表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/37

8

慣れないことをして確実に疲労が蓄積していることを自覚しつつも、ここ最近真剣に打ち込んだ家庭教師との授業の内容を思い出しながら、シルヴィは自分に声をかけてきた何人もの男性と会話したり踊ったりした。


それが一通り終わったから、シルヴィは給仕係から受け取った飲み物を口に運んでいたニコラスのもとへ歩み寄った。


「ニコラス王子、私、そろそろ失礼しようと思います」


「もうお帰りになるのですか? それは残念だな。お送りしましょうか?」


「では、ちょっとそこまでお願いできまして?」


「喜んで」


二人は連れ立って大広間から出た。


廊下に出て、きょろきょろとあたりを見回し、自分たちしかいないことを確認すると、シルヴィは今までかぶっていた笑顔の仮面を一瞬で脱ぎ捨て、ニコラスの胸倉をつかむような勢いで(実際に彼の胸倉をつかむようなことはしなかったが)彼に詰め寄った。


「ニコラス王子、私とまた対戦して下さい!!」


シルヴィは睨むような鋭い目でニコラスを見つめた。


それに対し、ニコラスは驚きと戸惑いを顔に浮かべた。


「は?」


「負けっぱなしでは私の沽券に関わるわ。だから、私とまた戦って!」


シルヴィが拳を握ってニコラスに迫ったところ、彼は笑った。先ほどの上品で洗練された貴公子の顔ではなく、まだいくらか幼さを漂わせる少年のような屈託のない笑顔だった。


「ああ、いいよ。いつにする?」


「明日の午後、学校のほうに行ってもいいかしら?」


「分かった。明日の午後3時半に、前と同じ裏山はどうかな?」


「分かりました。では、また明日」


明日こそ絶対に勝ってやるんだから!!


シルヴィは胸に誓いながらニコラスに頭を下げ、実家が所有するローゲ市内の屋敷へ戻った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ