破壊者ギデオン
街に変えり、クエスト成功を伝えるためにマスターを尋ねた、そこには黒騎士が酒を飲んでいた。
元エクスキューター、悪魔殺しの者がいた。
名はギデオン、「破壊者」の意味で、「強力な戦士」または「(木の)伐採者」を指す。彼の物語は『士師記』に記録されており、その記述は『旧約聖書』に編纂されている、最後の士師の名を彼は洗礼名にしていた。
「よぉ、シゲ」
そう言った男の隣の席に座る。
「やぁ、ギデオン、マスター、酒を一つ、あぁクエスト成功してきたぞ」
「ならクエスト成功の祝いだ、店一番のを出してやる」
「それはいいな」
「で、なんだギデオン、引退したお前がなぜここに?」
「そりゃあこの世界そのものがベルゼブブ・プリンスの祭壇だからな、ギデオンの名を持つものとしては許せないのさ」
ーーー神の命令によって、ギデオンは都市にある異国の神バアルのための祭壇と、その傍らにある女神アシェラの像を破壊した。
今日ではバアルはベルゼブブとされる。
「そうか、なら、一緒に壊すか、それが何よりのゲームクリアなのだろう、俗に魔王退治だ」
「あぁ、今となってはお前の腕を借りたいね」
「昔は天魔人として貴様を殺そうとしたが」
「もちろん、悪魔殺しの手段は選ばない、壊せるのならば、天魔の力に妥協するさ、悪魔と天魔は違うし、何よりもお前は良心に目覚めてる」
「その観測眼、衰えてないようだな」
「そうだとも、まだまだ殺したりないのでね」
厚いグラスにアルコール濃度の高い酒がマスターから渡された、それを互いに打ち鳴らす。
「これから凄まじい地獄を越えるために」
「これからの共闘の幸運を祈り乾杯ッ!」