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僕はペット枠らしい?

 ぷいぷいぷいぷい。


 後部座席から可愛いアンズちゃんの声がした。

 僕達は事件に巻き込まれて家に帰れない事態に陥りやすいので、出来る限り僕は彼女を出先に連れまわしているのだ。

 モルモットは食事を抜いたら直ぐに死んでしまうという、とってもか弱い生き物なのだもの、仕方が無いでしょう。

 良純和尚には大量うんこ製造機と罵られているけれども。


「大丈夫だよ、アンズちゃん。ダイゴが君をゴンタから守ってくれるよ。」


 ダイゴはここにいないが僕の言葉を聞いているはずだ。

 彼は僕の前世での守護者であり、現在は犬神となって僕を守護してくれている。

 呼べば必ず現れ、呼んで無くても可愛がられたい時には僕の側に現れるが、良純和尚と仲が悪く、彼の読経によって世田谷の自宅から追い払われるなど何度か酷い目に合わされている。

 その為、ダイゴは良純和尚がいる時は殆んど姿を消しているのだ。


「お前の関係は馬鹿で面倒臭い奴ばっかりで、またこんな面倒だ。楊の家ではお前が生き物係だからな。生き物の世話は山口とお前で俺は手一杯だ。」


 楊は鳥を三羽も飼っている。

 今回は山口にかこつけて、自分の愛鳥の世話を僕達に押し付けたに過ぎない。

 ワカケホンセイインコを飼っているくせに、僕の祖父の持って来た文鳥雛を二羽も引き受けるから。


 ところで、良純和尚の言葉から僕と山口は彼のペット同然だったと至極納得してしまった。

 それで彼は僕が欲しくも無い服を勝手に購入しては、僕に着せて遊んでいたのか、と。


 今日の服なんて黒のジャンプスーツだ。

 ジャンプスーツなんて言葉だけでは男の子服みたいだが、ロングのワイドパンツとカシュクール型のタンクトップが合体した思いっきりの女性服である。

 さらに、中に着せられた白のカットソーの長袖は、袖がストライプのレース地で透けている。

 その上、僕の胸元にはネックレスのダイヤが輝くのだ。


 あぁ、ダイヤ。


 僕は世田谷の自宅での彼とのやり取りを思い出した。


「いいのですか?親族の相談を当主が聞く、というシチェーションでこれって。」


 大人しく着飾られてもいたが、一応武本物産の当主として抗議もしていた。


「お前らの相談は俺が受けるから大丈夫だ。それよりも、どうしてお前は俺の買ってやったダイヤをつけないんだ。」


 僕の抗議など何でもないように良純和尚は流して、思いもかけない攻勢をかけてきた。

 彼のいうダイヤとは、僕が女性化した直ぐ頃に彼が僕に買い与えた、プラチナの鎖にダイヤが一粒輝くというシンプルで高価なネックレスだ。

 ダイヤは一カラットぐらいもあり、鑑定書付きのダイヤのネックレスは恐れ多すぎて、孝彦が作ってくれたテレビ台のカラクリ引き出しに大事に片していた。


「ダイヤじゃないですか!落したらと思うと怖くて付けられませんよ。」


 彼はチっと大きく舌打をして、嫌味たらしく長々と溜息を吐いた。


「俺はよ、お前の不運のために買ってやったんだよ。ダイヤは悪運を跳ね返すって言うだろう。お守りはいつもつけていないとだろうが。」


 違う。

 僕が山口の贈ってくれたイヤーカーフを右耳から外さないから、この人は対抗心を燃やしているのだけなのだ。

 良純和尚がとても負けず嫌いな性分な事を僕は学習している。

 大体、禅僧が「お守り」って、そこからおかしくないですか!


「まぁ、いらないなら質屋に売るか。」


「つけます。今日から一生、後生大事に、常に身につけます。」


 良純和尚は僕の返事を聞くや、それはそれは憎らしい勝利の微笑を浮かべたのだった。

 そして、こんな格好で現れた僕に、親族の小母である長柄夫人は全く動揺するどころか、「夫に見せる。」と僕を写真に撮って喜んでいた。


 良いのか?当主がこんなんで。

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