＃16 暗号？
――前回のあらすじ
ケンイチとケンジに探検をしようと誘われたチヒロ。そしてチヒロはナオとケンイチとケンジの4人で洞窟に探検に行くことに。
「着いたぞー」
ケンイチを先頭に公園の奥までやってきた俺ら、その先にはケンイチが言っていた洞窟が確かにあった。
「ちょっと……暗くない？」
ナオが不安そうに言う。
「そりゃあ洞窟だからな……」
洞窟の入り口付近を見てみると、確かに少し薄暗い。すると、ケンイチとケンジがそれぞれ下げていたかばんをおろして何かを取りだし、それを上へ掲げる。
「探検のひちゅじゅひん、懐中電灯！」
「必需品な」と俺は軽くツッコむ。
「まぁ、2つあれば大丈夫でしょ」
「それじゃあ……行きますか」
ケンイチとケンジは懐中電灯の明かりを点ける。
行く直前に俺はもう1つの懐中電灯は俺が持つことを提案するとケンジがそれを承諾して、俺に懐中電灯を渡す。そしてケンイチを先頭にようやく俺たちは洞窟の中へと入っていった……。
……歩き始めてから5分、今のところ変わったところはない。
洞窟の中は全く暗いといった感じではなかった。しかし明かりがないと少し歩くのが不便になるな、二人が懐中電灯を持ってきてよかったな……まぁ、いつも持ってきてるけどね。
ほかにも二人がいつも探検の際に持っているかばんには『探検の必需品』といったものが入っている。ケンイチに「チヒロも持っといたほうがいいよ」といっていたが、丁重に「いらない」と言っておいた。
「おっ、見つけた！」
先頭を歩いていたケンイチが、急に声を上げる。懐中電灯で一回り大きい岩に灯りをあてていた。
「なんだなんだ」
「ここだ……」
ケンイチが灯りをあてている岩に指をさす、そこを俺たちも見てみる。そこには白いチョークみたいなもので何か書いてあった。
「えー……『花がいっぱい』……？」
『花がいっぱい』？ ……率直に思ったのは……意味不明。
「暗号だな……」とケンイチが岩に手をあてて呟く。
「暗号だね……」とケンジも同意する。
「え、そうなの？」
「そう、この洞窟には謎が隠れているんだ……この先にも何か、この謎に関係するものが出てくるかもしれない……」
ナオの問いかけにいつになく真剣に述べるケンイチ。果たしてそんな謎があるのだろうか……。
さらに進んでいくと、初めて広い場所に着く。耳を澄ますと川が流れる音が聞こえた。最初のところよりはここは少し明るかった、懐中電灯なくても大丈夫だな。
少し疲れたため、俺たちはここで少し休憩することにした。俺は座って水を飲むことにした……あぁ～、美味いな。
ナオも同じく、座って水を飲んでいた。ケンイチとケンジは二人そろって探索をしていた。
「もうすぐ出口かな？」
水筒の水を飲んでいたナオが聞いてくる。
「そうかもな」
「ねぇ……ここって入っちゃいけないところとかじゃないよね？」
不安に思っていたのかそう言うナオに俺は「だめだったら入るの禁止にしてるだろ」と言うと、ナオは「そうか」と納得したようだ。
「「あーっ！！！」」
ケンイチとケンジが揃って大声を出した、それにしても洞窟だから響くな……。
「どうした？」と俺は二人に問いかける。
「あった、新たな暗号が……」とケンジ。
俺は何か書いてあるところに注目する、そこには『花はたから』と書いてあった。
「たからって……宝物の宝？」
ナオが不思議そうに言う。
「ってことは……この先に宝物が！？」とケンイチが目を輝かせる。
「いや、それはわからんが……」
「こうしちゃいられない！ 早くこの先行ってみようぜ！」
「おー！」
そう言ってケンイチとケンジはさっさと歩いて行ってしまった。
「おいちょっと待てお前ら、一緒に行動しろ！」
「待ってー」
俺とナオも後を追う。
それにしても宝か……ホントにあるのだろうか、この先に……。
次回、洞窟編完結。その先にあったのは……？
