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1-03 戦闘訓練

前回は評価をいただきました。ありがとうございます。

拙作を読んで評価していただくことは、作品を産み出す私たちにとって替えがたい喜びです。

これからも読者の皆様に愛していただけるような作品を紡いでいきたいと思います。

 目の前に、高さ50センチくらいのキノコが現れた。

 白い柄には眼のような黒い点が2つと、おちょぼ口がついている。


「ぷ♪ ぷ♪ ぷ♪ ぷ♪ ぷ♪ ぷ♪ ぷ♪ ぷ~♪」


 キノコがドレミの音階を口ずさむたび、傘が八色に光り輝く。


「う……うわー! 何これ、キレイ! カワイイ!」


 虹色に光る傘が幻想的だ。つぶらな瞳からは悪意の欠片も感じない。


「このMobモブをよく見ろ。名前とレベルとHPバーが見えるだろう。こいつの名前とレベルを読み上げろ!」


 どうやらこのゲームでは、敵モンスターのことをMobというらしい。


「えー、この子『ハミング』というようですねえ、カワイイですねー」


「レベルはどうした!?」


「レベルなんてどうでもいいじゃないですかー?」


 カワイイなあ……。このMobハミング倒したくないなー。


 数分ほど可愛がっていたが、教官が耳元で「レベルはどうした!?」を連呼するので、仕方なく答えた。レベルは1。要するに雑魚。


「まずはこいつでこのMobを殴ってもらう」


 教官は、いつの間にか持っていた木の枝を私に持たせた。

 ハミングは上目遣いでこちらを見ながら、無邪気に歌い続けている。私の戦意がますます萎えていく。


「殴らないで説明を続けることって、できませんかー」


 教官は憎らしい程スルー。せめて反応くらいしてほしい。



 このままハミングの観察を続けようとしても、教官がそれを許さないだろう。

 私は木の枝でハミングを殴りつけた。

 ハミングは痛そうに眼をつぶったが、HPバーには何の変化もない。


「武器で攻撃しなければ敵は倒せない。殴ったり蹴ったりしても、1ダメージも与えられない」


 なるほど、武器が無ければ戦えないとは、そういうことか。


 そんなことよりも、ハミングが菌糸を伸ばして攻撃を仕掛けてきた。攻撃されたことで私を敵とみなしたようだ。

 だが、ハミングはATKが低いのだろう。ダメージは小さい。当然、ゲームだから痛覚もない。歌いながら一生懸命攻撃する姿も愛らしい。可愛いですねぇー。



「聞いてるのか!? 今度はこの武器を使ってこいつを殴ってみろ!」


 教官が何かを言っていたようだ。私は光る傘を撫でるのに夢中になっていて気付かなかった。武器「Nクラブ」を受け取る。クラブとは棍棒のことだ。

 武器で殴ると、ハミングは目を×にして倒れてしまった。ごめんね。


「武器があれば、Mobであれ他プレイヤーであれ、ダメージを与えることができる。といっても、魔石を填めなければこの程度の攻撃力だな。武器には魔石を填めることができる。武器に魔石を填めれば大幅にパワーアップすることができるぞ。インベントリウインドウと装備ウインドウを開け! クラブにこの魔石を填めてみろ」


 渡されたのは、威力の魔石HR。

 私はインベントリにある魔石をドラッグして、装備ウインドウのクラブにドロップ。

 すると、威力を表すステータスが大幅に上昇した。


「ATKが上昇したのがわかったな。よし、それでこいつを殴れ!」


 再び、ハミングが現れた。


「もうATKの上昇、魔石の効果、十分理解しましたー。頼むから、この子を倒すのは勘弁してくれませんかねー」


 私の希望など教官は聞いてくれないのはわかっている。ブラック企業では日常茶飯事だ。

 社内研修みたいなものだと割り切って、ハミングを倒す。


「さあこの調子で、どんどん訓練を続けるぞ」


 これを繰り返すこと5回。耐久・威力・命中・回避・防御の魔石の効果を確認した。


 耐久とは武器の耐久力(DRA)のことだ。DRAがゼロになれば武器が消滅する。

 また、DRAを消費することでスキルを使用することができる。要はMPの代わりだと思えばいい。


 私の体が黒く光った。またレベルアップしたのだろう。レベルでも何でも上がって、さっさと遊びに行きたいなー。



 その後、講義室に戻ってウォーレスから、戦闘のことで覚えておくべきことを習った。全部、座学で十分でした。







 現在のステータスはこうなった。8レベルになったが、とりあえずステータスポイントは余らせておくことにした。


 名前:Raffine

 レベル:8

 FP:110

 HP:1080

 vit:11

 str:11

 dex:1

 agi:1

 int:1

 res:1

 残りステータスポイント:36





「というわけで、これで訓練は以上だ。所長の部屋に行ってくれ。……、おっと、大事なことを言い忘れていた」


 どうせ課金の話でしょう?


「戦闘中に死亡したときの話をしてなかったな」


 意外にまともな話だった。


「冒険者は死亡しても経験値のマイナスは無いが、装備武器と所持アイテムをその場にドロップしてしまう。装備武器は必ず落とす。パーティーメンバーがいれば、武器やアイテムは拾ってもらうことは可能だが、Mobによっては武器を拾って使うものもいる。死亡は避けなければならない」


 狩場でプレーヤーが使う武器は、Mobが持っている武器より強いに違いない。武器と魔石が全てのこのゲームで、今まで使っていた敵に武器が使われたら目も当てられない結果になるだろう。


「これも重要だ。必ず所持金を1割ロストする。アイテムと違ってマネは拾うことはできない。だから、戦闘に出るときは余計な金は持つな。銀行に預けるといいぞ」


 このゲームでは、お金は金貨などの目に見えるアイテムではない。電子マネーのように実体のないモノだ。所持金はステータス画面で確認できる。



「蘇生スキルは存在しない。死んだら終わりだ」


「何と……」


 どんなRPGでも蘇生スキルは存在していた。死亡前提でバランスが組まれているからだ。


「1人ならまだいい。パーティープレイ中の死亡は特に避けなければならない。セーブポイントに強制的に戻されるから、簡単には合流できない。1人欠ければPTが全滅してもおかしくない。大事な事だが、はっきり言っておく。この世界では死亡とはデスペナ以上にあってはならないことなんだ」


 死亡とはあってはならないこと――ウォーレスの厳しい言葉に思わず気を引き締める。


「だが、戦闘中に死んでも、10秒以内ならば100円で復活できるぞ。しっかり、課金しておくんだな」




 ……前言撤回。

次回は8月12日の12時頃に更新の予定です。




この作品を面白い、もっと続きが読みたいという方がおられましたら、下にある★★★★★のところを押して評価をしていただければ、非常に励みとなります。




こちらも応援よろしくお願いします。


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参考までにURLも張っておきます。 https://ncode.syosetu.com/n9133fx/

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[一言] 最後の課金で蘇生は草 蘇生連打するやつ絶対いそうだわ
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