#7 マモル
――空手道場
「おう、来たな!」
空手の稽古場にはすでにマモルがストレッチをしていた。マモルは常に一番乗りでこの稽古場にいる。学校は一番最後なのだが……。
「今日もはりきってんな」と俺が言うと「おう!今日も組手よろしくな!」と再びストレッチを始める。俺も稽古を始める前にストレッチをしておこう……
そして今日の稽古のメンバーが集まった、今日はトモもいる。ちなみに村長は都合があり今日は休みだ。そしてテツジ先生がやってきた……ん?その後ろからもう一人誰かが入ってきた、あの人は……
「じいちゃん!」とマモルが驚く。そう、この人はマモルのおじいちゃんだ。
「今日はアキオさんがもう一人の先生として稽古に参加することになった アキオさん、挨拶お願いします」
「えー……今日はよろしくお願いします」
「「「「「「「よろしくお願いしまーす!」」」」」」」とアキオおじさんに挨拶をする。
「じいちゃん、今日帰ってきたの?」とマモルがアキオおじさんのそばに行く。それにつられて俺らもそばに行く。
「今日帰ってきたんじゃよ、しばらく仕事が続いていたからな……」
「じゃあしばらくここにいるの?」とマモルが言う。
「あぁ、ちょっと仕事の方はしばらく休みだな」
アキオおじさんの仕事は空手の先生だ。色々な大会で優勝もしているほどの実力者だった人で現在は様々な道場で指導者として活動している。
「チヒロ、久しぶりじゃな」
アキオおじさんが優しい声で話しかけてきた。
「どうも……」
「ねぇ、じいちゃん 組手やろ組手!」
「組手は基礎をしっかりやってからじゃ、さてそろそろ始めようかの」
こうしてアキオおじさんの指導のもと、空手の稽古が始まった。そして現在、俺はアキオおじさんと組手をやっているのだが……
「チヒロは少し技をかわすのが遅い、もっと速度をつけた方がいいぞ」
「はい!」
「ナオ、消極的になるな もっと自分に自信を持ちなさい」
「はい!」
アキオおじさんは一人一人の弱点を見つけそれの改善点をしっかりとアドバイスしていく。さすがは指導者だと思った。
「あーやっぱ強えー!」
どうやらマモルとの組手が終わったようだ。
「当然じゃ、お前は守りをおろそかにしすぎじゃ」
「ちぇっ」
「お前の今年の大会の目標はなんだった?」
「……優勝」
「だったら、もっと稽古を積まなければな」
「……じいちゃん、もう一回相手してくれ!」
「おう、いくらでも相手をするぞ?」
……マモルは大会の優勝のために今日もはりきって練習していた。
空手の勉強をしておこうか迷ってます。