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007 魔法生活楽しみます!

 皆んなが日々成長して行くのに、未だに自分に合う魔法が見付からない__


 そんな現実でも笑ってられるのは、保健室の先生と仲間の存在だ。


 私には秀でた力は無い。


 寧ろ、ただの落ちこぼれでしか無い。


 それでも、保健室の先生は私を必要と言ってくれる訳で。

それだけで力が漲ってくる。


 なにより、私にはいつも励ましてくれる仲間達が存在する。


 誰かの役に立っている。


 意外とその事実だけで強くなれる。


 今日は日曜日。


 ベッドでダラダラしていると、ドアをノックする音が聞こえた。


 ドアを開けると、皆が立っている。


「七瀬!あーそぼ!!」


 元気な声でそう言ってくるまなかに癒される。

 可愛い妹が出来たような幸せな気分。


「うん、遊ぼ!!」

「皆で買い物でも行かないかって、話していた所です」


 望が金髪のポニーテルを揺らしながら、皆の後ろから顔を覗かせた。


「友達と買い物なんて夢のような話なの……」

「え、このみ!そうなの!?」

「あああ!ついつい心の声が!!華さん。今の呟きは忘れて下さい……。恥ずかしいの……」


 そっかぁ。


 このみはこんな感じだからか、女子には嫌われていたからなぁ。


 友達と買い物はこのみにとって、はじめての経験なのかもしれない。


「て、事は僕達四人はこのみの初の友達になる訳だ!!」

「えぇ!友達……。いいんですか!?」


 そう言った、このみの顔は真っ赤に染まり嬉しそうな笑みを浮かべている。

 

 とても、幸せそうな表情はこちらの気分まで良くしてくれる。


「いいに決まってるでしよ!むしろ、私はもう皆友達だと思っているよー!!」

「嬉しいの……!」

「じゃあ、買い物に行きますか!!」


 寮を後にするとデパート行きのバス停に向かいい歩く。


まるで海外みたいなお洒落なバスがやってきて、乗り込んだ。


 椅子に座り景色を眺めていると、お洒落な風景が流れていく。この街には病院が無い。

 回復の魔法で何もかも治せるからだ。


 あっという間にデパートに辿り着き中に入る。

 最初にこの街に来た時、ざっくりデパートの中を見たが、凄まじい広さだ。


 一階は食品売り場。


 そのフロアの大分をスーパーが占領していて、周りに小さな店がポツポツ有る。


 シュークリーム屋さんにアイス屋さんと種類は様々だ。


 突然ピタッと立ち止まった華が、鼻をクンクンならしたかと思うとフラッと歩き始める。


「うわぁ!パン屋さんだぁぁ!僕パン大好きなんだよね!この匂いは良いパン屋さんに間違いないよー!」

「お、お嬢ちゃん。分かっているねえ!」

「帰りに買いに来るよ!」

「待ってるよ!」


 こんなやり取りをみるのも楽しい。


「あっ!」


 ピクリと反応したかと思ったら、花屋に向かって歩き出したこのみの後をついてゆく。

 

幸せそうな表情で観葉植物を見ているこのみ。


「寮の部屋には植物が無いのが不満なの。だから、購入を考えているのです!!」


そう言うと、パキラの鉢植えを手に取り幸せそうな表情を浮かべている。


「このみ。その子買うの?」

「かなり欲しいの。鉢植えは荷物になっちゃうから、帰りに購入したいのですが、売り切れたら悲しくなっちゃうの!!」


 そう言葉にしたかと思ったら、荷物になりそうな鉢植えを購入したこのみ。


 嬉しそうな顔で鉢植えを抱き締めている。


 見た目にも魔法的にも植物が似合う女の子だ。


 それから、色んな店を回った。


 中でも一番盛り上がったのは、服屋さんでそれぞれの好みがモロに出る。


 このみは地味な色を選ぶが、女の子らしいデザインのフワフワした服が好きみたいだ。 

 しかし、実際に購入したのはパジャマ。


「わあ!そのパジャマ可愛いねえ!」

「私はお家がすきなので、パジャマを集める事が趣味なの……」

「パジャマ良いよね!」


 そんな会話をしていると、ショップの袋を手にした皆が集まって来た。


「僕は、普段着が動きやすい服だからパジャマは持ってないんだよね!着なくなった服をパジャマ代わりにしているからさ!」

「私は、ブルーがすきなので似たり寄ったりです……」


 そう言った望の着ている服も、青いワンピースだ。


「皆サイズがあって良いなぁ……」


 そう呟いたまなかの手には、子供服屋さんのショップの袋が握られていた。


 身長が142cmしかないまなかはハズレの無い、子供服をチョイスしているらしい。


「色んなデザインが有るから子供服でも我慢するけど、大人用の店で普通に買い物を楽しむのが夢っ!」


 その後は会話をしながら、雑貨屋さんを回った。


 あっという間にお昼になって、お腹が「ぐう!」と音を立てる。


それに気付いた望が口を開く。


「七瀬!お腹空いた?」

「もう、ペコペコ!!」

「七瀬は食いしん坊なんだから。とりあえず、フードコーナーに移動しましょうか?」

「僕もお腹ペコペコー!!」


 皆んなで最上階まで向かうと、お手頃な料金価格の店を選び中に入った。


 キャピキャピはしゃぎながらメニューを選ぶ。


 魔法少女の人口がそんなに多く無いせいか、店の中はスカスカだ。


 なんだか、貸し切りみたいで嬉しい。


 結局、ご飯を食べた後ドリンクバーで時間を潰した。


 今は、五人でふつうに喋っている。


 しかし、もともとそんなに接点の無かった五人だからこんなに仲良くなれるなんて思ってもいなかった。


 こんな素敵な仲間に出会えて感謝したい。

 やっぱり、私は皆が大好きだ。








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― 新着の感想 ―
[一言] ここまで読めました。 凄く読みやすかったです。 あらすじでは説明多いと書いてましたが、むしろ自分には足りない(笑)。読んでいてもっと説明や描写を増やして欲しいと思ったくらいです。 人それぞ…
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