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023魔法教えます!

 沖田と電話を済ませた近藤は何か言いたげな表情でこちらを見ている。


「魔法……」

「え!?」

「魔法って、私にも使えるのでしょうか?」


 そんな話をしていたら、近付いて来た校長。


「使えるようにはなるじゃろう!

ただし、教えてやっても良いがひとつだけ条件が有る!」

「条件?」

「もう、自分の居た時代には二度と帰れなくなるぞ?」

「なぜ帰れなくなるんですか?」

「お主らの居た時代で、魔法なんか使えたら世界がおかしくなってしまうじゃろ」

「今、こっちに居る新選組のメンバーと相談したい」


 校長が近藤に渡したのは、黒いスマホ。


「連絡取りたいのならそれを使うんじゃ!」


 近藤が先に連絡したのは沖田。


「近藤さん、さっき喋ったばかりなのにどうかしましたか?」

「沖田は元居た時代に帰りたいか?」

「僕は近藤さんに着いていきます」

「分かった」


 沖田は近藤が居たら、どこでも良さそうだ。

 

 そんな事を考えていたら、左之助に電話を掛ける近藤。


「近藤だ!」

「え、あ! 近藤さん?」

「そうです!なあ、左之助……」

「なんだー!?」

「左之助は元居た時代に帰りたいか?」

「帰りたくないです!!」


 そう言ったのは、左之助の子供の茂。


「ちょ。茂!!

今、大事な話してるんだ!!

まあ、家族も皆居るしこの時代で満足してる!!」

「そうか。ありがとう!」


 スマホを机に置いた近藤が、校長に頭を下げた。


「私に魔法を教えて下さい!!」

「本来はここは、男子禁制なのじゃが、まあ、良い!

近藤を魔力の部屋に案内するのじゃ!」


 そう言うと、魔力の部屋に案内する。


 紫の結晶が張り巡らされた、不思議な空間。


「まずは、なりたい姿を思い浮かべるのじゃ。

望、見本を!!」


 校長に言われ、変身する望。

 いつもの格好良さも有る、魔法小女の姿に変身した。


 って、近藤も魔法少女になっちゃうの!?


 正直、余り見たくない。


 そんな気持ちをよそに、瞼を閉じた近藤の周りが白く光出した。

 

 近藤がなった姿は、歴史の本で見た青と白のダンダラ模様の新選組の制服。

 背中には【誠】の文字。


 このみとまなかが絶叫しているが、スルーして置こう。


 て、この隊服が近藤にとっての理想の姿だったのだろう。


「この隊服は持ってくるのは無理だったか、また袖を通す事が出来て感無量だ!」

「感動するのは後じゃ!

次は、腰に差してある刀を手に取るのじゃ!」


 近藤が、剣を抜くと静電気のような火花が剣の周りに纏わりついている。


「待つのじゃ!!

ここじゃ狭いからドームに移動するのじゃ!!」


 始めて、校長の慌てた様子を見た。

 迎えの車に乗り込み、ドームに移動する。


 新選組の隊服を身に纏った近藤は、凄く喜んでいるように見える。


「魔法って、凄いですね!!」

「本当ですよね!」


 ドームに着くと、目を輝かせながら校長の後ろを歩く近藤は無邪気な子供の様に見える。


 ドームに入ると、校長に教えを乞う近藤は凄く勉強熱心だと思う。


「お主の魔法は雷のようじゃ。

お主達の場合、魔法を刀に宿して戦うのが一番強いじゃろう!

いわゆる、魔法剣というやつじゃ!」

「魔法剣?」

「今は静電気のような弱い力しか使えないが、修行次第では雷を落とす事も可能じゃ」

「は、はぁ……」


 不思議そうな表情を浮かべたままの近藤。


「百聞は一見にしかずじゃ!

見せてやるから、こっちに来るのじゃ!」


 校長が指を一本立てると空が白く光り、目の前に大きな稲妻が落ちた。


「まあ、こんな感じじゃ!」

「わ、私がこんな魔法使えるようになるのですか?」

「練習次第ではじゃがな!」

「頑張ります!」


 一体、校長にはどれ程の力が有るのかが分からない。


 ただ、この後近藤はずっと魔法の練習に励んでいた。



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