#18 手紙
「どういうことだぁー!!!」
さっきまで何も喋らずに手紙を読んでいた村長が急に立ち上がり、天を仰ぎ絶叫した。
なぜ村長が手紙を読んで絶叫したのか、今日の朝まで遡る……。
――朝・村長の家
「エミちゃんが帰ってくる?」
朝食を食べ終わった後、村長がさらっと「明日、エミリが帰ってくるぞ」といったので俺は聞き返す。
「あぁ、明日から連休にはいるだろ? 明日から3日間、この村に帰ってくるそうだ」
「そうなんだ……夏休み以来だなー」
……さて、おじさんについてまだ説明をしていなかったので、説明しようと思う。
名前は村長も行っていたが『エミリ』。村長の一人娘で、現在は別の村に行ってその村の役所で働いている。
「あれ、マリさんは?」
マリさんというのは、村長の奥さんのことだ。マリさんもエミちゃんと同じ役所で働いている。現在、マリさんは役所のある村でエミちゃんと二人で暮らしている。
なぜ村長と別居しているのかと思った人もいるかもしれないが、決して仲が悪くなったという訳ではない。マリさんは元々この家にいたのだが、エミちゃんが一人暮らしするといった際に村長が猛反対したそうだ。長い口論の末にマリさんが「エミリが一人でやっていけるまで私が一緒に住む」ということで落ち着いたそうだ。
「母さんは連休も忙しいから今回はこれないと言っていた」
「そっか……そういえばエミちゃんが帰ってくるなら、客間を掃除しておかなきゃいけないんじゃない?」
「おう、やっといて」
「一緒にやるんだよ!」
「なにこれ!?」
学校から帰ってきて客間を見た俺は思わずそう叫んだ。
客間はほとんど片付いておらず、村長はそんな客間で漫画を読んでいた。
「おう、お帰り」
「お帰りじゃないよ! なに普通に漫画読んでんだ! 俺が帰ってくるまでには半分くらいは片づけとくって言ってたじゃん!」
「いやー、昔の漫画がでてきてな 思わず読んじゃってた」とめっちゃ笑顔で答える村長。このジジイは……。
「ったく……いいから早く片付けて! もう明日、エミちゃん来るんだから」
「はいはい、じゃあこれ読み終わってから……」
「早くやれ!!!」
その後も文句を言いながら掃除する村長をなんとか働かせて、だいぶ片付け終わった。時計を見ると、5時を過ぎていた。
「あーっと、夕食を作らないとな チヒロ、残りは頼んでもいいか?」
「はいよ」
俺の返事を聞いた村長は夕食を作りに台所へと向かっていった。
「……さてと、もう少しだから早く……ん?」
床に新しい茶色の封筒があった、それを見てみるとエミちゃんの名前が書いていた。村長に宛てた手紙だろうか……?
「……メシ終わった時に渡すか……」
その封筒を机の上に置いて、残りの片づけを行った。
「ごちそうさま」
「ごちそうさま……あ、そういえば村長 これ……」
俺は客間で見つけた茶色の封筒を村長に渡す。
「エミリから……いつの間にきてたのか」
「村長って手紙とかちゃんと読まないからねー」
「うるせーやい、さてと何かなーと……」
村長が封筒の中身を確認する、やっぱり手紙だったようだ。
俺は食べ終わった後の皿や茶碗を片付ける、その際に村長をちらっと見て……俺は驚いた。村長の顔が険しい……手紙を持っている手も震えている。俺はどうしたのかを聞こうとした正にその時……
「どういうことだぁー!!!」
さっきまで何も喋らずに手紙を読んでいた村長が急に立ち上がり、天を仰ぎ絶叫した。そしてすぐに座り直してガクンと項垂れる。
村長の突然の行動に俺は驚いた。どうしたのかと思い村長が読んていた手紙を読んでみることにした。
手紙は一カ月前のものだった。内容は仕事についてやマリさんのことについてが書かれている。どこにも驚くような内容はないけど……そう思っていたが、最後に書かれていた内容を見て俺は……
「……マジか」
唖然とした。
P.S. 私は近々結婚を考えています。詳しいことは今度の連休でお話します。
エミリより