1-17 デュエリングシールド
本日、1章完結記念ということで4話連続投稿しております。
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私の仕事は、年末は案外暇になる。明日は休みが取れたし、29日から3日までは貴重な正月休みが取れそうだ。
そのためには仕事を片付けなければいけない。今日は、夕方まで得意先の挨拶回り、その後深夜まで書類の山と格闘。もうくたくただ。今日の夕飯はコンビニのサンドウィッチ、冷凍食品のグラタンとゴボウサラダ。思わずため息が漏れる。
食事を終え、外回りでぱんぱんになった脚をケアしていると、RINEが入った。リンからだ。準夜勤だったので、今仕事が終わったらしい。
「休むべきかー、ログインするべきかー」
正直疲れている。
しかし、いい加減デュエリングシールドを装備したい。
「よし、決めた!」
ここで欲求不満を抱えたままだとかえって眠れず、明日ふらふらの状態でプレイするかもしれない。「健全な肉体は健全な精神に宿る」という私のモットーを信じよう。
「レベル上げを頑張ろう!」
デュエリングシールドを装備したい。
その想い1つで、JAOにログインすることにした。
リンと合流。私はどうしてもデュエリングシールドを装備したいと伝えた。
「そうやな……。あのな、盾が持てるようになるまでstrを上げないとあかん。そのためにはレべリング、レベル上げが必要や」
それは私でもわかる。
「ちなみに、何レベルまで上げればいいんですか?」
「そんな大したレベルじゃないと思うけど……シミュレーターで調べるわ」
リンはインターネットにアクセスし、外部サイトを立ち上げた。
「なるほど、35レベルか」
「現在は18レベルですよー、やっぱり無理かな……」
しかし、リンは首を横に振った。
「諦めたら、そこで試合終了ですよ」
私たちが何の試合をしているのだ。
「どうすればいいと思うー?」
「まずは課金。石を1個使えば、30分間得られる経験値量が2倍になる」
「1個で? そんなに安くて大丈夫なんですか?」
経験値2倍の効果は大きい。それが100円ぽっちの価値しかないなんて。
「大丈夫やって。レベルなんか。どうせすぐカンストするし」
そうなんだ……。レベルがどうとか気にしている私は、やはり初心者なんだろうと実感した。
「デュエリングシールドを持つために序盤のメインクエストを俺Tueeして一気に進めるで! そうと決まれば、ダンジョン攻略を速攻で終わらせていい?」
「ええ、もちろん。メインクエストをどんどん進めて経験値を稼ぐ。目標はデュエリングシールドです!」
今度のクエストは、「ネアー」という街がオークに占領されてしまったので、メテオジャムの調査してオークキングを撃破するという内容だった。オークについての噂話を街で集めてから、ネアー、いや「オーク街」というダンジョンに向けて出発した。
「ところでこの宿屋に何しに来たのー?」
メテオジャムに行く前に、なぜかリンに宿屋に連れてこられた。
「お姉ちゃんと、色々ええことしよか」
自分の胸をこれ見よがしに揉んでアピールしてくる。
「時間ないんでしょー。何しに来たんです? ダンジョン行きましょうよー」
いつまでもリンの下ネタトークに付き合う趣味はない。そんな脂肪の塊など羨ましくない。
「そやな。新ダンジョン行くときに、フィールド歩くの面倒くさくなってきたやろ?」
オーク街に行くには、ナナン平野を抜けてクエイ丘陵まで歩かなければいけない。歩いて40分以上かかるという。
「まあ、たしかにー。行けない距離じゃないんですけどねー」
「そこで、リンダちゃん愛用の移動用魔法短剣を使う」
また別の武器を取り出し、私に見せてくれた。
種類:ジャンビーヤ
ランク:SS(ランカー武器 製造者:ギルガメッシュ)
内蔵魔石:耐久の魔石HS×3
防御の魔石HS×2
ダッシュの魔石HS×1
ジャンプの魔石HS×1
クローキングの魔石S×1
ハイスピードボルテージの魔石HR×1
ヘイストの魔石HR×1
ジェットウイングの魔石R×1
「ダッシュとジャンプは見たまんまとして、ハイスピードボルテージは速度強化の自己バフですよねー。ヘイスト、クローキング、ジェットウイングの説明をお願いします」
「そんなに急かさないでほしいな~、あんまりせっかちな男は嫌われるで」
なぜかもじもじと恥じらう振りをするリン。キモイ。
「フィールド歩くの面倒くさがっていたのは誰でしたっけー? 早くしたいという条件を付けたのもリンですよねー? あと、私、男じゃありませんから。クリスマスに男がいなくて、ついに頭おかしくなったんですかー?」
「ク、クリスマスは余計や! 卑怯やで!」
なら、変なこと言うな。変なこと言うと私が突っ込むって分かっているくせに。
「ヘイストは、ハイスピの支援魔法版。クローキングはMobに見つからずに移動できるスキル。ジェットウイングは4秒程高速飛行できる魔法や」
「4秒って短いですねー、そんなに遠くまでは行けないんじゃ?」
「まあなー、私はintがボーナス3あるから25秒程飛べるけど、ラフィネはボーナス0やからな」
「そもそも、これ2本あるんですか? 貸してくれるんですよね?」
「ふっふっふ、この短剣は1本しかないな。けど、このジャンビーヤを2本に増やすマジックショーを見せたるで」
自信たっぷりに胸を反らす。
とりあえず短剣を返すように言われたので、返した。
「種も仕掛けもありません。フレンドリストを開いてください」
とりあえず、フレンドリストを開く。登録されているのは、「*Linda*」と「塩バターパンサンド」の二人だけ。っていうか、知っている人が二人しかいない。
「可愛いリンダちゃんを選択して、フレンドの武器を使用するをクリック」
「可愛いは余計だと思うよー。はい、クリック」
「するとあら不思議」
*Linda*の武器が倉庫BOXに追加されました
のウインドウが虚空に現れる。
「ほう、フレンドの武器を使うこともできるんですねー」
「インベントリに追加してから30分すると消えるから注意な。さあ、オーク街に行くで」
「ちょっと待って。リン、ロープあるかなー? 私をロープで縛れば、リンが飛んでいる間も引っ張れるんじゃない?」
「縛られたいとかええ趣味してますなー、お姉さん」
下卑た笑いを浮かべるな。そういう意味じゃない。
「私もマザーボア戦と違って本気でいく」
リンは装備を変更し、ジョンを倒したステッキを取り出した。全体が黒く、持ち手がぐっと曲がっている。これは前のHRステッキと変わらない。先端が白くなっているだけだ。だが、この武器こそ*Linda*の本気装備だ。
「武器が強くなったからって、やることは変わらんで。ラフィネはしっかりとタゲを取る。このステッキは防御がからっきしやから、ラフィネ頼むで」
「オッケー、任せてください。つなぎのSカタールで十分でしょう」
ショートカットの効果は抜群だった。飛んで走って、敵からは隠れる。あっという間にナナン平野を飛び越しクエイ丘陵を抜け、オーク街に到着した。
オーク街は荒廃した市街地という感じのダンジョンだった。物陰から豚どもが飛び出してくる。ただ、それだけのマップだった。ボスはオークキング(ヴィルヘルム)という大層な名前のボスだったが、完全に名前負けしていた。私も攻撃を受けたが、マザーボアよりも威力はあるものの、ただそれだけだった。
ボスを倒すとメテオジャムが出現する。そのメテオジャムでレスターン(本拠地の街)に戻って王様から次の調査の依頼を受ける。
次のダンジョンは、クエイ丘陵を超えた先にある「タランバ・ハニカム」というダンジョンの調査だった。
タランバ・ハニカムはミツバチの巣をイメージしたダンジョンで、蜂のMobがたくさん出てきた。素早い動きをする蜂は良いエイムの練習台になりそうだ。
ボスはミストレス(タランバ)。蜂というより女王様だった。ボスの火力が低過ぎるせいで、タゲがかえって外れやすかった。そのうえ動きが非常に速く、たくさんMobを召喚するのがやっかいだった。タンクとしては腕前が試された。
「よくやった、Raffineよ。*Linda*よ。褒美をとらせよう」
王宮に戻ってクエスト完了。王様の台詞と同時、私の体が赤く光った。レベルアップだ。
「キター!! これで念願のデュエリングシールドとのご対面やで」
王様そっちのけで、私たちはレベルアップを喜んだ。
急いで宿屋に泊り、倉庫BOXを開く。倉庫BOXは狩場か宿屋でしか開けないからだ。
倉庫BOXを操作する自分の指が震えているのに、気がついた。
所持して装備した時、
「おっと……」
その重さに思わずよろめいてしまう。
「感想聞きたいな」
「ださいデザインに、重すぎる重量。デメリットだらけで、掲示板では、盾(笑)とか言われていましたっけ?」
「そうやな」
「でもようやく自分のものになった。私は今ようやく最初の第一歩を踏み出せたんです。貴女の隣で肩を並べて遊ぶことができるようになったんです。今までここまで引っ張ってきてくれて本当にありがとう。そして、私とデュエリングシールド、これからも応援してください」
リンに頭を下げる。
まいったな、と頭をかく彼女は少し照れているようにも見えた。
名前:Raffine
レベル:35
FP:110
HP:2160(vit:11)
str:56
dex:1
agi:1
int:1
res:1
装備;Uデュエリングシールド
BBAT(ブロック時のATK):30169(str:56)
ATK:12831
HIT:10(dex:1)
DOG:2310(agi:1)
DEF:9610(res:1)
内蔵魔石:威力の魔石U×1
防御の魔石U×1
アームズブロックの魔石S×1
耐久の魔石SS×3
防御の魔石SS×2
威力の魔石SS×1
回避の魔石SS×1
インデュアペインの魔石S×1
スレットトオーラの魔石R×1
1章のストーリーはここで終了です。
次回は8月27日の12時頃に更新の予定です。
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