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ラザールが休暇でナルフィにいる間、シルヴィは兄が来ない時間帯を見計らって訓練場に足を運び、剣の練習を続けた。


ラザールによく考えろと言われたため、シルヴィも自分なりによく考えた。


けれど何度考えても、彼女の答えは変わらなかった。将来誰かと結婚し、夫やその家族に馬鹿にされても、このフェーベ大陸中の人間に責められても、やはり剣の練習をやめるという選択肢はあり得なかった。それは彼女にとっては呼吸するなと命じられるのと同じだった。


どうやら兄や父の一番の懸念は、このままではシルヴィを嫁に欲しがる貴族がいないのではないか、ということらしい。


だったら結婚しなければいいだけの話だ。


ニコラスへの想いを自覚したはいいが、彼とどうこうなることなんて想像できなかったから、それなら無理に好きでもない相手と結婚する必要性なんてシルヴィには見出せなかった。


それでも、今までとは違って、自分の気持ちがぐらついてしまったのもまた事実だった。


もし剣の練習をやめれば、もっと女の子らしくなったら、ニコラスだって私のことを好きになってくれるのかしら……?


そんな甘い期待で胸がうずく。


ううん、ニコラスには私の素の部分をもう全部知られてしまっているもの……。今さら遅いわ………。


シルヴィは必死に自分の考えを打ち消した。


ところが、彼女の動揺はいくら取り繕っても隠しきれないようで、剣の師であるロイクに


「シルヴィ、最近のお前さんの剣には迷いがあるな。集中できないんだったら剣の練習なんてやめてしまえ。中途半端な気持ちで剣を持ったら怪我をするからな」


と指摘されてしまった。


「いえ、先生、どうか続けさせて下さい!」


シルヴィは懇願し、剣を握る両手に力を込めた。


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