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魔物の話

或る宵山の物語

作者: WAKA

この話は私が大好きな作家の作品に多大な影響を受けております。世界観も完全なオリジナルではなく、その作品から踏襲した部分もあります。

もちろん登場人物やら話の流れはオリジナルでございますが。

ただ、そういったことに不快感を覚える方は、戻ることをお勧めします。

大森古書堂を知ったのは、暑い夏の日であったことを思い出す。


 高校一年の夏休み前、学校からの帰りだったと思う。僕は入り組んだ街並みを進んでいくのが好きだったので、その日もこれまでとは違う道を行ってみようと気まぐれを起こした。旧街道沿いにある古い街並みや、田畑に流れる水路をぼんやりと眺めながら自転車をこいで路地裏を抜けていくと、その先に見たこともない坂道があった。


 目的もなくぶらぶらと進んだことを後悔した。ムシムシした空気のせいで思いのほか汗をかき、水気を帯びた衣服はずっしりと重かった。こんな状態で坂道など上りたくはないが、来た道を引き返すと遠回りになる。


 覚悟を決めて長い坂道を進むしかなかった。これまで快調だったペダルは重みを増し、降り注ぐ陽の光も厳しくなる。前に進んでいるのに、不思議と風を感じられない。ただ圧縮された熱気が体を取り巻くだけだった。


 暑さを振り払うように顔を上げると、坂道の上には入道雲が一つあった。見ている間にも膨張を続けていくそれは、青の世界を塗り替えてしまうかのような力強さがあった。

 青と白で構成される世界に見惚れていると、ふと違和感を覚えた。夏の色が満ちている世界に異を唱える様に、赤くてひらひらしたものが視界に飛び込んできた。


 家屋が並ぶ塀の下に水路が走っていて、そこに何かが浮いていた。自転車を止めてちょろちょろと水が流れる水路を覗きこんでみた。

 どこをどうやって逃げ出したものか水路には赤い金魚が一匹、尾ひれをひらひらさせて漂っていた。金魚は水の流れに逆らって坂の上を目指して泳いでいるようだった。僕は何となくその金魚と共に坂を上り始めた。


 坂の上まで来ると、金魚は側溝蓋の奥に消えて見えなくなった。溝蓋から視線を戻すとそこには一軒の古書堂があった。ところどころ鉄がはがれて錆びついている看板には大森古書堂とあった。

 

 店を眺めていると、うるさいくらい鳴いていた蝉の声が急に遠のいていく気がした。さっと風が吹いた。夏の風に揺られ、葉が擦り合う音が聞こえてくる。大森古書堂の裏手には屋根に常暗い影を落とすほど、大きな柿の木と柳が揃って生えていた。風が止んでもしなった枝がこちらへ傾いていた。そうして葉の擦れる音や枝がきしむ度、あたりの静けさがいっそう深まるように思える。


 扉を開けて中に入ってみた。店の中はどこまでも暗く、しんと静まり返っていた。

 八畳ほどの店内には、天井まで届きそうな本棚が四方を囲んでいた。三つある窓も本棚に(さえぎ)られて用をなさなかった。光が入らないので昼でも電気をつけないと薄暗いようだった。ひび割れた床には埃をかぶった羽虫の死骸があった。


 独特な雰囲気に気圧されてか、僕以外のお客さんはいなかった。適当に本棚を眺めていると「よかったら座って読んでいったらいい」と声を掛けられた。

見ると店の奥には長く伸びた廊下があり、そこにニコニコ笑った好々爺が立っていた。灰色の着流し姿で、細めた目に幾つもの(しわ)が浮かび上がった。骨張った顔は店内の暗さと相まって青白く見えた。唇の隙間から茶色い歯を覗かせ、顎の周りには無精ひげが覆っている。


 お爺さんは片桐と名乗って、僕に席を勧めた。


 買い取り拒否をしないままにしていたら本が溢れた、と片桐さんは自嘲(じちょう)して言った。年齢を明かすことはなかったが、恐らく七十代前半だと思う。

季節を問わず着流し姿だった片桐さんに「寒くないですか?」と聞いてみたことがある。「寒くない。ただ、この格好だと腹が減る」とだけ答えた。答えの意味が分からず顔を上げてみると、袖から伸びる白い腕が目に付いた。骨張っていて、冬の木立のように思えた。


 片桐さんは少しクセのある人だったが、大森古書堂にいるのは好きだった。これまで活字を読むのは苦手だったが、ここにいるうちは自然と本に触れられる気がした。古本を購入して帰ったこともあるが、どういうわけか家だとページが進まない。それ以来、ここで本を買いここで読むことにした。

いつしかそれが僕の生活サイクルになった。



 それは高校生活二年目の春のことだった。


「・・・・・・なんであんたがいんのよ」


 大森古書堂に通って半年が経過していた。いつものように椅子に座って本を読んでいたのだが、唐突に声をかけられた。聞き覚えのある声だと思いつつ顔を上げた。驚いて本を落としそうになる。その時の僕は化石みたいな顔をしていたに違いない。

 声を掛けてきたのは幼馴染の姫子だった。入口から差し込む春の淡い日差しが、腰まで伸びる彼女の長い髪に溶けこんでいるようだった。ブレザーの制服姿の彼女は両手を腰に当て、その頬をうっすらと桜色に上気させながら大きく見開いた目で僕に迫る。


「な・ん・で・あ・ん・た・が・い・る・の・よ?」


 魚のように口をぱくぱくするだけの僕に業を煮やしたようだった。


「口がきけなくなったわけ?」

「姫子か」

「そうよ、姫子です。あんたここでなにしてんの?」

「放課後はここで本を読んでるんだ」

「はぁ・・・・・・若者が閉じこもって本ばかり読むなんて情けないなあ。あんたおじさんに運動部に入れって言われてなかった?」

「言われたけど、ああいうのは合わない」

「やってもいないくせに。そうやって決めつけちゃうのがあんたの悪い癖よね」


 姫子は背が小さくて可愛らしい印象があるが、舌に鋭さを帯びる時がある。間違っていると思えば友達にも容赦なく噛みつく。そういう時の姫子は抜き身の刀身のようだった。


「ほっとけ。姫子こそ何の用だよ」

「ああ、あたし?」


 姫子はそこまで言うと、ふいに頭を下げた。振り返ると着流し姿の片桐さんが立っていた。


「やあ、姫子ちゃん。時間通りだね」

「はい、お世話になります」


 姫子の声がキリッとしたものに変わった。僕がわけもわからずに困惑していると、片桐さんが経緯を話してくれた。

 姫子は大森古書堂のアルバイトだった。お客さんなど皆無な店だが、そこそこ名の知れた店との繋がりもあるらしく、最近になって発注が増えたので急に忙しくなったとのこと。人手が足りなくなり、たまたま雇った人間が姫子であった。


 それから片桐さんは姫子を連れて奥の倉庫に引っ込んでしまった。なんとなく居心地の悪くなった僕は本を鞄に押し込んで店を後にした。

 葉が茂った街路樹はそろそろ夕刻だというのに、まだ青い木漏れ日を映し出していた。自転車を押してコツコツと踵で音を立てながら、僕は商店街の奥の道へ抜けて行った。シャッターの閉まった八百屋とコンビニの脇を通り過ぎると、道路の向こう側に赤い靴が片方だけ捨てられているのが見えた。人通りがある道なのに、赤い靴は誰からも忘れ去られたように転がっている。その姿が哀しくもあり、不気味でもあった。


 いつの間にか足が止まっていた。そうして僕は姫子との約束を思い出していた。



 十年前、あのお祭りの夜に僕は姫子と人混みの中を駆けた。


「ちょっと、そんなに急がないで、ゆっくり走ってよ」

「ここから早く出たいって言ったの姫子じゃないか」


 涙目になった彼女の手を引いて、僕は人気のない場所を目指して走っていた。祭囃子(まつりばやし)提灯(ちょうちん)の灯りが遠のき、街燈が灯るだけの薄暗い小道に来た。生温い夜の風の中に、蚊取り線香の匂いが混じっていた。


「バカ、早すぎるわよ」


 姫子は紫色の浴衣を少しはだけて、肩で息をしながら悪態をついた。


「それで話があるんでしょ。なに?」

「ちょっと、待って、息ととのえるから」

「でもあんまり時間かかると、薫子さんが心配するし」

「いいの! お姉ちゃんは関係ない!」

「わ、わかったよ。そんなに怒らなくてもいいじゃない」

「うっさい、バカ。デリカシーなさすぎ!」

「でりかしー? なにそれ」

「ああ、もう。いいわよ、ちょっと待っててよ」


 姫子は息を整えると電柱の陰までとてとて駆けていった。着崩した浴衣を直し、乱れた髪を整えた後で同じように走って戻ってくる。


「あのね、あんたって好きな人いるの?」

「は、はあ?」

「好きな人いるのって聞いてるの」

「す、好きな人なんていないよ。うん、いないと思う」


 姫子は顔を真っ赤にしたかと思えば急にニヤつき、はっとしていつもの引き締まった表情に戻ったりしていた。


「そう・・・・・・そうなんだ。えへへ、じゃあさ、こうゆうのって早い者勝ちだよね?」

「そうなの?」

「そうなの。ねえ、あたしと大きくなったら結婚して」

「結婚、えーちょっと待って・・・・・・んー・・・・・・なんだこれ」

「お嫁さんにしてほしいの」

「姫子がお嫁さんか」

「な、なによ。好きな人いないって言ったじゃない」

「言ったけどさ」

「好きな人いるの?」

「いないってば」

「・・・・・・お姉ちゃんは?」

「薫子さん? うん、薫子さん好きだよ。優しいしあったかいし」


 姫子には薫子さんという姉が一人いた。僕達より五つ年上の彼女は涼しげで優しい目をしていた。僕が辛そうにしていると、薫子さんは決まって胸に抱き寄せてくれた。背が高い彼女からは甘い香りがした。


「お姉ちゃんの方が好き?」


 そう言って俯いた姫子は小さな肩を震わせていた。あと一押しすると、今にも泣き出してしまいそうだった。そんな彼女は見たことがなかったから焦った。


「あ、いや・・・・・・姫子も好きだけど」

「あたしとお姉ちゃん、どっちが好きなの?」

「そんなこといきなり聞かれてもなあ。姫子も好きだけど、薫子さんも同じくらい大好きだし――」


 言葉を待たずして、姫子が飛び跳ねた。彼女の頭が僕の顎に当たった。顎を強く打ち抜かれて、目の前で光がチカチカと舞った。


「バカ! 大っ嫌い!」


 姫子は僕に頭突きをすると、くるりと反転して今来た道を一人で駆けて行ってしまった。目元を拭っているのは後姿からでも確認できた。呆気にとられていたけど、姫子を泣かせてしまったという罪悪感が胸にこみ上げ、夢中で彼女を追った。


「待ってよ姫子! 姫子ってば!」

「うっさい! あんたなんか嫌い!」

「待ってよ! 僕は姫子のこと大好きだから!」

「嘘だもん!」

「嘘じゃないよ! 姫子をお嫁さんにしたい!」


 無我夢中で叫ぶと姫子はびくりと肩を揺らして止まった。振り返った彼女の目元には涙が残っていたが、鳶色(とびいろ)の瞳がキラキラと輝いていた。子供ながらに美しいと感じたと思う。


「ほんと?」


 見惚れていたのに気付いて、できるだけ真面目な顔を作った。


「うん」

「ほんとのほんと?」

「ほんとのほんと」

「ぜったい?」

「ぜったい」

「じゃあ、約束」


 小さな白い小指が差し出された。僕は照れた顔を隠しながら、汗ばんだ手をズボンで拭いて、その指に自分の指を絡ませた。


「約束だからね。ちゃんとお嫁さんにしてね」

「うん、約束」

 


 そう。そういう約束だった。

 

 車のクラクションの音で急に我に返った。今も目を閉じると、あの時の姫子の顔が浮かんでくる。満面の笑顔を見たのはそれが最後だった。

 今日、姫子と会ったのは中学の卒業式以来だ。一年ぶりに再会した彼女は大人びて見えた。綺麗だと思った。

 

 僕は頭を左右に振って、自転車にまたがるとそのまま家まで走った。あの約束を思い出すと、どうしても別の記憶も蘇る。それはいつまでも胸の奥で蠢く闇のようだった。




 大森古書堂は気持ちが穏やかになる場所だったのに、姫子がいると落ち着かなかった。互いに意識し合って、妙な空気になってしまうことがしばしばあった。それでも僕はここに通うことをやめなかった。急に顔を出さなくなったのではお世話になった片桐さんへの礼を欠くだろうし、何より姫子への対抗心があった。彼女に幼馴染と顔も合わせられない情けない奴とは思われたくなかった。

姫子が本の整理をしている間、僕はカウンターの椅子に座って本を読んだ。会話はほぼなかった。


 十年前の祭りの夜、僕の心には深い傷ができた。恐らくそれは彼女の心にも刻まれていると思う。僕たちが言葉を交わすと、あの夜のことを口にせざるを得なくなる。どんなに楽しい話をしても、最後はそこに行き着く気がして怖かった。

しかしその日、僕は姫子に話しかけざるを得なくなった。姫子が本棚から厚めの本を抜き取った瞬間、棚の上にあった大きな段ボール箱が落下したのだ。僕は警告より先に姫子の手を取って、胸元に引き寄せた。段ボールはコンクリートの床にぐしゃりと音を立てて落下した。


「危なかったね」


 姫子が何も言わないので、僕は胸元に収まっている彼女を見下ろした。彼女の瞳が真直ぐに僕を見ていた。途端に心臓が波打った。記憶よりもすっかり大人びた姫子に目を奪われてしまう。そうすると握っていた彼女の手や、押し付けている胸から伝わる温もりを意識せずにはいられない。喉がぎゅっと締め付けられて、顔が熱くなった。


「ありがと」

「うん」


 僕たちは耳まで真っ赤にして、ゆっくりと離れた。姫子からは薫子さんと同じ甘い匂いがした。


「片桐さんもこういうのは棚の上に乗せないでほしいな」


 僕は気恥ずかしさを紛らわそうと、落下した段ボールを拾い上げた。すると底が破れて、中から小さなお面が転げ落ちた。

 木で作られた狐の面だった。白塗りが部分的に剥げ落ちているが、目と口を走る赤塗りはくっきりと残っていた。


「狐のお面」


 そう言った姫子は、うつむいたまま小刻みに震えていた。顔は生気を失い、額にも汗をかいているようだった。


「姫子?」

「あたし、それ嫌い」


 姫子はお面を拾い上げ、僕が手にしている段ボールに押し込んだ。それから何度か声を掛けたけれど、何を言っても彼女は虚空を見据えて頷くだけだった。僕は意味もなく水面に石を投げいれている気分になり、話すのをやめた。

 けれど、それがきっかけになったのだと思う。翌日から僕たちはぽつりぽつりと会話をするようになった。

 

 

 やがて季節は夏を迎えた。

 ある日、僕が大森古書堂を出ようとすると「もうすぐ終わるから待っててよ、一緒に帰ろ」と姫子に声を掛けられた。特に断る理由もないので待つことにした。


「お待たせ」


 入り口で待つ僕の元へ姫子がとてとて走ってきた。一瞬、紫色の浴衣を着ていた頃と重なって見えた。

 ふいに視線を感じた。店の奥へ伸びる廊下に片桐さんが仁王立ちをして、こちらを見ていた。


「帰ります」


 僕が言うと姫子も振り返り、片桐さんにおじぎをした。

硝子戸でできた扉をガラガラと横に引くと、静止していた熱い空気が下から突き上げてきた。僕は自転車を押して歩き、その横に姫子がぴったりくっついて歩く。僕たちがこんなふうに歩くのは何年振りだろうと考えてみた。


「なんかさ、こうやって歩くの久しぶりだよね」


 僕が考えていることを、そのまま姫子が口にした。


「僕も思った。何年振りかのはずだけど、違和感ないな」


 雑木林の横を通ると、むせ返るほど草の匂いがした。空気が熱で淀んでいるのがわかる。そのくせ空には冷気が漂っていた。遠くの方では暗雲が立ち込め、大きな車輪がゴロゴロとアスファルトを転がるような音がしている。


「一雨来そうだな」

「うわ、あたし傘持ってないよ」

「僕だって持ってないよ」

「いざとなったら自転車借りるね。あんた歩いて帰りなさい」

「嫌だよ」

「なによ、女の子が風邪ひいてもいいわけ?」

「姫子って風邪ひいたことあったっけ?」

「あるわよ失礼ね」

「最後にひいたのいつ?」

「うーん・・・・・小学生の時かな」

「それぜったい雨に降られたくらいじゃ風邪ひかないよ」


 湿った風の中を僕たちは歩いた。姫子と話すと笑みが自然にこぼれてくる。そんなふうに笑えることが嬉しかったし、彼女も僕が笑えば嬉しいのではないかと身勝手な想像をしてみる。いつもの帰路が華やいでいる気がした。

 一通りの会話を終えて、僅かな間が生じた時だった。


「付き合ってる子とかいるの?」


 姫子が言った。僕は驚いて、思わず立ち止まりそうになる。


「は?」

「彼女はいるの?」

「いや、いないよ」

「ふーん、鷺ノ宮高校は可愛い子多いんじゃなかった?」

「ああ、クラスにも人気の女子はいるね」

「へー」

「なんだよ自分から聞いといて。姫子は付き合ってる人いるのかよ」

「あたしもいない」


 彼女は早足になって僕の先を歩いた。


『じゃあさ、あたしと大きくなったら結婚して』


 姫子の背中を見ていると、あのお祭りの夜の約束が蘇ってくる。

確かに僕たちは結婚の約束をした。けれど、それはもう遠い昔のことだ。

今の彼女が未だその気でいるのか定かでないが、あえて確認しようとは思わなかった。あの夜は僕たちが約束を交わした以上の事件が起こったのだから。

祭の宵闇の中、薫子さんが失踪した。彼女は未だ発見されていない。僕たちが疎遠になっていたのも、そのことが原因である。



 姫子と話をするようになってから幾日かが過ぎた。


 いつだったか激しい夕立があった日を思い出す。

大粒の雨が降り注いで、道が飛沫(しぶき)で煙っていた。今日は大森古書堂には寄らず、まっすぐ家に帰ろうと傘を握りしめて歩いていると、足元に赤い点が見えた。


「あれ、また金魚か」


 道路の真ん中に金魚の死骸が転がっていた。


「なんでこんなところに」


 そう呟いた瞬間、青い稲妻が空を翔けた。周囲は青く輝き、澱んでいた景色を一変させる。

 一瞬、煙っている道の先に人が見えた気がした。その人は狐の面をつけてこちらを見ていた。

 目を擦ってもう一度見ると、そこには誰もいなかった。小さな(つぶて)のような雨粒が傘を叩き、その直後にどーんと雷が鳴った。



 ある薄暗い夕闇の出来事だった。陽はだいぶ傾いたが、日中に炙られたアスファルトは未だ熱を宿したままで店内は蒸し暑かった。


「祭りというのは多くの人の意思が集まる場所だ」


 いつものように本を読んでいると、店の奥から片桐さんの声が聞こえた。

店の奥にある居間にはこちらに背を向けて座っている片桐さんがいた。机に置かれた蚊取り線香から一筋の煙が伸び、天井辺りで雲のように広がっている。蚊取り線香の僅かな光と夕陽が暗い部屋を照らしていた。


「色んな人が集まるからね、想いも様々だよ。幸せな者もいれば不幸な者もいるだろう。たくさんの意思や想いが集まれば、それを喰い物にする奴らも自然と集まるものだ」


 僕に話しかけていると思ったが、そうではないらしい。片桐さんは外の光が僅かに差し込む障子(しょうじ)を見ながら話している。


「奴らは容赦がない、一度つかんだ手は絶対に離さない。かわいそうになあ、かわいそうになあ」


 障子に何か黒い影が映っている気がした。


「片桐さん?」

「なにかね」


 片桐さんは障子を見たまま答えた。


「外に誰かいますか?」

「なぜそう思うんだ」

「影が見えた気がして」

「影か。君には影に見えたか」


 別の誰かが片桐さんの皮を被っているのではないかと思うほど、声は別人のものだった。


「明日は夏祭りだね」

「そうですね」

「君は行くのかい?」

「・・・・・・僕は行きません」

「そうかい、姫子ちゃんはどうだろうね」

「きっと姫子も行きません。もう何年もお祭りには行っていませんから」

「ほほう」


 片桐さんがゆっくりと首をひねってこちらを見た。薄暗いので表情は読み取れない。黒く塗りつぶされている輪郭だけが見えた。


「君は見たんじゃないか?」

「何をですか?」

「狐の面をつけた奴らだよ」


 暗い部屋にぎょろりと光る目と歯が浮き上がった。僕は驚いてその仕草を見つめていた。


「君は祭りに行くだろう」

「行きませんよ」

「いや、行くことになるよ、姫子ちゃんが行くんだからね。もう決まっていることさ」


 外で風が吹いて、街路樹の葉が擦れる音が聞こえた。窓や障子がガタガタと鳴り、どこからか動物の死骸の匂いが漂ってきた。


「腹が減ったな」


 片桐さんは言った。

 普段の姿からは想像もできないほど、悪意が滲み出ていたように思う。片桐さんの痩せこけた手が伸びて姫子の手を掴み、無理矢理にどす黒い沼へ引きずり込む光景が浮かんだ。姫子の笑顔が得体の知れない何かに嬲られる。そういう直観があった。

 僕は席を立って片桐さんを睨みつけた。

 


 大森古書堂からの帰り道、前から姫子が歩いてくるのが見えた。

 片桐さんに呼ばれたので大森古書堂に行くところだ、と言うので慌てて止めた。今日の片桐さんは様子がおかしいから、日を改めた方がいいと説得した。


「家まで送るよ」

「どうして?」

「いいから」


 姫子は不審がっていたが、僕のただならぬ雰囲気を察して言うことを聞いてくれた。

 商店街を無言のまま歩いている時、急に(かね)と笛の音が聞こえてきた。足を止めて音のする方を探ってみた。メインストリートの灯りも差さない路地の奥に、商工会が所有する家がある。集会の時以外は誰もいないはずだが、今日は明かりが灯っていた。そこから祭囃子が聞こえてきているのだ。


「明日はお祭りだから、練習してるみたいね。毎年この時期になると聞こえるのよ」

「そういえばそうだっけ」

「この前さ、変なもの見てゾっとしちゃったわ」

「なんだよ、変なものって」

「狐のお面をかぶった人」

「それどこで見たの?」

「大森古書堂からの帰り道かな。なんかつけられてる気がして振り返ったら、電柱のとこに立ってたの。でも、次見たらいなかったから気のせいだと思うんだけどね」


 僕は姫子の手を掴み、早足で商店街を抜けた。姫子は何も言わなかった。



 祭囃子を聞くと、泣きじゃくっていた姫子の姿を思い出す。

 あの晩、薫子さんを見つけられなかった僕は姫子の家の縁側に座っていた。隣で泣きじゃくる姫子の背中をずっと撫でていたと思う。おばさんが冷たい麦茶を出してくれたが飲む気になれず、グラスをなぞって落ちる水滴を見ていた。


 奥の部屋では大人達が慌ただしく動いていた。おばさんはどこかに電話をかけていて、おじさんは「もう一度だけ見てくる」といって家を出た。近所の老人たちは玄関で何事か囁いていた。「また出たのではないか?」と言う声だけ聞こえた。

 遠くの方から祭囃子が聞こえてきた。いくつもの提灯(ちょうちん)の灯りで空は赤く染まっていた。

 あの光の下のどこかに薫子さんがいる、明日になればきっと見つかる。僕は呪文のように言い続けた。



「寄ってく?」


 姫子を送り届けて帰ろうとした時だった。彼女は自分の家を指して言った。


「いいよ」

「寄ってきなよ。お茶くらい出すからさ」


 いつになく優しい声だった。小さく微笑む彼女はしおらしく、それが艶めかしくも思えた。きっと僕の様子が変だったから、姫子なりに気を使っているのだろうと思う。好意は素直に受け取らないと、気まずくなることがある。


「じゃあちょっとだけ」

「うん」


 姫子の家に入り、リビングに通された。

 この家に入るのは十年ぶりだったが、変わっていたのはカーテンとテレビだけだった。僕が記憶していた通りの部屋が今もここにあった。

一通り見まわしてから、あまりじろじろ見るのは失礼だと気付いた。窓際にある席に座り、キッチンでお湯を沸かす姫子を見ていた。


「お待たせ、コーヒー飲めるよね。砂糖いる?」

「ブラックでいい。ありがとな」


 コーヒーの匂いが部屋に満たされていく。口に含むと舌を指す痛みを覚えた。熱いコーヒーはなかなか飲めなかった。

 姫子はカップを両手で包み込み、注がれたコーヒーをじっと見ていた。


「なんかあったの?」


 姫子が言った。


「なにもないよ」

「うそ、何もないならあんなふうにならないでしょ」

「・・・・・・ちょっと不安なことがあるだけ」

「あたしには話してくれないんだ」


 その聞き方はずるいと思った。沈黙が嫌で、熱いコーヒーを無理矢理飲んだ。


「最近ね、変な夢を見るの」

「ゆめ?」

「お祭りの夢を見るのよ。夢の中であたしはお姉ちゃんに手を引かれて歩いてる。どこに行くのって聞いてもお姉ちゃんは答えない。見ると顔には狐のお面をつけている。時々、声を漏らすんだけど、それが泣いているのか笑っているのかわからなくて、すごく不気味なの。だんだん祭りの雑踏から抜けて、祭囃子も遠のいていく。気が付くと赤い鳥居を抜けていて、その先に稲荷神社がある。そこでお姉ちゃんが――」

「姫子」

「お姉ちゃんはあたしを恨んでいる」

「姫子、やめよう」

「ううん、聞いて。あの日ね、お姉ちゃんが路地裏で狐のお面をつけた人を見たの。お姉ちゃんに言われてあたしも見た。お祭りだったから、別に変な人だとは思わない。あたし達が見てるとその人が気づいて手招きしてきた。行ってみようってお姉ちゃんは言ったけど、あたしは嫌だった。知らない人について行っちゃいけないってお母さんに言われてたから。行っちゃダメって言ったのに、お姉ちゃんはあたしとあんたを置いてその人について行っちゃった。お姉ちゃん、一度言い出すと人の言うこと聞かなかったから・・・・・・勝手にしろって思った。後でお母さんに叱られればいいんだって」

「それは姫子のせいじゃないよ。何回もそう言っただろ」

「でも、あたしが無理やりにでもお姉ちゃんを止めていれば――なのに、あんたと一緒にお祭りを抜け出して、あたしは――自分のことばっかりで」

「姫子、違う。そうじゃない」

「お姉ちゃんはあたしと一緒に行きたかったんだと思う」


 姫子は言った。


「なんだか最近、おかしなことばかりで――」


 みしり、という音が二階から聞こえた。その音に僕たちの会話がピタリと止まる。


「家に誰かいる?」


 姫子は無言で首を横に振った。

 上から聞こえてくる音は人がすり足をしながら歩くように聞こえる。音はそのまま移動し続けて、階段を下りる足音に変わった。背筋から波打つような悪寒がした。音は尚も移動を続けて、終にはこの部屋のドアの前まで来た。心臓がバクバクと音を立て、手は汗で湿っていた。


 引き戸がゆっくりと開かれていく。


「誰だ!」


 僕が叫ぶと、引き戸はそこで止まった。

 立ち上がって引き戸の前まで行き、思い切り開け放した。そこには誰もいなかった。一階の部屋を全て調べた後、階段を上がって二階も見たがやはり人の姿はなかった。僕が下へ降りると、姫子は音のした天井を見上げていた。


「お姉ちゃんの部屋」


 その言葉に顔から血の気が引いていくのが自分でもわかった。


 

 僕は姫子の携帯番号を聞いて帰路についた。

 僕の家に来ることを勧めたが、今日はお母さんと寝るから大丈夫だよと断られた。それでも何かあった時はすぐに連絡するように言った。

 小さく震えていた姫子はいつまでも記憶に残っていた。受け答えもぼんやりしていたから、僕は不安になった。


 家に帰ると階段を上がり、六畳間の自室に引き籠った。携帯のマナーモードを解除して、着信音を最大にした。すぐ手に取れるように携帯を机に置き、僕はベッドに腰掛けた。そうするとこれまでの疲れがドッと溢れ出すようだった。

 体は疲弊していたが、姫子の家にいたのは何だったのだろうと思い返してみるととても眠れなかった。そうして僕は朝まで眠らずに過ごしていた。

 


『私は姫ちゃんのことが好き。誰にも渡してあげない』


 いつの間にか僕は眠っていた。


『でも、姫ちゃんは君のことが好きみたいね』


 夢を見ていた。


『駄目よ。あの子は私の大切な妹だもの。愛して止まない妹だもの・・・・・・だから今日連れて行くわね』


 悪夢だった。



 僕は飛び起きた。眠りと目覚めの狭間で、眉間にいやな重みを感じた。無理矢理に頭を振って眠気を落とし、スマートフォンの画面を見る。午後三時、姫子からの着信はなかった。


 僕はそのまま家を飛び出して自転車にまたがると、大森古書堂まで全速力で走った。

 片桐さんは何か知っているという確信があった。

 蝉の声とムッとする空気を蹴散らすようにして長い坂道を登り、大森古書堂の戸を開いた。いやに冷たい空気が店の奥から流れてきた。


「片桐さん」


 狐の面をつけた着流し姿の男が立っていた。


「やあ、来たね」


 僕は薄暗い店の中で、男と向かい合っていた。


「何か知っていますね」

「私は知らない・・・・・・ただ、知り合いに頼まれてしただけだ」

「知り合い?」

「姫子ちゃんとお祭りに行きたいと言って聞かないんだ。そのためには、まず君が必要だった。君がいれば姫子ちゃんもここにいてくれるようだったからね。知り合いは君のことを酷く嫌がっていたが」

「薫子さんなんですね。彼女はどこにいるんですか!」

「祭りの中に消えた者は、ずっと祭りの中にいる。そう、ずーっとだ。君も来るかい?」


 男は手に握っていたもう一つの面を僕に差し出した。


「行きません! 姫子も行かない!」

「心配しなくてもいい。もうすぐ姫子ちゃんもこちらに来る」


 その言葉に僕は心臓を鷲掴みにされた気がした。目の前の男に、姫子の名を口にしてほしくなかった。


「ここに足を踏み入れた時点で、君たちは宵闇に入っていたんだ。手遅れだね。まあ、私はどちらでも構わない。けど、こちらに来たくないのなら急ぐべきだ。すぐに走らないと手遅れになるよ」

「手遅れって」

「さあさあ、どうするね」


 男は楽しそうに囁いた。

 僕はハッとしてスマートフォンをズボンから取り出し、姫子に電話した。コール音が鳴るばかりで一向に出る気配がない。


「言っただろう」


 男は言った。


「姫子ちゃんはもうすぐこちらに来る」


 頭が真っ白になった。大森古書堂を飛び出し、今度は姫子の家に電話をしてみる。短いコール音の後に、姫子の母親が電話に出た。僕が険しい声で姫子はどこにいるか聞いた。


『さっきまで家にいたんだけどね。どこに行ったのかしら』


 そのまま電話を切って、舌うちをする。空を見るともうすっかり暮れていた。僕はそのまま祭りへ向かった。



 見上げれば雑居ビルが夕日に赤々と彩られており、空に浮かぶ雲の下腹も同様に赤く染まっていた。車両通行禁止になった通りは人で溢れていて、右へ左へと様々な方向に波が動いていた。

 人と露店は隙間なく道路に敷き詰められ、その熱気ですぐに汗をかいた。無理矢理に人をかき分けて進むと、背後から罵声が飛んだ。宵闇の喧騒に包まれ、息がつまりそうだった。


「姫子! どこにいる!」


 人々は怪訝な顔をして僕を見ていた。

 十字路を抜けた時、ひと際大きな歓声が聞こえた。祭囃子を奏でる山車(だし)がタバコ屋の角からぬっと表れた。人々は歩みを止めて、山車(だし)の上で踊るひょっとこに釘付けになる。僕は人混みに閉じ込められた。それは人で作られた巨大な檻のようだった。


 熱気と露店から漂う食べ物の匂いが入り混じり、気分が悪くなる。体を引きずって、なんとかその檻を潜り抜けた。僕にあるのは姫子を助けたいという気持ちだけだった。


「姫子! 姫子!」


 叫びながらあちこち走ったが、時間だけが虚しく過ぎていった。やがて、立っているのも辛くなり、その場に座り込んだ。体力不足の自分への怒りと、姫子が見つからない不安で途方に暮れた。

 ふと、蒸し暑く淀んだ空気の中に澄んだ音が聞こえた。耳を澄ますと少女の笑い声のようだった。周りには何人もの子供たちがはしゃいでいるが、その声は祭りの雑踏をすり抜けて僕の耳に届いた。


 紫色の浴衣を着た少女が、赤い浴衣を着た少女に手を引かれて路地裏に消えるのを見た。


「姫子か?」


 僕は夢中で駆けだした。

 あの祭りの出来事が脳裏に浮かぶ。あの時、姫子は紫色の浴衣を着ていて、薫子さんは赤い浴衣を着ていた。そして、今路地裏に消えた二人のように手を繋いで歩いていたのだ。


「ダメだ!」


 力を振り絞って路地裏を走った。限界まで腕を伸ばして、紫色の浴衣を着た女の子の手を掴んだ。

 振り返ったのは姫子だった。胸に引き寄せると、赤い浴衣の少女に掴まれていた手がするりと抜けた。


「走るよ! いいね!」


 僕は姫子を抱きとめて言った。


「あれ・・・・・・あんたここで何してんの? ううん、あたし・・・・・・今まで何してたの」

「しっかりして! すぐにここから出ないと!」


 白くて細い腕を掴んで走り去ろうとした時だった。


「姫ちゃん、私と来て」


 赤い浴衣の少女が言った。僕と姫子は思わず振り返った。

 綺麗だと思っていた声もしぐさも、あの頃から伸ばしていた髪も何もかもがそのままだった。


「おねえちゃん」


 薫子さんはにっこり笑った。


「ねえ、姫ちゃんこれ着けて」


 狐の面だった。


「私と一緒に行きましょう。ずっとずっと愛してあげる」


 赤い浴衣の裾から白魚のような手が伸びた。


「私よりその子が好き?」

 

 赤い浴衣をひらめかせ、冷たい笑顔の薫子さんが言った。


「私の方が姫ちゃんを大事に思っているわ。ねえ、泣かないで。キスをしてあげるから」


 薫子さんが立ったまま地面を滑るように進んできた。

 僕はひな鳥が潰されたような悲鳴を上げた。そうして姫子と一緒に祭りの中を駆けた。

 


 あの日と同じように姫子の手を引いて走った。

 祭囃子が遠のいて、街燈が小さく灯る小道に来た。周囲には地面に座ってリンゴ飴を食べている人達がいた。僕達もその場に座り込んだ。

 お互いに何も言わなかった。

 点滅を繰り返す街燈が一度だけ暗くなる。すぐに明るくなるのだが、その下に何かが潜んでいる気がしてならなかった。


「昔、お姉ちゃんはあたしの気持ちに気づいてた」


 姫子が言った。


「あの子が私と結婚したら姫ちゃんはどうする? って聞かれて。そんなの嫌だって言った。お姉ちゃんは私もそんなの嫌、あなたとずっと一緒にいたいって言ったの。あたしはお姉ちゃんが怖くて、あんたを盗られたくなくて、お嫁さんにしてって頼んだの」


 僕は握る手に力を込めた。


「こんな言い方はよくないかもしれないけど、もう過去に囚われちゃだめだよ。僕も姫子もね」

「無理かも」

「それでもやらないと」

「あんたはできる?」

「僕も無理かもしれないけどさ。昨日、悪夢を見たからね」


 僕は姫子の手を取って立ち上がった。


「帰ろう」

「うん・・・・・・助けてくれてありがとね」


 僕たちは手を取り合って、小道を進んだ。

 祭囃子の音が聞こえなくなると、気分がよくなっていく気がした。どちらともなく駆けだして、宵闇の中を抜けて行った。



 それから数日後のことだった。大森古書堂の奥にある居間で首を吊っている片桐さんが発見された。遺書はなく、いつものようにテレビがつけっぱなしであったらしい。

 駆け付けた救急隊が片桐さんを下ろそうとした時、着物の裾から狐の面が零れ落ちた。

 片桐さんの体はミイラのように干上がっており、死後一年が経過していた。この怪事件は地元の新聞にも掲載された。

 片桐さんの様子が一変した日、障子に映っていた影が思い出される。あれは首を吊った人の影だったのではないだろうか。

 では、僕たちが会っていたのは何だったのか。今はもう確かめる術がなかった。

 大森古書堂は三か月後に取り壊しが決まっている。


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