3.あっちゃん
チュン…チュン…
「ん~・・・・眠っ」
俺は小鳥のさえずる声で目が覚めた。
時計を見ると10時。
休日はいつも少しシャレた目覚ましで起こされる。
…しかし、昨日は驚いたな。
昨日からうちの家には
姉貴の友達の斎藤亜紀さんが住んでいる。
亜紀さんは大学に通うために、
この町に来てアルバイトをしながら
一人暮らしをしていたらしい。
姉貴はそれを知って
一緒に住もうと言ったようだ。
迷惑じゃないんだが…
俺が今まで見てきた女子より
はるかに可愛いわけだから
目の前に立つだけで、
緊張して何も話せなくなる。
正直、一緒に暮らしていて
何とも思わないなんて無理に等しい。
「優介~入るよ~」
色々と考えてる内に
姉貴が部屋に入ってきた。
「いつまで寝てんのよ」
「起きてるし、まずノックぐらいしろよな」
「入るって言ったからいいじゃん。亜紀が昼ごはん作ってくれたから早く食べな」
「昼ごはんって…今何時だと思ってんの」
「寝ぼけてんの?時計見なさいよ」
時計を見ると12時を過ぎていた。
俺2時間も考えことしてたのかよ…
「早くおりといでよ~」
といって姉貴は部屋から出て行った。
亜紀さんの料理って言ってたな…
どんなのだろう?
これは楽しみで仕方ない!
俺は足早に着替えて階段をかけおりた。
ドドドド…
亜紀さんの料理が楽しみで
すごい勢いで階段を駆け下りる俺。
「ふふっ危ないよ」
俺は姉貴に笑われながらも
テーブルに向かう。
「もう少しでできるよ~」
「あっ…はい!」
何でこんなに緊張するんだろうか…
でも…そんなことより…
料理してる亜紀さん…
めっちゃ綺麗だわ…
「鼻の下伸びてるよ」
小声で姉貴に言われ即座に対する真顔に。
「できたよ~~」
料理がテーブルに運ばれてきた。
意外と本格的なものがでてきたぞ。
俺がビックリしていると
「私がバイトしてるお店、フランス料理店でね。店長がたまに料理教えてくれてるの」
と教えてくれた。
どうりで本格的なわけだ。
「すごいでしょ」
何故か姉貴が誇らしげに言う。
「うん、姉貴と違って」
「何だと~このガキめっ」
ゴッ!
「いって~」
頭をどつかれた。
「お姉さまをバカにした罰です。」
「仲良しでいいね~」
亜紀さんが笑いながら言う。
「そうかな?まあ今はお母さんとお父さんいないから私が面倒みないといけないしね」
「良く言うよ。家事やってるのほぼ俺じゃん」
「弁当作ってあげてるでしょ?文句言わないの。そんなことより早く食べようよ」
姉貴には口で勝てるしない。
っていうか何も勝てないかも…
「「「いただきま~す」」」
うまっ!見た目もうまそうだけど想像以上!
「どうかな?おいしい?」
「はい!めっちゃおいしいです!」
「よかった~」
「私のとどっちがおいしい?」
姉貴が聞いてくる。
亜紀さんって言いたいんだけど
姉貴の料理は食い慣れてるのもあってかなり好きなんだよなあ…悔しいけど…
「ん~どっちもおいしいかなw」
迷った挙句、濁した。
「そこはお姉さんって言いなさいよ」
「何でだよ、亜紀さんのもおいしいし」
「二人ともほんと仲良いね」
亜紀さんが言った。
「でしょ~」
また姉貴が誇らしげ言う。
「親子っていうか、友達みたいだよね。ねえ優介君、私と友達になってくれるかな?」
いきなり言われたからビックリして黙ってしまった。
「ダメ?」
あ~この困った顔、最高にいい!
「ぜ…全然ダメじゃないです!!むしろ光栄です」
「ふふ、ありがと。じゃあなんて呼べばいいかな?」
「好きに呼んでくれていいですよ」
「じゃあ優君にするね。私のことはなんて呼んでもらおうかな…」
亜紀さんは考えだした。
俺も少し考えることに
亜紀さん…あきちゃん…あっちゃん
「あっちゃん…」
「あっちゃん?」
声に出てしまってたようで俺の顔は
熱を帯びて赤くなっていた。
「いや…勝手に出ちゃっただけで!ごめんなさい!」
「ううん!あっちゃん良いよ!あっちゃんって呼んで!」
亜紀さんもとい、あっちゃんは
俺の手を握り喜んでいた。
俺は目の前の天使をただ眺めていた。
「あーはっはっは!」
俺の反応は姉貴のツボらしい。
ずっと腹をかかえて笑っていた。
俺とあっちゃんもそれを見て笑いあった。




