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9 ★使いたい言葉3☞【胡乱(うろん)】



 こんにちは 日向はび です。


「小説で使いたい言葉」第3回をお送り致します。




 今回の言葉は「胡乱」。

 正直使いまくっている言葉ですが、難読漢字に指定されていたりすると聞き、今回こちらを紹介しようと思いました。

 使い勝手はいいんですが、読みにくい言葉なのでフリガナが必要ですね。


 これ以外にもフリガナが必要なのにつけてない言葉を沢山使ってしまっているのではないかと、不安な気持ちだったりして……。

 それでは、早速




【胡乱】


意味☞「疑わしいこと。正体が不明で怪しいこと。確かでないこと。真実かどうか疑わしいこと」





∴∴例文∴∴



「私は魔法使いだからね」


 口髭をなでながら、彼は言った。


「……はい?」


 思わず尋ね返した真由に、彼は大袈裟に首を傾ける。


「聞こえなかったかね? レディ、私の正体は魔法使いだと言ったんだ」


 馬鹿馬鹿しい。と真由は思った。


 雨宿りのために渋々入り込んだ店。

 大量の古書。見たことのない動物の置物。使い方のわからない器械。きれいなアクセサリー。そして初めて見る真っ白なフクロウ。

 何もかもが不思議な店。

 その中で、店の奥からやってきた店主らしき人物が、一番不思議な存在だった。

 全身黒の服装で、雨とはいえ夏だと言うのに長いコートを来て、室内で帽子を被っている。そして手には杖。

 胡散臭い弁舌で真由を招き入れた男は、真由の「暑くないですか?」という問いに、己は魔法使いだから暑くない。と答えたのだ。

 詐欺師を見るような目をしていたのだろう。男はノンノン、とわざとらしく指を左右に振った。


「何事も、初めから疑ってかかるのは良くないことだよ、レディ。証拠を見せよう」


 その言葉に、真由は胡乱げに視線を返す。

 次の瞬間。

 一瞬のことであった。

 男がサッと手を無造作に動かしたかと思うと、その手には小さなトカゲが乗っていた。

 みどりがかったタマムシ色に光るそのトカゲが一体なぜ店の中にいるのか。唐突に何事か。そんなふうにうろたえる真由を放置して、男は杖をくるくると回した。

 こんな物の多い場所でと青ざめる真由だが、振り回される杖が物にぶつかる様子はない。


「さあ、これが証拠さレディ」


 言って、サッと杖の頭をトカゲに向けた瞬間。

 ホワン、だか、ポウン、だか、フョン、だか、なんとも形容しがたい音がしたかと思えば、男の手にうたトカゲは1本のペンに変わっていた。

 先程のトカゲとおなじ綺麗な色のペン。

 呆気にとられる真由に男はポーンと軽くペンを投げる。

 真由は思わず落とさないように必死にキャッチした。

 しかしどう見ても普通のペんである。


「これが魔法だよ、どうかね」


 しげしげとペンを見て、真由は最終的に小さく笑った。


「マジックじゃん。さっきのもおもちゃのトカゲでしぉ」


 男の方眉が跳ね上がる。


「そう思うかね」


「当たり前でしょ」


「ふむ、それなら、そのペンは君に差し上げよう」


 驚く真由に男が続ける。


「今日は深夜0時まで起きていることをオススメするよ」


 意味がわからない。

 お金もないし買えないと言えば、無償でくれるのだという。そうして追いやられるように店から外に出される。

 外は、いつの間にか雨が止んでいた。

 振り返ると店のドアの向こうで男が手を振っている。

 真由は再び男に胡乱な視線を送りつつ、家に帰ることにした。


 帰宅後、何度も見たが、ただの普通の綺麗なペンで、むしろいい物を貰ったなと真由は上機嫌だった。

 すっかり男の最後の言葉を忘れて眠りについた真由は、翌朝悲鳴をあげた。


「と、トカゲがっ! トカゲが部屋にいるー!!!」


 机に置いてあったペンはどこにも見当たらなかった。




∴∴∴∴∴∴




 真由はこの後弟子入りします。

 嘘です。



 いかがでしぃうか。

 まあ要するに、胡乱とは胡散臭~という視線だったり、疑わしいなあ詐欺師か?という態度だったりのことを表現する言葉です。

 個々の感じの意味から推察すると、


 胡乱の【胡】は、胡散臭い、胡座、胡麻などに使われますが、基本的な意味は【でたらめ】です。

    【乱】は、動詞としては【乱れる】です。漢字単体だと、内乱、戦乱、乱心、乱暴、など【秩序が失われる、乱れる、むやみやたらと】という意味です。


 このような漢字の組み合わせのため、基本的には批判的な場面、思考、視線に付随して使われる形容動詞となっているようです。



 使い方では【胡乱な】あるいは【胡乱げな】と使われるのが多いですが、こちら微妙に意味が異なります。


 【胡乱な】は「疑わしい・正体が不明で怪しい・確かでない」というように「断定できる事実」に使われます。

 例としては

 ・胡乱な男・・・・怪しい男

 ・胡乱な書類・・・・不確かな書類

 ・胡乱な言葉・・・・疑う言葉


【胡乱げ】は「疑わしい様子・正体が不明で怪しい様子・確かでない様子」というように「そのような様子」として使われます。

 ・胡乱げな男・・・・・怪しげな素振りの男

 ・胡乱げな書類・・・・・不確かな気配(予感)がする書類

 ・胡乱げに言う・・・・・疑っている様子で言う


 大まかにはこのように分けて使われるのですが、なかなかうまく使いわけが難しいです。

 私はほとんど胡乱げな〜と使うことが多いです。


 私は今後も使い方に気をつけて使っていきたいと思いますが、これは小説に使っていいと思いますか?

 どう思われます?



 間違っている点などありましたら、ご指摘お願いいたします。

 それでは、次回をお待ち下さい。



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