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020 近藤勇を保護しよう!

 タイムリープすると、死刑場の前にいる。


 死刑場が見渡せる場所に移動して、様子をうかがう。

 後ろ手にされた手を縄で縛られた、近藤勇の姿がよく見えるのは視力が上がっているから。


 見えるだけじゃ無い。

 話し声もよく聞こえる。


 斬首なんて怖く無い訳がないのに、大人しく瞼を閉じてその瞬間を待っている。


 それは、死への覚悟。


「あわわわわ!

もし、このみが死刑になったら、『助けてー!』と泣き喚くのです!!」

「近藤さん。肝が座ってるね……」


 静かにしている近藤に、周りにいる奴らが暴言を吐く。

 

 しかし、近藤はピクリとも動かずにその時を待っているかのように見える。


 時間は刻々と過ぎ、死刑の時間がやってきた。

 近藤の首に近藤の刀が振り下ろされる。


「七瀬!!」

「はい!!」


 時間よ止まれ!!

 心の中でそう叫んだ瞬間、時間がピタリと止まる。

 

 刀を振り下ろしている途中でピタリと止まっている、処刑人。

 それだけじゃ無い。

 木から落ちた木の葉までもがピタリと停止している。


 しかし、今回は華の時間だけは止まっていなかった。


「あれ! あれれ!

僕と七瀬以外、皆動かない!!」


 華がはしゃいでいる間に、近藤の元に急ぐと抱き上げて安全な場所に移動する。


「その役、僕やりたーい!」

「そう思ってたんだけど、華ったらはしゃいでばかり!!」

「あー!許して!」


 そんなやり取りをしている間に、時間を止める事の限界がやってきた。

 時が動き始める。


「おー! 動き始めた! 七瀬の魔法すごっ!」


 今まで、役にたたなかったから皆の力になれて嬉しくて仕方がない。


 ウキウキしていると、目を開けた近藤が不思議そうな表情を浮かべている。


「俺、死んだのか?」

「死んでません!」


 死刑場を見ると、消えた近藤を探している死刑人。

 この事実は歴史ではどんな風に語られるのだろうか。

 歴史は嫌いだけど、そこだけは知りたい。


「俺を助けた理由は?」


 助けた理由は、沖田の説得。

 そして、現代に来てもらう事。


 上手く説明がまとまらないうちに、皆が待っている場所に移動した。

 

 七瀬も華も説明下手だ。

 こういう時に頼りになるのは、望。


「望」

「私達の世界に来てもらうように、説得しなくちゃいけませんね。それに、沖田総司さんの件も……」

「沖田がどうかしましたか?」


 明らかに沖田の事を気に掛けているのが、見て取れる。


「まず、近藤勇さん。貴方は本来ならもう死んでいます」

「それは、分かっています……」

「私達は、未来から新選組を助けに来たのです! 貴方方だからやれる事が有る!

是非、わたし達の力になって貰えませんか?」


 近藤は少しだけ寂しそうな表情を見せた。


「幕府にも裏切られたし……、貴方達に救われた義理が有るから力になりましょう!」

「で、近藤さんにもうひとつお願いが有ります!」

「沖田の事ですね」


 話が早い。


「そうです!

沖田さんの事も説得しに行ったんですが……」


 どうなったか、想像がついたのだろう。

 クスクス笑う近藤。


「あれは、義理堅い男ですから」

「て、事で、近藤さんに沖田さんを説得して欲しくて!!」


 クスッと笑う近藤に近付くこのみ。


「近藤様。笑っている場合じゃないのです!!

沖田様は苦しんでいるのですよ!!」

「ああ、分かっている。でも、その前に……」


 そう口にすると、長いまつ毛を伏せた。


「その前に?」

「私の刀を!」

「え、それは何処にあるのですか?」


 こちらにジリジリと詰め寄って来たこのみが口を開く。


「近藤様の刀は名刀なの!

故に、何処かに売られれたかも知れませんのですよ!!」

「え、それ、何処に有るか分からなくない?」

「ノンノン、ノン! 質屋を当たるのです!」


 それを聞いたくろたんがグルリと回ると、地図の様な画面が浮かび上がる。


「これが、この時代のこの辺りの地図だ!!

赤く光っている場所が質屋になるから、お前ら探しに行くぞ!!」


 近藤の、見張り役になったのは望。


「近藤さん。少しの間この場所を動かないで下さい。貴方はもう死んでいる事になっているので」

「あ。はい」


 地図が示した赤い場所に向かうと、店頭に刀らしき物が何本も並んでいる。


 しまった!!

 こんなに大量に並んでいたら、どの刀が近藤の物か分からない。


「ここには、近藤様の刀はありませんの……」

「え! 分かるの?」

「勿論なのです!」

「流石、このみ!」


 二つ目のお店にも近藤の刀は見当たらない。

 

 最後の店に向かうと、店の奥に大事に飾られた刀が見えた。


「あれなの。近藤様の刀が有ったの!」

「やっと、見つけたか! ボケナスが!」


 サラリと悪口を言ったかと思ったら、着物二枚てお金ね入った財布を出したくろたん。


「これに、着替えて刀を買ってこい!!」


 買い物係に選ばれたのは、華とこのみ。

 正直、時間を止める魔法を使ったからクタクタだ。


 屋根の上に座り、二人の買い物の様子を眺める。


 緑色の着物と赤い着物に身を包んだ二人は、この時代の町娘に見える。


「おじさん! その、飾られた刀が欲しいの!」

「ああ、嬢ちゃん。お目が高いねぇ。これは、値が張るよ!!」

「いくらなの?」


 指定された金額は目が飛び出る程、高い。


「これで、足りるです!」


 そう言うと財布を差し出すこのみ。

 質屋の主人は嬉しそうな顔で、財布の中身を受け取るて刀を差し出した。


 裏通りに移動すると変身した二人が、こちらに向かって来る。


「無事に買えたのです!!」


 その手には、近藤の刀が大切そうに握り締められていた。


 急いで、近藤の元に向かう。

 刀を見るや否や、元気の無かった近藤の瞳が生き生きと輝き出した。


「貴方達は、俺の命を二度助けてくれました!」

「じゃあ、次は沖田様を助ける番なのです!!」

「沖田の事は気に掛けてます。しかし、あれは不治の病を患っています。皆さんの力になれるかどうか……」

「大丈夫。このみが直せる!」


 嬉しそうに、鼻を鳴らすくるみの横に歩いてきたのはくろたん。


「説明するのが怠かったけど!君達は、魔法を分かってないな!!」

「ん?」

「癒しの魔法は傷は直せるが、病気は直せないよ?」

「へっ!」

「そりゃぁ、風邪くらいなら直せるけど……。

結核は無理だろうな!!」


 ガックリしたこのみ。

 

「でも、私が治せなくても現代医学なら簡単に治る病気ですの……」


 いじけながら、そう呟くこのみ。

 しかし、治る病気で安心した。


 子供の時から地面を這うような生活をしていた沖田の最後があんなのは嫌だ。


「は、早く。沖田さんの所に行きましょう!」

「じゃあ、皆集まれよ!!」


 くろたんがそう言うと、魔法陣が浮かび上がる。

 皆、魔法陣の中に集合して、くろたんが呪文をとなえると、光に包まれた。

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