＃11 救世主
――ツキカゲ学園・2年生教室
「「「…………」」」
現在、ナオ、マモル、ミイナの三人は顔をうつむいている。ナオたちにどうしたのかを聞くと……
「今週末のテストのことで先生に呼び出されたんだけど……」
「次のテスト50点以下だったら、特別補習だって……」
どうやらその特別補習は1週間やるとのことらしい、それで3人は落ち込んでいたのだ。
「どうしよう……」とナオは頭を抱える。
「どうするも何も……勉強するしかないと思うが……」
「勉強ってどうすれば……」とマモルも頭を抱える。
「……ねぇ」とトモが小さく口を開く。
「……あの人に頼めば大丈夫」
「あの人？」
「来て……」
俺たちはトモの後についていく。ついた場所は……図書室だった。
「今日は多分いると思う……」とナオが扉を開く。
あの人とはいったい…？
「……いた」
机の一番端で寝ている「狐獣人」の男がいた。見た限り年上の人みたいだが……
「……ユウキ」
「……ん？」
トモが寝ている人を起こそうと、肩を揺する。そしてその人はそれに反応し身体を起こす。
「んーっ……あら？ なんかいっぱい人が……」
「ユウキ……」
「おう、トモか……」
「えーと……トモ、この人は……？」
俺はトモに質問をする。
「あ、この人はー……ユウキ、自己紹介」
「はいよ、俺はユウキです。この図書室の先生をやってまーす」
この人が先生だったのか……。
「へー、俺初めて見たー」とナオが言うと「私もー」とハルコも同意する。
「まぁ、いつも図書室にくる生徒はトモくらいだからねー……」
「えーと、それで用事は……あれか？」
「そう……それと……」
「ほかの人達にも教えてやればいいんだな？」
「……うん」
ユウキさんはトモの言いたかったことをまるで予測していたかのようだ、凄いなこの人……
「えーと、じゃあ受講者はここにいる6人で……それじゃあそれぞれ苦手な科目を言って」
そして俺たちは苦手な科目を言っていく、ちなみに俺は歴史が苦手だ。
「なるほど……特にこの3人はひどいな……」
ユウキ先生が言うこの3人とは、ナオ、マモル、ミイナのことだ。
「しっかり勉強してんのか？」
「やってるつもりなんだけど……」とナオ。
「これは寝る間も惜しんでいくしかないかな……よし、早速ここでテスト対策を行う！ 期間は今日から今週末のテス前日まで！」
「えー今日から？」とマモルがため息まじりに言う。
「ん？じゃあ特別補習やりたいのかマモルは？」
「や、やりたくない……」
「なら、しっかりテスト対策をしないとな さあ、用意はいいか？」
こうして、ユウキ先生のテスト対策が始まった……ん？そういえば俺も受けることになってんぞ…………まぁ、いいか。
