルド内なら発生して、ついでにHPやMPも支障のない範囲で自動的に徴収され、いちいち魔力のストックを作るという無駄なリソースを無くす事に成功した。それと同時に他のギルドがすぐ真似したけど……。懐かしいな〜今ギルドメンバー何してるんだろ。




 いや懐かしんでる場合じゃないな。今はとりあえずこの炎がちゃんと機能してるか知りたい。俺の予想だと、この範囲内の木々の生命力や魔力を支障のない範囲内で炎に還元してくれると思う。うん、炎の勢いは一切衰えてないな。ちゃんと機能してるようで安心した。




 さて次はこっちが問題だな。魔物除けをどうするか。普通に簡易的な結界でいいだろうか。しかし上級の魔物がいる可能性もあるかもしれない。念には念を押すしかないな。命には代えられないし。




熾天使の加護セラフィム・ベネフィット




 黄金のような薄い壁が周りに展開された。それと同時にドッと疲労感が一気にのしかかる。MPのストックが三つあったのが二つ使い一つになってしまった。



 流石伝説級スキルは消費MPも馬鹿にならないな。しかしこれで安全は確保された。この熾天使の加護というのは、あらゆる悪しきものから守るというもの。これは魔物に限らず、敵対してるNPCやプレイヤーすら例外ではなかった。この結界の中に入っても、展開した人間が排除したいという風になったら結界外に追い出す事が可能である。そんな便利なものであるが、MPが今の俺ではストックを二つも切らなければ発動出来なかったようだ。




 スキルやジョブには階級が存在し、その分強いスキルになるというわけだし、ジョブの習得難易度も転職難易度も跳ね上がる。下から順に、下級、中級、上級、最上級、超級、英雄級、伝説級、神級、神秘級、あと例外的に存在するその一人だけに許されたジョブである唯一級というのがある。これはまだ誰もそのジョブに転職してなくて、一人がなるとそれ以降は誰もそのジョブを使う事が出来ない職業である。俺もその唯一級のジョブを数種類マスターしているが、もはやチートの一言だ。




 それにしても安全も確保したし、寒さで凍え死ぬということもないだろう。後はのんびり飯を食って寝るとしよう。それにしてもこのポーチの持ち主は、林檎が好きだったのだろうか。四個程あるからまぁ〜一食分としては妥当だな。腐ってないという事は、ついでに腐食防止の付与魔法(エンチャント)でもかかっている感じかな。




 そう思いながら、林檎をそのままひと齧りする。皮を剥くなんて事は今は出来ないし、そもそもナイフがないから仕方ない。ガリっという林檎特有の音をたてながら、頬張る。まるで採れたてのような瑞々しさだ。採ってすぐこのポーチに入れたのかもしれないな。そして噛む事に、甘さと果汁が出てきて口全体に広がる。うん、マジで美味しいな。これならすぐ四個とか余裕だろう。美味しすぎて食べる手が止まらない。こんなに美味しい林檎を食ったのは久しぶりだな。そう頬を膨らませながら、咀嚼していた。




 そして俺は食べ終わり、土という名の天然ベッドに寝る事にしよう。ゴツゴツした小石などを順次、退けながら快適な空間を作り出した。そして俺は、頭の下に手を入れて、頭の高さを調節する。空を見上げていると、オレンジ色の月が存在しており、空は星が色々密集しており、暗闇の中輝いていた。あの星の何処かに、俺の元いた地球があるかもしれないな。まぁ〜この星の文明レベルは多分中世かそこらだと思うし、ポーチなどを見てみると魔法というオカルトチックな力があるような世界だから俺のいた地球とは別の技術体系があると思う。その技術体系に関しては、少し興味があるな。



 さてと日が出始めたら、すぐ起きて歩く事を再開しよう。また暗くなりそうですなんてなったら洒落にならないからな。そのためにも早く休息をとる事にしよう。




 なんかこう上を見上げてると、転移する前の自分の部屋の天井を思い出す。そして目を覚ましたらこれだからな。一応、この世界で初めての夜。感慨深く色々思いながら、俺は眼を閉じた。

三話最後まで読んでくれてありがとうございます。



「栄華の炎」スキル一覧

「栄華の力」本編内にて     「火の元の労わり」延焼してる元になっている枝などを長持ちさせる

「火の玉」火の玉を飛ばす    「空間温度一定」設定した温度を下回る事も超える事もない

「英気休息」HPやMPを一定まで回復させる「休まりし時」眠り状態時、HPやMPの回復量が上がる


少しでも面白いと感じたらいいねやブックマーク登録お願いします。また次の話もよければよろしくお願いします。

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