2.姉の身勝手
まだドキドキしている…
自慢では無いが、
俺は今まで恋というものをしたことがない。
だからこのときはこの感情が何なのか…
あまりわからなかった。
「まあ、ちょっと座りなよ」
姉貴にせかされ、
カーペットの上に腰をおろす。
「どうも、こんにちは~」
姉貴の友達が俺に言う。
「ど…どうも…」
やばい…
俺めっちゃ緊張してるわ…
「あんた、女子に抗体なかったけ?」
姉貴が俺を笑う。
しょうがねえだろ…
勝手になるんだよ!
と、心の中で言い訳をする。
「そうだ!紹介するね。弟の優介。それで、こっちが私の親友の斎藤亜紀だよ。二人ともこれから仲良くしてね~」
姉貴の友達は亜紀さんというらしい。
でも一つ疑問が。
「仲良くって俺そんなに会わないと思うけど…」
「あっ言ってなかったね。これから敦子はここに一緒に住むんだよ」
………………
少しの沈黙が流れた。
「え!?マジで?そんなの聞いてねえよ」
「言ってないもん。でももう決まったことだし。お母さんとお父さんにも許可もらったし~」
「あの…迷惑ですよね?」
亜紀さんがかわいらしい声で俺に問う。
困った表情がすごくかわいくて
つい見つめてしまった。
「優介君?」
黙ったままの俺を見て
亜紀さんが心配そうに俺を見つめる。
「ぜっ・・全然、迷惑じゃありません!こちらこそ、不束者ですが、どうかよろしく!」
一体、俺は何を言っているんだろうか…
姉貴は大爆笑。
亜紀さんも笑っている。
俺も顔を真っ赤にしながら笑っていた。
もともと自由人な姉だったが
まさか同居まで勝手に決めてしまうとは…
何はともあれ…
こうして亜紀さんとの同居生活が始まったんだ。




