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01:ああもう、許せませんわ!

「気に入りませんわね」


 アタクシが見つめる先、そこにはふしだらな女が立っていましたの。

 黒髪に黒目の女。アタクシより随分背が低く、同い歳だというのにまるで小さな子供のようですわ。


 しかもあの格好。

 全身を剥き出しにして、胸と股間、最低限の場所だけをビキニで隠しているその姿はとにかく滑稽でしたわ。


 あれが聖女だなんて信じられない。

 しかもあんな奴がアタクシのエムリオを奪おうだなんて――。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 アタクシはセルロッティ・タレンティド。

 公爵家の長女と身分は最高、学園内のカースト一位。

 頭脳明晰でありながら絶世とまで呼ばれる美貌を持っていますの。自慢じゃありませんけれど、アタクシ以上に恵まれた女なんてこの世に居ませんわ。


 しかもアタクシの婚約者は、この国の王太子であられるエムリオ・スピダパム。

 彼には少しばかり抜けているところがありますけれど、それを律するのがアタクシのお役目。未来の王妃として支えるのですわ!


 ……と、長年思って参りました。

 しかしここ最近になってアタクシたちの関係を邪魔する者が現れましたの。


 それが聖女のヒジリですわ。

 なんだか、世界の危機だのとなんだのと国が勝手に騒いでおりまして、それを食い止めるためにこことは全く別の世界から呼び出されたらしいんですの。


 でもこいつがもう許せないのですわ!


 王城で行われた『召喚の儀』の時なんて、真っ裸で現れるんですのよ!

 羞恥心のカケラもないのかと正直呆れますわ。呆れるのを通り越して怒りすら感じるくらい。


「あんな奴が世界を救う聖女だなんて信じられませんわ。きっと何かの間違いでしてよ!」


 と、エムリオに言ったのですが……彼には全然聞いてもらえませんでしたの。

 国王や他の貴族たちも、皆馬鹿なのかしら? 裸体を晒すなどと礼儀の「れ」の字も知らないようなクズ女にどうして聖女など努めさせることができますのかしら。


 けれど、いくら公爵の娘とはいえ国のことにアタクシは手出しできませんわ。この時は渋々諦めたのですけれども。


 けれど……まさか、エムリオが浮気するだなんて思いませんでしたのよ!!!


 アタクシの婚約者であり将来の夫となるべくエムリオが、なんと、裸女に溺愛状態になってしまったのですわ。

 男というものは結局は胸。裸女の胸は普通ではあり得ないくらいにバインバインでしたのできっとそこに惚れたのでしょう。

 このアタクシという存在がありながら浮気をするとは命知らずなことですわ。


 どうしてアタクシのエムリオをあんな女にっ。

 ポッと出の、本来ここの世界とは縁も縁もない異世界人に! なんで! アタクシのエムリオがっ!


「ああ……そうですわ」


 怒りに震えていたある日、アタクシはふと思いつきましたの。

 あの裸女をこの学園から追い出してしまえばいいのですわ。


 元よりここは貴族の令嬢令息だけが通う学園。あの平民の女が来ていい場所ではありません。

 なら、少しくらいきつい言葉をかけてもいいですわよね?


 だってあいつはこの学園にとって『お邪魔虫』なんですもの。

 きっと学園長様も喜んでくださいましてよ。ほほほほほ。


 そうと決まれば早速行動ですわ。

 このセルロッティ・タレンティド、あの女に少し『躾』してやりますわよ!




「二度とエムリオに近づけなくなるくらいには厳しくお勉強させませんとね。――楽しみですわ」


 面白い! 続きを読みたい! など思っていただけましたら、ブックマークや評価をしてくださると作者がとっても喜びます。本当によろしくお願いします。

 ご意見ご感想、お待ちしております!

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