不殺の魔術師　～現冥境奇譚～

2010年を前後して増加した「怪異」は人心的な影響のみならず、物理的影響を齎すまでに発展する。
被害を最小限に留めんと怪異の解析を、或いは鎮圧を行なう者達がいた。
最悪の怪異は成田国際空港貨物ターミナル南部貨物地区を襲った“大災禍”。
施設にいた一般職員達は何が起こったのか判らぬまま消滅した。
鎮圧に参加した術士の殆どが消息不明となり......災禍の現場に立ち、無傷で居られた者は皆無だった。
現場には死者・行方不明者の名が記された慰霊碑が立てられ、災禍跡地は“慰霊の森”として公園化された。

大災禍より12年が経過した。
あの事件で両親を失った青年は、己の在り方に苦悩していた。
祖父、祖母、妹、友人……かけがえのない存在を護るために、自分に何ができるか。
苦悩しながらも、己の殻を破るために足掻いている。


※　バトルシーン有りのため、R15と致しました。