004 魔法少女とは!
「魔法少女になれたからと言って浮かれてはいけません。魔法少女としての知識を深める為に魔法少女学園の授業に参加してみませんか?」
魔法少女の授業__
「受けてみたい!」
みんなの瞳がらんらんと輝いている。それもそのはずだ。
ダイエットやメイク。勉強や部活。
女の子はずっと自分の理想の姿を追い続けて、日々努力をしている。
それでも、理想の姿になんてなかなかなれないのに、魔法で一発だなんてイージーモードだ。
「良い返事ですね。では、私の後に着いて来て下さい」
そう言うと、不気味な雰囲気の部屋から出て行く老女が。その後を追い掛ける。
「一つ、質問!!この部屋に入って変身出来た訳だけど、出たら魔法が使えなくなるとかない?」
そう切り出したのは、華。
「大丈夫ですよ。この部屋はあくまで魔法力を引き出す部屋な訳ですから、覚えた魔法はずっと使えますよ。まぁ、何か新しい事を覚えたくなったらこの部屋で瞑想するのもオススメです。魔法が解放されやすくなりますから」
「そ、そうか!ありがとう!」
「あと、魔法少女に変身すると全てのパラメータが人間の時より高くなりますのでご注意を……」
「へっ?」
「どういう事なのー?」
「例えば、このみさん」
「は、はい!」
「魔法少女になったら眼鏡が必要なくなりましたね。それは、視覚のパラメータが上がったからです!
その他にも、聴力などが上がっているはずですよ。
まあ、その辺は余り人に被害を与える事は無いのですが、体力的なパラメータも大幅にアップする訳で。
体力、腕力、脚力などが問題だったりします」
さっぱり意味が分からない。
「さっぱり意味が分かっていない七瀬さんの為に、中庭に来ました」
何故か、移動して来た場所は中庭らしいが……。
神秘的な滝に生い茂った緑。
とても学校の中庭には見えない。
「はい!七瀬さん。ここでジャンプしてみて下さい」
「じ、ジャンプ!?」
「そうですね。滝の上の崖に飛び乗るようなイメージで跳ねちゃって下さい」
魔法少女なら不可能な事では無い。
そう信じて飛んでみると軽く滝の上に飛び移る事が出来て感動してしまう。
「はわわわわ!凄い!凄いよ、これ!」
「確かに凄いですが、これを室内でやってしまうと建物が壊れちゃいますよ」
遠くに居る老女の声もハッキリと拾える聴力。
とんでもない力を手に入れたように思える。
ただ、身体能力については老女の言った通りに使い方を間違えたらヤバそうだ。
気を付けなくてはならない。
「まあ、説明はこんな物で終わりにして教室に行きましょう」
「ちょっ、こんな危ない力なら、細かく説明した方が良いんじゃないか?」
「その意見にも一理ありますが、説明ばかりだと眠気に襲われませんか?」
「眠くなるっていうか、寝ちゃいます!!」
「て、事で説明はここまでにして次の場所に移動しましょう」
建物の中に入ると、ニ階に続く螺旋階段を登る。
階段の手すりの細工も細かく施されていて、胸が熱くなってしまう。
階段を上がると、部屋ごとに様々な色の旗が置かれている。
まずは、緑の旗が置かれた部屋に入ると、ほんわかした不思議ちゃん系印象の生徒が多いイメージだ。
教室内の雰囲気がフワフワしていて、居るだけで癒される。
「ここは、緑の教室。今の所回復魔法や補助魔法を主に得意とする魔法少女が集まる場所です!」
次に向かった教室の前には白い旗が立てられているが、教室の中を覗いても生徒は一人も居ない。
「ここは、白の教室なので聖属性を得意とする魔法少女が集まる部屋なのですが……」
「誰も居ない……」
「そうなんですよ。聖属性の魔法少女は全世界で見ても数える程しか存在しません……。
ただ、存在したらかなり主力になります」
主力とはどういう事だろう。ここで魔法を学んで何かと戦うのだろうか?
「主力って、何かと戦うのですか……?」
「貴方達が最低限の魔法少女になれた時に、全てをお話します」
次の教室には青い旗が飾られており、空いた窓をすり抜けた風によってユラユラと揺れた。
「ここは、青の教室。相手の攻撃から、味方を守る事が得意な魔法少女が集まる部屋です。自分の身を犠牲にして、仲間を守ります」
あとは、赤の教室は特殊な職業のアビリティを持った魔法少女が行く部屋だ。
それは、自分の体自身を武器として戦う魔法少女。
格闘系が得意で、身体能力が異常に高い。
普通なら魔法使うのだが、魔法で自分の肉体を改造してしまう。
いわば、脳筋が集まる教室だ。
そして、黄色の部屋。何かを召喚して戦う魔法少女が集まる部屋らしいが、魔法に詳しく無いから想像が付かない。
今現時点で解放されている教室はこれだけ。
他にも様々な色の旗が用意されているが、その色に当てはまる魔法が無いのだと思う。
説明が終わったと同時に強い風が吹き、かなり奥の教室で黒い旗が揺れたのが見えた。
説明を受けたのは良いが、自分がどこの教室に属するのかが分からない。
「あの……」
「はい」
「私達は何処の教室に……」
「大丈夫です。それを知る為に、魔法少女の姿のままで居て貰っているんです。今から私の後に着いてきて下さい」