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2-09 vsアンドレアス2

 デュエリングシールドには上下に1本ずつスパイクがついている。スパイクによる刺突攻撃のみ相手にダメージを与えることができるのだ。


 私は外付けの魔石を変更しながら、すり足で移動。

 アンドレアスは暗闇状態なので私の姿を捉えていない。そのうえ速度低下の状態異常もかかっている。無駄な行動をせず、じっと反撃のチャンスをうかがっているように見える。


「先手は私が頂きますね」


 背後を取った。無防備な背中。盾を持ち上げ思いっきり斜めから振り下ろす。

 ――狙うは心臓。クリティカルだ。


 心臓を狙う一撃が相手を貫こうとしたその瞬間、


 フギィッ!


 アンドレアスが体を右に捻る。


「巧い!」


 風圧でこちらの攻撃を感知したのか、それともただの勘か。スパイクは心臓には届かなさそうだ。

 だが、直撃は免れない。


 ピギィィィッ!!


 アンドレアスの背中にスパイクが突き刺さった。アンドレアスが苦悶の叫び声をあげる。

 クリティカルこそしなかったが、十分な手ごたえがあった。



 だが、チャンスの後にはピンチが待っている。

 体勢を立て直したアンドレアスは、こちらを振り返らずに力を溜める、ロッドを振るう。


 私は当然動けない。


「危ない! 最強ボス相手に盾(笑)で接近戦は無謀やったかぁ!?」


 リンが魔法を撃ってアンドレアスの攻撃を止めようとしているが、間に合いそうにない。


 ピギッ、ッイイイィィ!!


 アンドレアスの鳴き声。他の豚よりもつんざくような鳴き声。自分の火力に絶対の自信があるのだろう。勝利を確信しているのかもしれない。



「――残念。この展開も全部織り込み済みなんです」


 私の肩に業火をまとった鉄棒が叩きつけられる。


「そのダメージは――2924やぁ! デュエリングシールド硬すぎぃ!」


 どんな屈強な前衛をも葬ってきた一撃――しかし、それは弱体化デバフがついていないときの話だ。

 アンドレアスがどれだけのATKを誇ったとしても、ATKが3分の2になり、マジックバリアで威力が相殺された上に、耐オークの魔石HRと耐火の魔石Sで威力を軽減されてしまっては、HP3000を削ることさえ難しい。さらにヒートオブハートの効果でHPが増えている。

 結果、私のHPの半分も削れなかった。


 攻撃力低下&マジックバリア&ヒートオブハートのコンボは、他のアンドレアス攻略の動画でもやっていたことだ。大したことではない。


「ふぅ……痛い痛い」


「ゲームやし、痛みなんかあれへんやろ」


「痛くないのに痛いって言っちゃうときありますよね?」


「ある、ある! 大ダメージくらったとき叫び声をあげるのは、JAOあるあるや!」


 私たちはただおしゃべりしているのではない。

 私はリンと交代スイッチして体力回復。さらにバリアを張りなおしている。

 リンはアンドレアスと遊んでいる。アンドレアスには暗闇と速度低下と封印がかかっているので、リンの攻撃魔法になすすべもない。



「交代です」


 私はカメラに向かってそう告げると、アンドレアスの背後に回り込む。

 目は見えていないはずだが、今度は接近に気づいたのだろう、威嚇するためにロッドを適当に振り回してきた。


「それは悪手でしょう?」


 JAOには攻撃したときに硬直が発生する。アンドレアスの硬直は0.4秒にも満たないはずだが、確実な隙となる。テレフォンパンチを避けて相手の懐に飛び込むのは実に容易い。

 だが――


「利用させてもらいます。インデュアペイン」


 このスキルに使用後の硬直はない。私は、アンドレアスのロッドの軌道上に盾をかざす。


 デュエリングシールドとロッドがぶつかった。

 アンドレアスが私に向けて再びロッドを振りかぶる。この戦いで何度も繰り返された光景。私はWDL(武器硬直)で動け――


「――るんですよね、盾を軌道上に『置いた』だけなので」


 攻撃を受けた(ブロックした)のではない。だからWDLは発生しない。

 でも、それだとこちらが吹き飛ばされる。盾を『置いた』だけでは攻撃を受け止めることはできない。

 そこで、インデュアペインを使った。

 インデュアペインを使えば、吹き飛ばされたりよろけたりしなくなる。私は盾を置いただけで、難なくロッドを受け止めることができた。



「ラフィネ! 打ち合いの準備OK!?」


 リンがハイスピードボルテージをかけてくれた。私はカメラに向かってサムズアップ。打ち合いの感覚は掴んだ。負けるわけがない。


「今日の主役は準備万端。さあ、いくでぇぇ! 眼鏡豚なんて一捻りやぁ!」



 その後、インデュアペインの効果が切れるまで、『置き』と『ブロック』を駆使して、アンドレアスと打ち合った。

 硬直がなく、素早く次の行動へと移ることができる『置き』。ATK差にものを言わせて体勢を崩す『ブロック』。この2つの防御行動でアンドレアスの攻撃を徹底的に受け止めた。


 その間、リンは何もしなかったわけではない。アンドレアスの硬直中やのけぞったときに攻撃魔法やデバフ魔法を的確に命中させていた。おかげで私も安全に戦うことができる。


 途中、アンドレアスのヘイトがリンに向いたこともあったが、挑発スキルでタゲを取り、ダメージを負ってから自己ヒールをすることでヘイトを稼いだ。


 第2ラウンド――打ち合いも、私たちの勝ちだ。


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