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88 天秤の城塞 一層目

随分と遅く……。すみません。

怒涛の二ヶ月でした……。


八十八



 馬車タクシーを降りて、荒れた岩肌の山道を登って行くこと暫く、聳える岩壁に埋まるようにして目的地が姿を現す。周囲には名も知らぬ草が疎らに生えており、左手側には大きな湖が、右手側には底が黒く霞む深い崖がある。

 天秤の城塞は、その湖と崖に挟まれた陸地を塞ぐように建っていた。

 城塞は、無骨で巨大な灰色の城と、湖から崖までを横切る城壁とで構成されている。長い年月を超えて色褪せているものの、圧倒的な存在感は未だ健在で、天から吹き降ろす風は侵入者を拒絶するかのように辺り一帯を薙いでいく。

 そこは遥か昔、不落王と呼ばれていた王の居城であり、人と魔物の大戦が起きた際、最終防衛線となった場所だ。絶対の防御力を誇る城壁は、巨躯の魔物ですら見上げたまま角を折ったというほどに巨大である。しかし大戦の影響は甚大で、難攻不落の城門は大きく歪んでおり、今は出入り口として機能していない。


「おっきいねー」


「そうじゃのぅ。おっきいのぅ」


 立ち塞がるかのように聳える城壁を見上げながらサソリが声を上げる。ミラは視線をちらりとだけその城壁に向けたあと、踊るように揺れているサソリの尻尾を見つつ、まるで一緒に散歩している孫の無邪気な言葉に返すかのように優しい声で答えた。

 若干、観光気分でいたサソリであったが、湖の傍の小さな砦に入ると瞬時にその気持ちを切り替え、薄暗い砦内から地下に続く階段を塞ぐ結界の前で立ち止まる。天秤の城塞本来の出入り口である門は使用不可なため、現在は脱出用の隠し通路として用意されていた道が唯一の入り口となっているのだ。


(さて、お手並み拝見だな)


 Aランクダンジョンである天秤の城塞には、一度来た事のあるアーロン。当時は六人パーティの一人として探索に参加しており、最前線で得意の得物を振るっていた。だが今回はウズメから、ミラの補佐という任を受けている。今回の戦闘要員は、ヒドゥンの二人とミラなのだ。五十鈴連盟の本部に詰めていれば自ずと聞こえてくるヒドゥンの噂からサソリとヘビの実力は大まかに予想できるが、前例のない賢者の弟子となると予測不可能である。

 地道に鍛錬を積み今の実力を得たアーロンは、そんな自分を一足飛びに超えていく、天才といった部類の者達を観察するのがなによりの楽しみであった。そこには、凡人では気付かないような発想がふんだんに盛り込まれているからである。それらを知り、より高みを目指すことが生き甲斐の凡人だと豪語するアーロンだが、見るだけで天才の技を理解し取り込めることもまた十分な才能であるとは気付いていないようだ。


 組合の結界を抜けて、細い通路を進んで行く。そこは二人がどうにか並べる程度の幅で、石の柱とブロックで補強されている。

 薄暗く、梅雨の時期にも似たじめりとした空気の中、アーロンが腰に下げたランタンの光に触れるたび、そこかしこに群れる黒い虫が方々に散っていくと、その都度サソリがうんざりしたような声を上げ、ミラもまた表情を歪め無言のまま肯定していた。

 声の余韻が消えればより一層、四人の足音が際立って響く。そんなことを数回繰り返したところで小部屋に辿り付いた。進み出るとランタンの明かりがぼんやりと周囲を照らし出す。むき出しの岩壁に朽ちた蝋燭台がいくつか取り付けられている以外は何も無い。

 そこは、隠し通路を隠すための隠し部屋であった。


「さて、どれだったか」


 部屋の特性上、正規の城塞内に通じる道もまた隠されており、アーロンはそう呟きながら折り畳まれた紙を取り出し、それと壁を見比べながら開閉装置を探る。


「簡単になったものだな」


 幾度と無く手で触れられているためか、明らかに磨り減っている壁の一部を見つけると、アーロンは溜息混じりにそこを押し込んだ。すると僅かな振動とともに壁の一部が扉のように開き、微風が隠し部屋に流れ込んでミラの銀髪を揺らした。


(ここも久し振りじゃのぅ)


 一歩出ると、左右に伸びては絡まるように入り組んだ通路が目に入る。天秤の城塞一階層目、そこは複雑に入り組んだ迷路になっており、隠し小部屋はその真っ只中に通じていたのだ。


「戦闘は、任せてしまってもいいんだったな?」


 アーロンが改めてそう確認すると「問題ないよ!」と快活にサソリが答え、静かに闘志を漲らせるヘビは無言のまま頷き戦闘用のゴーレムを作り出す。

 そして、ミラもまた召喚術の見せ場だとばかりにコートを翻しダークナイトを召喚、更にそのままダークロードに変異させた。ミラの隣で佇む殺戮に特化したその姿は、少女を護るため悪魔に魂を売った騎士とでもいった風体である。その全身を覆う刃の鎧は、血に塗れたような鈍い輝きを秘めていた。


「おおー、これが変異召喚かー」


 戦闘前の準備運動をしていたサソリは、ダークロードの姿を目にして声を上げる。単独で任務をこなすヒドゥンとして、特に様々な戦士や術士の技能について造詣が深いサソリ。彼女は話だけでしか聞いた事のなかった変異召喚に興味津々なようで、隅々まで観察するべくダークロードに取り付いた。


「気をつけるのじゃぞー」


 ダークロードは全身凶器という文字通り、宛ら愛嬌の欠片もないハリネズミのような姿をしている。そんなダークロードに夢中なサソリが、紙一重でその刃の隙間に顔を突っ込んでいるのを横目で見ながら、ミラはそれほど気の入っていない声で忠告する。

 そしてアーロンが眉間に皺を寄せて睨んでいる紙に意識を移した。


「随分と難しそうな顔をしておるのぅ」


 ミラは言いながらアーロンの手元、目線よりも僅かに高いところを爪先立ちで覗き込む。


「昔は十分に見えたんだがなぁ。歳をとったもんだ。細々としていてよく見えん」


 アーロンはミラの頭を見下ろしながら溜息を一つ吐き、自嘲気味に薄笑うと目頭を指先で押さえた。その紙には、天秤の城塞の一階である迷路が細部まで描かれており、正解の経路が赤く色分けされていた。更に注意事項が手書きで加えられている。それはダンジョンの見取り図であり、踏破したプレイヤー達が書き記したものの一つだ。

 ダンブルフ時代の頃では、プレイヤー間での取引のみで扱われていたダンジョン見取り図だが、今ではこういった地図も冒険者向けの店に当たり前のように並んでいるのだ。

 当時から更に緻密さを増した見取り図であったが、天秤の城塞のそれは流石にやりすぎといえる代物だった。


(些か細かすぎな気もするのじゃが、わしも歳かのぅ……)


 ミラは必要の無いルートまで網羅した極端に精細な見取り図から顔を逸らし目をしばたたかせると、正解のルートである方向に視線を移した。

 通路の幅は約三メートルほどで、等間隔に発光原理の不明な青い灯火が隙間無く迷路を照らしている。静寂を内包したような冷たい石壁で、数百年の時を経た建造物であるにも関わらず老朽化した様子は無く、あるものは戦闘の痕跡である染みと傷だけだ。

 天秤の城塞は大まかに、前、中、後で分けられており、それぞれ役割が違う。

 後層はミラ達が城塞を訪れた時に見上げた城壁よりも更に巨大で堅牢な壁があり、最上位の魔獣ですら阻むという。中層はとても大きな広間となっており正面城壁の門が通じている。ここには塹壕の名残や朽ち果てた兵器の数々、崩れ落ちた防壁などが無残に転がっている状態で、かつて最も激戦地となった場所だ。そして前層は更に四階に分かれており、その最上階には精霊王が降臨したという司令室がある。


「私に任せて。案内する」


 ヘビは唸っている二人にそう言うと、ゴーレムを先頭にして進み始める。その手にはヘビ自身が用意した見取り図があり、簡潔に正解のルートが記されていた。

 ミラとアーロンは顔を見合わせると軽く肩を竦めてから一笑し、ヘビを追いかけていくのだった。



 迷路に足を踏み入れてから十分と少々、ヘビのゴーレムが曲がり角の手前でその足を止める。


「敵です」


 ヘビが報告すると同時にゴーレムは床を踏み抜きそうなほど激しい足音をあげて走り出し、角から噴き出すようにして現われた蒼白い煙に無骨な拳を叩きつけた。


「力技じゃな」


 その煙はナイトゴーストと呼ばれる魔物で、想念によって構築された身体は物理的な干渉に耐性がある。だが、ゴーレムの一撃は確実に損傷を与えていた。

 ナイトゴーストはその原因となった拳から逃れるように霧散し宙を滑ると、ミラ達とは離れたところに再び姿を成した。魔物は鎧を着込んだ騎士のようなシルエットをしているが、ところどころに綻びが見て取れる。ゴーレムの拳によって削り飛ばされた部分だろう。


「アストラルジェルを持ってきているんだが、これはもしや必要ないか」


 手傷を負った魔物の様子を見て、アーロンは手にした斧を腰に掛けると、もう片手に持っていた小瓶をポーチに戻す。出番無く出戻った三日月型をした翡翠色の刃が、アーロンの腰で少し寂しそうに揺れた。


「そうかもしれんのぅ」


 ミラはヘビの奮闘ぶりを見守りながら同意する。実体の無い、俗にいう霊体系と呼ばれる魔物は物理攻撃に対して強いという特徴がある。そこでアーロンが持ってきていたアストラルジェルという道具の出番だ。これを武器に塗布することで、相手の物理耐性を無効化出来るのだ。もちろん効率は悪くなるが、使わず殴り倒す事も可能である。

 ミラとアーロンがそう話している内に、ナイトゴーストはゴーレムの豪快な右ストレートで粉々に千切られそのまま宙に溶け、続けて現われた二体目は、ゴーレムに組み伏せられたまま【追葬術:溶解輪廻】により爆散した。

 僅かな火の粉が舞う中、ヘビは新しいゴーレムを作り直してどうだといわんばかりの表情で振り返る。だが一番アピールしたかった相手であるミラは、アーロンが用意してきた多様なアイテムに夢中だった。覚えの無いものが多くあるからだ。

 そんなミラの姿を見てヘビはあからさまに落胆する。


「もう、気にし過ぎだよ」


 少々張り切り過ぎにも見えるヘビの様子を気にして、サソリが声をかけた。


「ウズメさんが三人って言ったところに割り込んだから色々と気にして、率先してるんでしょ。役に立たなきゃって」


 幾度となくその兆候があったのをサソリは良く見ていた。馬車の事などが主にそうで、そこは良く気が回るというくらいだが、戦闘に関してはそうも言ってられない。


「そんなこと、無い。今回は最重要の任務。だから当然」


 無駄に頑固だなと思いながらもサソリは困り気味に鼻を鳴らすと、ヘビの額をぺちりと叩く。


「なら尚更。これは私達の任務なんだから」


 サソリの言葉にヘビは口をつぐんだまま、こくりとだけ頷いた。


「どうしたのじゃ?」


 そんな二人に、この先の対策を話し終えたミラが声をかける。振り返ったサソリとヘビは、なんでもないと首を横に振り答えてから、ミラが手にしている物に注目する。


「保険じゃよ。滅多なことではないが、呪詛をかけてくる魔物が稀に出るのでな」


 そう言うとミラは手にした札、達筆すぎてもはやなんと書いてあるのかわからない紙片を二人に手渡した。それは抗呪霊魔符というもので、高位の霊体系の魔物から受ける恐れのある、『呪詛』という特殊な状態異常を一定数無効化できるアイテムだ。使いどころが限られているため余り出回っていないアイテムでもある。


「へぇー、ありがとう」


「感謝」


 サソリは興味深そうに受け取った札を眺めたあとサイドポーチにしまい、ヘビは両手で受け取り大事そうにローブの裏ポケットに入れた。

 この抗呪霊魔符はミラのアイテムボックスの底で眠っており、アーロンが準備してきたアイテムを見ていた時に思い出したものだ。

 高位の霊体系は物理メインの職には疎まれるが、術士にとっては魔物の最大生命力が低いという特徴により、好まれる傾向にあった。それはゲーム当時、術士はゴーストバスタ○ズなどと呼ばれていたほどにだ。ミラもまた同じ道を通っており、丁度良く持っていた札はその名残のようなものである。

 とはいえ、まだ一階ではそれほど警戒する必要も無い。

 ヘビの案内で進む途中、時折ナイトゴーストが集団で出現するもゴーレムが壁となって、周囲を足場に飛び跳ねるサソリとダークロードの無数の刃が容易く蹴散らしていく。アーロンは実に楽しげに、しかし眼光鋭くその様子を観察し、ミラもまたここぞとばかりにダークロードをけしかけていた。


(壁も走れるとはのぅ。どのように努力すれば出来るようになるのじゃろうな)


 そろそろ二桁に届くかという程度にナイトゴーストの集団を昇天させたところで、ミラはサソリの機動力に注目する。幅三メートルほどの通路で、岩の塊であるゴーレムと全身凶器のダークロードが暴れている中、その隙間を縫うようにして上下左右からサソリは飛び交うのだ。その動きはまるで巣を張った蜘蛛のように縦横無尽で、そこから繰り出される鋭い一撃は正にサソリという名の通りであった。


「時にサソリよ、その体術はどこで習ったのじゃ?」


 迷路の攻略は順調なまま後半にさしかかり連携もほぼ完璧になった頃、ミラはより精度を増した動きのサソリに問いかける。壁を走るだけでは飽き足らず、天井にまで両足で張り付いていたからだ。そのような技能はゲーム時代では見た事無く、覚えの無い新しい技能はミラにとって一、二を争うほどの感心事なのだ。


「あたしの村だよ。カラサワの里っていうんだけど、年頃になるとみんな習う伝統技能なんだ」


 サソリは前線から飛び上がりそのまま逆さまに天井を歩くと、そう答えながらミラの隣にひらりと着地する。


「すると、里の全員がお主のように飛び跳ねる事が出来ると?」


 ナイトゴーストが霧散していく姿を横目に捉えながら、ミラはサソリに顔を向けて再び問いを投げかけた。


「うーん、そうでもないかな。壁や天井に張り付くのは誰でも出来るけど、そこから先は本格的な修練が必要なんだ。才能の有る無しで修練を受けるか、受けられないかが決まるの。ちなみにあたしは、里一番の才能だって褒められたんだよ」


 サソリは少し得意げにそう言って飛び上がると、天井に着地してそのまま歩を進め始める。ミラはその姿を興味津々に目で追い、なるべく平静を装いつつ本題を口にする。


「それはすごいのぅ。わしもやってみたいのぅ。教えては貰えぬかのぅ?」


 ちらりと窺うようにサソリへ視線を向けるミラ。


「うーん、里一番のあたしは特例で色々と融通が利いたんだけど、この技能だけは絶対に教えるなって言われて、というより懇願されてるんだよね。だから、ごめんねー」


 サソリはくるりと地面に戻ると、そう言いながらミラの頭をくしゃりと一撫でした。


「むぅ、無念じゃ」


 髪が目元に掛かるのも気にせず、ミラは不貞腐れるようにそう呟いた。そんなミラの姿に、サソリは嬉しくなった。あのウズメが認めた賢者の弟子が、自分の技に興味を持ったのだから。


「でも、もしかしたらカラサワの里に行けば教えて貰えるかもしれないよ。長老に認められれば、だけど。そういう事もあったみたいだし」


「ほぅ、ほぅほぅ! それは真か!?」


 稀にだが、外部の者に伝統技能を教えている時もあった。サソリがその事を思い出し口にすると、ミラが機敏に反応する。


「うん。そう聞いた事あるよ。条件は厳しいみたいだけどね」


「可能性があるならば、試してみぬとのぅ。して、そのカラサワの里とはどこにあるのじゃ?」


 楽しげに微笑みながら、ミラは質問を続ける。


「えっと、グリムダート西の森の中だよ。フォレストハイドって大陸鉄道の駅が一番近いかな」


「森の中とな。あの辺りは随分と深かったはずじゃが、そんなところまで鉄道は走っておったのか」


「一昔前は隠れ里なんて呼ばれてたくらい、小さくて見つけにくい里だったんだって。でも今ではそこそこ賑やかだよ。任務が終わったら場所、教えてあげるね」


 アース大陸を一周するように敷かれた鉄道は、当然その途中で山脈や森などに突き当たる。様々な苦難を乗り越えそれらを切り拓き進んだ末、カラサワの里のように交流が生まれる事もあった。当時はそれで何かと問題もあったが、今ではもう落ち着いているようだ。


「隠れ里か。それは楽しみじゃな」


 ミラは、いつになるか分からない今後の予定にカラサワの里を加え、何気なしにダークロードへとマナを注ぎ込んだ。それにより特殊な能力を覚醒させた闇騎士は、全身の刃から溢れる黒い霧を自在に操り、迫り来るナイトゴーストの集団を瞬く間に一掃する。

 既にミラの予定は山積みだ。ならばまずは目の前の事柄を早々に片付けてしまおうと考え、一切の手加減を止めたのだ。結果、荒れ狂う闇は無数の霊魔を貪るように喰らい尽す。その圧倒的暴力の波に入り込む余地が無くなったサソリとヘビは呆然とし、その背後ではアーロンが「これが世界の深さか」と嬉しそうに呟いていた。

 その後、制限無く本来の能力を発揮し暴れまわったダークロードにより、迷路一階の魔物はもやは視界に映った端から塵となり消えていく事となる。ミラと試合をした経験のあるサソリは、その惨状に若干頬を引き攣らせ、戦闘では分が悪いと悟ったヘビはといえば即座に道案内に徹する事に決めるのだった。


 過剰戦力と迅速な案内により一行は順調に迷路を抜け、出口から直後の十字路に辿り付いた。ここは天秤の城塞において大きな分岐点となる場所で、道は直進と上下左右に分かれている。

 十字路を真っ直ぐ行けば、正門と繋がっている中層に抜ける事が出来る。

 左に曲がれば、そこは討伐クエストを受注時に限りレギオングールという魔物が出現する広場だ。

 右に折れた場合、城塞に隣接する崖の中腹に出られる。特殊な道具を利用することで、そこから地底フィールドに下りる事が可能だ。

 階段を下りると石の天秤が置かれた祭壇がある。だがそれだけであり、ミラの知る限りではクエストなどとも無関係の場所となっていた。


(司令室は、ここを上じゃったな)


 それぞれの通路を、心許無い明かりがぼんやりと照らす。ミラはその一つ、上の階へ続く階段に視線を向ける。

 任務の目的はキメラクローゼンの幹部を捕縛する事だ。いつ現われるか分からない相手をどこで待ち伏せるかだが、そのあたりはワゴンでの移動中に話し合いを終えていた。

 相手の目的が精霊王である以上、一番関連の深い場所に張り込むのが一番だろうと。即ち、最上階の司令室だ。

 四人は、別の通路に目をくれる事無く二階へと歩を進めた。

途中、PCが完全に沈黙するというアクシデントに右往左往していました。

執筆分は、別の記憶媒体を利用していたので無事でした。不幸中の幸いです。

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― 新着の感想 ―
ホーリーロードとかも出てくるのかな?
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