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04:浮気対策キャンペーン、始めましたわ

「近年、生徒の浮気が増えているようですわね」


 アタクシは当然ながら生徒会のメンバーも兼ねておりますの。

 これだけ優秀で信頼も厚いアタクシですもの。これ以上ふさわしい人間はいないでしょう?


 生徒会長はエムリオですが、最近は『多忙』でいらっしゃいません。

 ――さて、『多忙』とはどういうことかしらね?


「浮気というのは貴族にあるまじき行為ですわ。ですから、この生徒会で何とかいたしましょう」


 エムリオだけではなく、確実に近年浮気は増えて来ているんですの。

 『真実の愛』だとか言って婚約解消したり、何かしらの冤罪で婚約破棄したり、そんな情けない御令息がたくさん。

 ですから、生徒会の皆はすぐに頷いてくださいましたわ。


 でもただ一人、厄介な奴がおりましたの。

 それは生徒会のメンバーで伯爵令息のアルデート・ビューマンですわ。


「生徒会が厳しい浮気対策を行うのには同意だが、どうして今時期に? それと罰則はどうするんだ?」


「今時期に、というのには別に理由はありませんわ! それで罰則ですけれど、浮気相手の処罰など如何でしょう?」


 アタクシはにっこりと微笑んで見せましたわ。

 こうして外堀を固める。そうすればあの裸女に逃げ道はありませんことよ。


「……。浮気相手に罰則か。それはどうして?」


「大抵は婚約者持ちの御令息の心を虜にするのは、相手側の方ですわ。過去には『魅了の石』とやらを用いたという事例もあると聞きました。ですから、浮気をさせる側が悪なのですわ」


 それからアタクシとアルデートの論争は長々と続きました。

 アタクシ、昔からどうもこいつとは馬が合いませんのよね。伯爵くらいの地位のくせに公爵家のアタクシにタメ口ですし、もう本当に腹が立つ。

 でも彼、生徒たちからの人気はやたらに高いんですのよね。心底不思議なことなのですけれども。


 結局、生徒会の審議で、罰則は『退学処分』となりましたわ。

 ああ素敵。これであの裸女を追い出すことができますわね。


 生徒たちには浮気のところを目撃して報告させるよう、『浮気キャンペーン』を始めることにいたしましたの。

 浮気を暴露した者に少々の褒美を与えるのですわ。


 アタクシってなんて天才。

 さあさあさあ。そろそろ本格的にあの聖女を痛ぶってやらないとですわ。


 エムリオはアタクシのものなのだと思い知らせてやる。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「ご機嫌よう。裸女……失礼いたしました、サオトメ・ヒジリ嬢」


「あ、はい。ご、ご機嫌ようです」


 アタクシが喋りかけると、聖女は黒瞳を見開いて固まっていましたわ。

 まるで悍ましい魔物でも見るような目。そんな視線はこの上なく不敬ですわよ。


「あなたとエムリオが、本来あってはならない行動をしたのを目撃した生徒がいると耳にしたのですが……それについて問いたくて」


 アタクシ直々から詰問してやりますわ。

 どこでボロを出すかしら?


 エムリオと近づいている理由、関係、そして彼と出会った経緯。

 根掘り葉掘り聞いてやりますと、「盗賊に襲われた時に助けられて、その……友人になったんです」と裸女は答えましたわ。

 友人!? あの関係のどこが友人なのでしょう。エムリオはあなたにぞっこんで、アタクシなど見もしないというのに!


「証言は少しずつ集まって来ておりますわ。そうそう、『浮気対策キャンペーン』というのが今実施中ですの。どうぞお気をつけ遊ばせ」


「キャンペーン……?」


「そうですわ。少しでも不貞な行為をなされば、退学処分になりますのよ? ふふふっ」


 それ以来、裸女は黙ってしまいましたわ。

 当然ですわよね。アタクシに逆らえるはず、ありませんもの。


 後は順調に進めて行きましょう。

 とりあえず、裸女と王子の浮気の証言。そしてエムリオを罪に問わないよう、裸女が一方的に絡みついたという証拠。

 未来の王の名が穢れてはいけませんから、そこだけは注意しませんとね。


 そのままアタクシは立ち去り、次の行動をするべく動き出したのですわ。

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