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第3章 餃子アップルパイ
どの次元で燐を人ではなくしたのか私にも分からない。あんなに綺麗な笑顔を晒す彼女への独占欲が私を壊したのかもしれない。
この世には現在過去未来の他、パラレルワールドと呼ばれるに相応しい世界がある。仮想現実に近いそれは魂の永遠性を物語っている。
ラットの糞の臭いの充満した部屋で私は胡座をかいていた。冬の気配の伝わる寒気が裸足の足に伝わる。
ちょっとした毒で悶絶したラットが檻に体当たりを繰り返し、タワーのように積み上げられた檻と一緒に派手な音を立てて転がり落ちた。
「キィキィ…ッ」
荒れ狂っている。
解毒剤を用意する前に私がゆっくりホットココアを飲んでいる間にラット36251号が死んだ。哀れのあの漢字さえ思い浮かばなかった。
檻から出してやると死後硬直が始まった。
私は毒毎ラットを食べると舌なめずりし、ニタリと笑った。私の舌は蛇のように長い。舌ピアスを開けてある。
悪魔としては紳士だが人間としてはチンピラであることを誇りにしていた。