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八千職をマスターした凡人が異世界で生活しなくてはいけなくなりました・・・  作者: 秋紅
第二章 遺跡の町は浪漫に満ちてました・・・
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二十八話 遺跡の町に着きました・・・

  俺は長い道のりをひたすら一日半を掛けて歩き続けてやっと目的地である遺跡の町へと辿り着いた。俺はもう足がクタクタであり、太ももが疲労によるものなのか圧迫感があった。

 もう宿屋に行って一日中ぐっすり熟睡したいくらいだ。




 そんな事を思いながら、俺は遺跡の町の入り口の門を潜った。潜った先にあったのは、粘土で固められたような住居に、レンガのように積み上げられた建物、それは俺がよくテレビでもやっているような遺跡の数々が目の前へと並んでいた。

 それは冒険心がくすぐられそうな光景だった。それでいて神秘的な雰囲気も兼ね備えられていた。そんな浪漫の塊が眼前には広がっていた。それだけでもだいぶお腹がいっぱいだなと感じた。




 俺は思わず、「うわぁ〜」と言ってしまった。そんな光景に圧倒されて無意識に口が動いてしまった。




「そんなにこの街並みが凄い?」




 俺の隣にいるアライが俺の顔を見て、そんな質問を投げかけた。




「凄いよ。俺が見た事もないような歴史ある建物が沢山あるんだから!」





 俺の眼が純粋にキラキラと輝いていた。その眼はこの街並み全てにおいてだった。





「そうなのね。とりあえず、宿に行こうか。私も流石に疲れたよ」




 どうやらアライも流石にこの一日半の歩き歩き大会では、疲労感が蓄積されていったようだ。俺とおんなじだった事で少し安堵した気がした。




「そうだね。早く宿に行って休もう」




 俺は嬉々とした声を出しながら、アライに早く行こうと急かした。というのも早く俺は、ベッドでグダグダしたいのだ。情報収集も兼ねての観光は明日行えばいい。とりあえず今先決なのは、旅の疲れを少しでも回復させたいという一点のみが頭を支配していた。

 俺はアライの手を引っ張りながら宿屋に行こうと走った。アライは何故か頬を赤く染めて、驚愕した表情を俺に見せた。




 俺達が急いで宿屋に向かっている途中、俺と同じ位の体格の男の子と肩がぶつかった。その後男の子は急いで走り去ろうとした。

 しかし俺はその男の子の手を掴んだ。なるほど。盗むのに慣れているな。普通に平然と自然な感じでまた俺のポーチを盗んだ。




 男の子はギョッとした顔をして俺を睨んだ。




「何するんだよ!?」




 白々しい顔をしながら、大声を上げた。ポーカーフェイスすらきちんとしている。




「君、俺のポーチ盗んだね。返して」




 俺はその男の子に手を差し伸べて、ポーチを返すように圧を掛けた。




「なんの事だよ!? 言い掛かりは辞めてくれよ!?」




 まだしらを切る気らしい。なら強引に返してもらうしか道はないな。仕方ないけど。




 俺は男の子の手を強引に引っ張って、袖に隠したポーチを無理矢理返してもらった。




「ほらね。こういうのは辞めてくれよ」




 前回も今回もよくポーチが狙われるな。治安が悪いのは納得のいく話なんだが、どうにもそれだけじゃないような気がする。

 俺は男の子の手を離して、帰るように手を振った。




「もう辞めてくれよ。盗むのは」




 俺の観察眼をあまり舐めないでほしい。それにしてもこんな子供も盗むような町か。見た目的にもボロ切れの布で作った服でズボンも何処かで拾ってきたような廃棄物な感じだ。この子個人かそれともその町自体の中の外れにスラム街があるとかそんな所か。

 その子は俺を睨みつけたまま走り去っていった。それにしても前に盗んでいった子と似ていた気がするが、俺の気のせいだろうか。




「あんた――なんか憑いているんじゃない?」




 アライが俺の事を心配しながらそんな事を口にした。いや憑いているにしたってタチが悪いよ。俺が不幸の塊みたいじゃないか。嫌だな。アライさんは本当に。




「そんな事言われたって俺が知りたいよ」




 本当に俺が言いたい事はそれだ。なんで数時間もしない内に二回もポーチという同じ代物を狙われて、挙句にひったくりに会うとか本当に気分が落ち込んでしまう。治安が悪い以外に俺の不幸がそんな出来事を引き寄せてるんじゃないか。俺は少しそんな事を思って、冷や汗を垂らす。




「まぁ…………元々、外れの方は治安が悪いらしいよ。ここは大通りだからまだ何ともないけど、外れだと恐喝や窃盗、殺人が当たり前みたいな無法地帯だって。後は非公認の悪徳ギルドが横行しているって聞いた事があるよ」




 この世界では組合(ギルド)ってちゃんとあるんだ。やはりファンタジーはファンタジーしているのが俺は妙に嬉しかった。




 いやそれよりギルドか……。情報収集には一番手っ取り早い手法かもな。一つの手段として一応頭の隅に置いとこう。




「宿屋で契約(パス)を取ったら冒険者ギルドに行ってもいい?」




 本来ならベッドでグダグダして明日から動きたい事だが、一日、一時間だって惜しいからだった。一刻も早く俺の平穏を安定化させる為にも、情報はなりよりも欲しい代物だ。後気になる事があった。




「行ってもいいけどさ。どうして?」




「どうしてって冒険者になるから。それと気になる事があって年齢制限とかあるの?」




 そもそも俺の肉体年齢的にセーフなのかアウトなのか気になる所だった。ただそころら辺はあまり心配していない。そもそも無法者だって受け入れられるような所だ。普通に年齢制限とかは皆無だと思うが一応聞いとかないと、恐い所があるから。




「アディ――――冒険者になるの?」




 あっそもそもアライは俺が冒険者になる事自体察していなかったようだ。いや会話の流れ的に察してほしかった所だ。しかしアライは驚愕した表情を見せていた。




「冒険者になって上に上がった方がコネクションも出来て、情報が得られ易いと思ってさ」




 聞いた話によると、S級冒険者とかは国全体でも名が轟く程有名人らしい。そんな風になれば、大物の依頼やコネクション、情報を確実に入手出来る。兄貴の凶行の理由だって確実に掴めると踏んでいる。




「危険な仕事だよ? 大丈夫?」




 アライは俺の事を心配してくれているようだ。その優しさが本当に嬉しい。しかし申し訳ないが、これだけは譲れないような重要な選択肢だ。




「大丈夫だよ。俺だぞ?」




 凡人であるが、冒険者になれればそれだけでも充分な儲けだ。アライが俺の事を信頼してくれているなら、俺もアライを全面に信頼するし、それでも辞めて欲しいなら俺はアライを悲しませたくないからその冒険者としての選択肢を排除する。




「そうだね。アディだもんね。分かったよ」




 アライは朗らかな笑みを浮かべて俺が冒険者になる事を認めてくれたようだ。そういう事なら本当にありがたかった。




「それと年齢制限はないけど、試験はあるよ」




 やはり年齢制限とかは無いようだ。それなら気軽に俺も受けれるが一丁前に冒険者ギルドにも試験とかはあるんだ。なんか無法者が集まってそうな感じだったから試験とか無いとか思っていたんだが。




「それってどんな試験なの?」




 試験内容とかは多分、試験傾向とかは偏っているだろう。無法者とかも入れると考えれば、知識などが試されるような内容はあまり入れない。そう考えると後一つ考えられるのが、実力が挙げられる。そもそも実力、戦闘がそもそも出来なければ冒険という危険を冒せないし、仲間も背中を預けられない。一番の有力候補は、その一つかなと俺は考察したが、アライの返答はどうだろうか。




「いつもやっているのは上級冒険者が、直接試験担当で模擬戦して受験者を見極めるようだよ」




 どうやら当たっていたようだ。それにしてもそれならありがたい限りだ。上級冒険者とはどんな感じで、どんだけ強いのか、それとも別の何かがあるのか知るには絶好の機会と思う。実践形式で、尚且つ肌で感じられる程得られる情報量は桁違いに高くなる。楽しみになってきたな。




 俺はそんな事を思いつつ、今日一日のやる事を描きだから宿屋に向かった。

二十八話最後まで読んでくれてありがとうございます



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