偽の朝焼け(6)
街が道連れを望むのか、進路でも退路でも次々と建物が崩れ、無駄な足掻きと嘲笑う。それでも必死に身体を動かし、地面を這い続けた。
しばらくすれば、どうにか立てるだけの体力が戻ってきて、あまり速度は変わらないながらもふらつく足取りで前へと進む。
けれど、通りたい道は悉く塞がっており、気付けば花売りのエリアに来てしまった。ここは行き止まりが多く、一歩間違えば自滅してしまう。
自分の運の悪さに、神を呪ってやりたいぐらいだ。とにかく小道へ入らないよう気を付けるしかない。
それに、ここを抜けられれば、裏の組織の多くが拠点を築くエリアがある。そこにはいくつか、木造ではなく石造りの建物があったはずだ。もしかしたら、なんとかなるかもしれない。
にしても、一人で炎の間を歩いていると、まるでこの世の終わりに立ち合っているようだ。揺らめく赤い塊に全てが呑み込まれ、徐々に灰となっていく姿が、次第に綺麗な光景に見えてきてしまった。
ほんの少し休憩して、眺めていたくなってしまう。
「はは……、案外、私って……、寂しがり屋だった、とか?」
あながち間違いでもないのかもな。
私はいつだって、何かが無くては立っていられない。復讐が約束に代わっただけなのだろう。
でも、不思議と情けなくは思わなかった。これが私の弱さであり、強さである気がする。
ジョゼット様も言っていたしな。私の強さは私の中に無いのだと。
だから、煙いし苦しいし、意識も朦朧としかけていて心底辛いが、まだ大丈夫。足は動かせる。意味もなく獣道を作り続けられたんだ、むしろこんな石畳の道なんぞ楽勝だ。
そうやって自分で自分を奮い立たせていると、理由もなく顔が上がった。
右腕で腹を抱え、左腕を口元にかざした状態で、導かれるように視線が横へとずれる。
まだ全焼は免れている建物の間、いつもなら喘ぎ声が響いているだろう何の変哲もない小道だ。そこに置かれている樽の上に意識を誘われる。
そして、思わず苦笑した。
「運が良い、のか……悪い、のか」
というか、これで通算何人目だ。そろそろ色んな孤児院から、世話をしきれないからと断られ始めていて、引き取ってくれるところを探すのも一苦労だってのに。
そうぼやきながら、悩むことなく足先を向ける。これぐらいの寄り道ならば、無慈悲な神だって目をこぼしてくれるだろう。
「お前、将来、大物に……なる、かもな」
自分さえまともに支えられない腕を、樽の上の存在へと伸ばす。
ボロ布の固まりにも見えたそれは、火災が起こる直前に運悪く捨てられてしまったのか、それとも逃げる途中で置き去りにされたのか。ともかく、生まれて間もない赤子だった。
今にも炎に焼かれそうな状況でありながら、暢気に眠りこけている。抱き上げても、起きる気配が微塵もない。
「助けて、くれるか?」
そっと頬を撫でると、乾ききっていなかった血が付いてしまった。
けれど、少しだけ身動ぎしてから、小さな手がゆっくりと私の指を握った。
寝たままなくせして、迷うことなく当然のように――
「ああ、一緒に……行こう。その代わり、力をくれ、よ?」
また一つ、生きる理由が増えてしまったようだ。
コートを脱がなければ良かった。仕方なくシャツの前を開け、素肌との間に赤子を入れてこの場を後にする。
歩く速度は少しばかり上がったが、これでは倒れることも出来やしない。
「いつ……か、しっかり、礼をもらう、からな」
人使いが荒い子供だと、苦笑しながら想う。
お前はこれからどんな人生を送るのだろう。相当図太くなりそうだが、それが健やかであれば良い。
しかし神は、とことん私に――私たちに、試練を与えたくてたまらないようだ。
目指したエリアへと続く道は、全て塞がっていた。
やみくもに歩き回るのは限界だった。場合によっては、既に四方を囲まれているかもしれない。
そうなると、後はゆっくり近付いてきて料理されるだけだ。炎に甚振られている。
かといって、あるかどうかも分からない隠し通路を探しても、この運の悪さの前ではあまりに勝算が見出せない。
おもわず口元が引きつり、悪態さえ吐けずにいた。
そんな私の気配を察したのか、今まで大人しかった赤子がいきなり目覚め、腕の中で激しく泣き出す。
分かってる、最後の一瞬まで諦めないって。
それともあれか、腹が減ったのか。だったら頑張って我慢しろ。生き延びたら、すぐに用意してやるから。
「悪いが、私のは、見かけ倒しで……役に立てない、んだよ」
見せつけるような場所で抱えているのは仕方ないからで、苛めているわけじゃないんだ。
残念なことに、なんとかあやそうとするが、逆に泣き方がひどくなるだけだった。
ああ――もう、うるさくてまともに頭を働かせられない。何も出なくても、吸い付いて黙ってくれるなら包帯をずらしてやろうか。
いや、そんなことよりだ。どうにかして逃げ場を、生き残る方法を見つけなければ。
しかし、やはりこのまま悩むよりかは、と考えたところで、隠し通路を見つけても蒸し焼きになる可能性があることを気付いてしまった。
それならいっその事、かろうじての空き地で穴でも掘ってそこに隠れ、建物が崩れてこないよう祈って過ごす方が良いのかもしれない。
「地下……、そうだ、井戸が……」
全てが追い詰められた獣が取る行動のようだったが、それでも一筋の光明を見出せた気がした。
慌てて現在地を確認し、記憶を探る。
たしか、少し戻れば娼婦が使う井戸があったはずだ。建物に囲まれていはいるが共有の庭のようになっていて、それなりの広さだった覚えがある。
あそこなら、隠し通路を探したり地面を掘るより、まだ可能性があるだろう。
というか、もうそれしか思い付かない。
「長くて、二晩……か」
自然と鎮火し、生存者の捜索に入り始めるまでの期間、はたして耐え忍べるか。情けないが、自信は無かった。
赤子はどうだろう。水には困らないとしても、やはり厳しいだろうな。
最悪な賭けにも程がある。それでも、やるしかないだろう。
腹を括り、来た道を引き返す。
すると赤子もぴたりと泣き止んでくれる。どうやらさっきのは、私を叱咤してくれていたらしい。
それでも弱い心は生まれてしまうもので、道すがら装備していた毒針の誘惑と戦った。意味も無く赤子に語りかけ、何度も色々な人からの言葉を思い出した。
そうして、やっとのことで目的の場所に辿り着いた時、そこで私は久し振りにまともな夜空を見ることが叶う。
こちらの苦労などお構いなしに、月が煌々と浮かんでいた。真っ黒な煙に縁取られている分、余計に明るく見える。
黒と金。そのコントラストには親近感がありすぎて、どうやったって嫌いになれない。
この風景を肴に酒を飲んだら、どんな味がするのだろう。
「ここで、待って、な」
しかし、その機会は別に取っておくしかない。すぐに意識を現実へと戻し、赤子を地面に下ろして動く。
幸いにして、周囲はまだ原型を多く留めていて、おかげで縄を数本と古びたはしごを見つけられた。それらを持って井戸の中を覗き込む。
良かった。内側に縄を掛ける場所がある。これなら命綱を着けられそうだ。
さすがに水に浮かび続けるのは自殺と変わらない。だから、はしごを見つけられたのは不幸中の幸いだった。長さを井戸の大きさに合わせ、上手い具合にはめることが出来れば、思っていたよりなんとかなるかもしれない。
まさかイースも、与えた剣がのこぎりの代わりに使われるなど想像もしていなかっただろう。
希望が生まれれば現金なもので、そんなくだらないことを考えながら作業を行い、すぐに実行するだけとなる。
赤子を抱き直し、固定しておいた縄を身体にきつく巻き命綱として、片手には短くなったはしご。万全装備だ。
「だい、じょうぶ。お前だけは、……死んでも、離さない、から」
ただし、その時はまた泣いて、自分の力で助けを呼んでもらわなければならないけどな。
不吉な冗談を言えば目が開いて、ほのかに笑ってくれた気がした。
まだまともに世界を映せないであろう瞳の一つには、頭上の月が閉じ込められている。もう反対側では、ひどい有様な私がいつもの表情を浮かべていた。
かなりボサボサだが、久し振りの短い髪は結構似合っている。口周りに血を付けて微笑む姿は、これぞ悪魔といった感じだ。
ロイドに見せたら、爆笑するかドン引きするか。今度やってみよう。能天気なあいつの顔を思い浮かべれば、大丈夫な気がしてくるから不思議だ。
「どうせなら、楽しい気分で、飛び込みたい、からな」
そうして、桶を落としてから井戸の縁に足をかけた。
作戦としては、足と背中でふんばってゆっくりと降り、適当な位置で尻の下にはしごを入れて固定する。
上手くいけば、後はのんびり救助を待つだけだ。ちょっと変わった月見とでもしゃれ込める。
けれど、この賭けの結果が出ることはなかった。
身体を前に倒した直後、それを制して誰かが肩を掴んだからだ。
「どこへお出かけですか?」
まったく気配を感じられず息を呑む私の背中から、笑いを噛み殺しながらの声がかかる。
その瞬間、相手が分からなかった時とは別の緊張が走った。
それでもゆっくりと振り返れば、目の前には眼鏡のレンズで炎を反射させながら肩を震わせる藍の小人――ではなく、煙管を咥え顔の全てで不機嫌なことを伝えてくる灰の小人がいた。
ちなみに藍の小人は、灰の小人の後ろに立っている。
最初から当てになどしていなかったが、なんで今更と思わずにはいられなかった。しかも私の前に現れるなど、どんな企みがあるか分かったものではない。
当然ながら助かったと安堵はできず、はしごを持つ手を緩め、いつでも剣を抜けるよう身構える。
気付いただろうに、それを灰の小人は一瞥するだけで、私を止め終わったと判断したのかあっけなく手を離して下がってしまった。
おかげでさらに、不可解さが増す。
「それで、どちらへ?」
しかし、私の心情などお構いなしで、約一週間振りとなる藍の小人はしつこく質問してくる。軽薄そうな笑みが鬱陶しい。
こいつがウィリアム副団長と同じで、面白さを追求するのは知っている。仕方なく、苛立ちを抑えて冗談混じりに返した。
「ちょっと、地獄……でも、見学しに、な」
「赤ん坊とはしごを持ってですか」
「手ぶらじゃ、つまらない、だろ?」
「確かにそうですね。地獄の門番も、それなら笑って通してくれるでしょう」
満足がいったのか、やっと会話が成立しそうな雰囲気となり、今度は私から問い掛けた。
まともな答えをくれなさそうな藍の小人ではなく、我関せずで月を眺める灰の小人に向けて。
「何、の……用だ」
だが、求めたものは得られず、どこまでも冷めた瞳がこちらを捉え、薄く開けた口から煙を吐きながら鼻で笑われてしまうだけだった。
単細胞がと真正面から小馬鹿にされるより、よほど神経を逆撫でしてくれる態度だ。
我慢だ、我慢。制御できる魔女が居ないこの場でこいつらの機嫌を損ねたら、赤子にまで危険が及ぶ。
「用がない、なら、消えてくれ。私は……忙し、い」
「地獄のお散歩で、ですか」
すると、なぜか灰の小人にしな垂れがかりながら、藍の小人が横槍を入れてきた。
そういえばこいつ、たしか男が好きとか言ってたな。もしかして、燃える西街を眺めながらのデート中でしたか。
それなら邪魔者は、さっさと消えるに限る。
しかし、それは外れだったようだ。人の心を読んだらしい灰の小人が、鋭い目付きで睨んできた。
良い年したおっさんが、小娘のちょっとした勘違いぐらい寛大に許せっての。
そして一言。
「魔女の命令だ」
意味を理解した瞬間、私は井戸に凭れてしゃがみ込んだ。なんとか命綱を外し、深くため息を吐く。
魔女が動き、使いの小人がここに来た。なら、抵抗するだけ無駄だ。
表の人間であれば何を馬鹿なと笑えるだろうが、私は裏に片足だけを突っ込み続けた身。その恐さを知っている。
あのクソババアの手に掛かれば、どんな罪も消えてしまう。何もしていないからではなく、何をしたのか分からないから捕まらないのだ。西街の大物が姿を消した時、かろうじて魔女が動いたのではと噂される。
あの存在こそが、必要悪そのものだと思う。
だから安心できた。今まで味わわせてやった紅茶の分、赤子を押し付けることはできるだろう。狙いは間違いなく私だ。
西街が燃えたのは表の世界が原因で、その制裁をしにこの二人が使わされた。私が標的になった理由は、イースとの繋がり。そう考えれば合点がいく。
「何か勘違いをされてませんか?」
しかし、予想はまたしても、かなり大きく外れていた。
大人しくなった私を前に、藍の小人が首を傾げる。
そして、思ってもみない言葉を口にした。
「私たちは助けに来たんですよ。新しい家を見つけた猫娘さんをね」
「…………は?」
あまりのことに、赤子を落としてしまうところだった。
慌てて抱き直し、呆然と二人の小人を見つめる。
そんな私を笑いながら藍の小人は近付いてきて、目の前でしゃがむと赤子を奪う。
その目に慈愛なんぞ存在しない。あるのは、どこまでも薄い無機質な光である。
だとしても本当に敵意はないのか、赤子は大人しく身を委ねていた。
「正確には、伯爵家の次男と共に動いた者ですが」
「どう……いう、こと、だ!」
私の訴えは尤もだったはずだ。
国王陛下に対しても我を通し、西街が崩壊しようと動かなかった魔女が、そんな軽い理由で動くわけがない。
すると、灰の小人が滑稽だと呟き、頬の傷痕を歪めた。
「貴様は何も分かっていない。魔女は調整者、表と裏を隔てることに重きを置く」
「こ……んな状況でも、動かなかった、くせに、それを言う、か」
「裏の世界が表の情勢に左右されるのは、至極当然なことではありませんか。魔女が主導する時、それ即ち裏が表にとって変わることを意味します」
理解はするも、納得ができない。それがなぜ、さきほどの理由と繋がるのか。
そんな私の様子に気付いたのか、藍の小人が立ち上がりながら口元に手を置いた。目を細める。
「末から聞きましたよ。大勢の前で、随分なご高説を垂れたそうですね」
あくまで傍観者だと告げたいらしい。そして私が、何も知らないのだと。
空いた腕を力なく垂らし、声がさらに弱々しくなってきたことに気付かない振りをして、なんとか虚勢を張り続けた。
睨みつけることも忘れない。
「あなたが居なければ、今の倍は犠牲者が出ていたでしょう。それは、誰が見ても明らかなことです。そんな功労者が死に、同行していた貴族のみが生き残ったとして、はたして皆の目にはどう映るか。せっかく払拭出来そうな噂が、形を変えて再び芽吹くかもしれませんね」
「そんな、はず……」
「無いと? あなたはいい加減、大きな渦の中に居ることを自覚した方が良いでしょう。端ではなく中心に、ですよ。……まあそれも、もう終わりでしょうが」
「これ以上の混乱は、表も裏も見境がなくなる。それを魔女は望まぬ」
「黒騎士の動向を見張っていた末が、あなたの救助でその貴族ともめていたと報告して来ましてね。魔女の判断により、回収が決まりました。残念ですが、殺してさしあげられません。生かす分、せいぜい働いて下さい」
しかし私の意見など、始めからどうでも良かったようだ。
到底信じられるものではないが、こいつらが魔女の命令を偽るとも思えず、困惑するしかなかった。
とはいえ、冷静であったとしても、おばばの真意を探るなど不可能だ。
――赤子が助かるなら、もう何でも良いか。とりあえず疲れた。
「その子を、……頼む」
半ば投げやりな気分になりながら振り絞って伝えると、激しく咳き込んでしまった。
そして、薬が薄れ始めたことに気付く。気力だけで保っていた最後の糸が切れたらしい。
じわじわと痛みを感じ、その勢いと強さに一瞬で意識を持っていかれそうになる。
それを引き止めたのは、藍の小人の聞き捨てならない言葉だった。
「良いでしょう。あの状況でこの子を見捨てないとは……。賭けには負けてしまいましたが、あなたの甘さには心底笑わせてもらいましたよ」
「うっ、ぐっ……。ちょっと、ま……て。お前ら、いつから、居た」
顔を上げることすらできなかったが、なんとか目だけは向けられた。
すると、藍の小人が全く悪びれた様子無く言い訳をしてくる。
「文句なら灰に言って下さい。最近相手をしてくれないので、賭けで釣るしかなかったのですよ」
「やっぱ……り、お前ら、そうい、う関係か」
「笑止。私はどちらでも良いだけだ。面倒な時のみ、藍で済ませる」
「ひどい人だ」
なんで私はこんな状況で、灰の小人の性癖まで把握しなければならないんだ。
というか、こいつらに倫理観はないのか。どこまで乱れれば気が済むんだろう。
あまりの馬鹿馬鹿しさと、井戸の中に入ってまで生き延びようとしていた私の必死さが無意味だったことが悲しくて、上半身を支えることすら出来なくなった。ズルズルと背中がすべり、土の上へ横倒れる。
痛みが、激痛では済まないものになっていた。
ちょっと本気で死にそうだ。私ってば、こんな身体で良く動けたな。
「あ、ちょっと。死なれたら困ります。私たちが魔女に怒られてしまうでしょう」
「知……る、か。お前ら、なんか……死んだ、方が、世の為、だ」
「命の恩人にひどい言い草ですね。そうでなくとも私とあなたは、共に死線をくぐりぬけた仲ではありませんか」
いけしゃあしゃあと。娯楽として作られたその死線のせいで、私は血反吐をはくことになってんだぞ。骨が折れていなければ、もっと頑張れたかもしれないのに。
かなり腹が立ったが、言い返す余裕など無かった。
「死んだら末にくれてやれば良い」
「ああ、それも面白そうですね」
小人の二人は瀕死の私を顧みず、暢気に危ない会話を繰り広げている。
なぜここで末が出てくるのか。内心で首を捻りながら、灰の小人にされるがまま小脇で抱えられる。
すると隣から、最悪な情報を与えられた。
「末は死体愛好者です」
だからお前らは、どうして私に性癖ばかり暴露する!
本当に末に渡されそうで嫌だ。絶対に死ねない。死にたくない。
「今度……、あいつ、の部屋、案内……しろ」
「それもまた面白そうですね。魔女もいい加減、あの趣味には辟易していましたから。居なくなれば、静かになって丁度良いかもしれません」
それが、私がこの場で発せられた最後の言葉だった。
灰の小人の動きに合わせ揺れる身体につられ、意識が沈んでいく。
「あ――が、新た――――か」
「世も――――な」
その間際に聞こえた会話は穴だらけで、意味などまるで分からなかった。
とにかくこうして、私の戦いは幕を閉じる。
結末を知れたのは、死神と一戦を交えて生還できた一週間後のこと。
国王陛下の奪還作戦は無事に成功し、王妃と第二王子、ブラウン一族を筆頭に、首謀者たちは一人残らず処刑され、多くの貴族が粛清の対象となり反王太子派は壊滅した。




