#15 ケンイチとケンジ
「……なんだって?」
おれは聞き間違いかと思った。
「だーかーらー……」
「俺たちとー……」
「「探検しようぜ!」」
「……イヤだ」
……さて、みなさんはこの二人を覚えているだろうか。『猫獣人』で双子のケンイチとケンジのことを。ケンイチとケンジとはナオと同じくらい会うことが多い。1つは空手の稽古、そしてもう1つは……
「なんでー!?」
「やろうよ探検!」
……こうして探検ごっこに付き合わされるからだ。
「だからなお前ら、俺を誘うな」
「「えー!」」
「お前ら何度も行って、何度も父ちゃんに怒られてんだろ?いい加減に懲りろ!」
「だって探検楽しいんだもん」
「怒られても辞めるつもりはありません!」
「「なー!」」
こいつらは……
「それにチヒロはなんだかんだいって一緒に来てくれるじゃん」
「その通り!」
……そりゃあ来るよ、お前らだけだと心配でならないからな。実際ついて行っても言うことを聞かないことの方が多いし、迷子になった時もホントに焦ったんだぞ!お前らはずっと楽しそうだったけどな……。
「というわけで、今回の探検場所は……」
「待て!」
ケンイチが言い切る前に俺は口をはさむ。
「俺はまだ一緒に行くとは……」
「まだ言ってんのー?」
「大丈夫だケンジ、いつも通り来てくれるから」
「そうだな」
「いや、おい……」
「じゃあ探検場所は当日発表ってことで」
「じゃあチヒロ、明日の昼に広場で待ち合わせねー」
そう言ってケンイチとケンジは帰っていった。
……ホントに話を聞かないなあの双子は……はぁ~っ、めんどくさいなもう……。
――次の日
おー……よく晴れてますね、絶好の探検日和ですね……
「「おーい!」」
そう思っていると、ケンイチとケンジがやってきたようだ。
「あれ、ナオも来たのか?」とケンイチ。
「そうだ、ナオも行きたいって俺に懇願してきてな」
「してない!」
一緒に来てから何もしゃべらなかったナオが今日初めて口を開く。
「昨日何しに行くのって聞いて明日のお楽しみって言うからなんだろうと思ったら、今日は探検だって……あぁ~、予定入れとけばよかった……」
ナオは頭を抱えてしゃがみこむ。
「まぁまぁ、それで今日行く場所はどういったところなんだ?」
俺がそういうとケンイチが広場にある大きな岩の上に乗る。
「では発表します……今回、探検する場所は……」
「「「…………」」」
「公園の奥にある謎の洞窟を探検しまーす!」
「イエーイ!」
「「…………」」
俺だけでなくナオも何も言えなかった。今回も長い探検になりそうだな…