645 起点の一撃
六百四十五
魔王を中心に半円を描くように陣を組むノイン達。前衛陣の中心となるのはノインの他、壁役を担う名も無き四十八将軍『鉄騎老ルドール』と『千罪宮イドニエド』だ。どちらも頼もしい聖騎士である。
魔王との戦いが始まってから二十分ほどが経過した。これまでにない強敵という事もあり、進捗は順調とはいえない。何と言っても守りの技巧が高く、それに伴う反撃が強力だ。
巧みに攻め込んでも、それ以上のダメージを返されてしまう。
今は後衛陣が全力でサポートして、どうにか前線を保てているというような状態。
ただ魔王側からしても、仕掛ければ直ぐに四方八方からその隙を狙っていくとあってか攻め辛そうである。
(これほどの強敵を前にして、あの安定感。やはり流石じゃのぅ)
攻めきれないものの突破される事もないのは、こちら側の壁役が頼もしいからに尽きる。相手側にも同様の状態を強いる事が出来ているのは、ノイン達が防いでいるお陰だ。
巨城より前線の様子を見守りながら状況に合わせて支援の調整や指示を行っているミラは、そこに揃った三人の聖騎士に心から感嘆する。
基本に忠実でありつつ独自に磨いた技術を駆使して、あらゆる攻撃から仲間達を守り抜く仕事ぶりといったら、聖騎士の鑑そのものだ。
盾を捨てて剣を二本持つなんて独自性に走ったどこかの聖騎士に今を百回見せてやりたいと心底思うミラ。
「しかし、魔王の堅牢さにも恐れ入る。しかも、あれでまだフォーセシアの力は使っておらんのじゃろう?」
「そうですね。まだ私が仕込んだ魔法が反応していませんので。今はまだ、あの主因子が持つ力と技だけです」
魔王の動きをよく観察しながら、そんな会話を交わすのはミラとカシオペヤだ。
以前にカシオペヤは、フォーセシアが魔王となる未来を見越して、その体に細工をしていた。フォーセシアが持つ特別な護る力。それが利用された際に、これを封じてしまうというものだ。
現時点においても相当な守り強さをみせているが、カシオペヤが言うに、まだその力を使う前だそうだ。
「まずは今の守りを崩してから、というわけじゃな」
カシオペヤが施した封印の魔法は、魔王がその力を使っている時でなければ効果がない。そして護る力が残ったままでは、回数の限られる大技を仕掛けにくいというのが現状だ。
「それなりに追い詰めないと難しいかもしれませんね」
魔王は、力を見せびらかすように使うタイプではないようだ。むしろ、こちらの戦力がこれだけ揃っているからこそ、相手もまた慎重に手札を選んでいるのかもしれない。
「こういう時は、今の膠着気味な流れを崩すような一撃がほしいところじゃが──」
だからこそ、その危機感を煽れるような一撃を決めて、こちら側に戦況を傾けたいところだ。
それならば、やはりアイゼンファルドだろうか。けれどドラゴンブレスは前衛をこれでもかと巻き込んでしまうため実行不可。
ではルミナリアかソウルハウルか、カグラにでも。と、ミラが面倒な役目を押し付けようとしたところだった。
「なら丁度いい」
「その一撃、この俺が請け負おう」
そんな言葉と共にやってきたのは、ソウルハウルとルヴォラであった。
いわく、ルヴォラもまた停滞気味な現状に思いがあったそうだ。そしてこのままでは時間と体力と精神を浪費してしまうだけだと考え、現状に変化を加えられる方法を相談しに来ていたという。
「ふむ、その様子じゃと何か思いついたわけじゃな」
どこか自信に満ちた顔のルヴォラと、不敵な笑みを浮かべたソウルハウル。どうやらこの二人で、その一撃の策を練っていたようだ。
「ああ、その通り。鮮烈なやつを見舞ってやろう」
そう答えたルヴォラは「本来は移動用にと考えていたものだが──」と、その詳細を語り始めた。そして「──威力はこれまでの比にならないほどだ」と締めたところでミラは笑った。
「お主もまた、相当に無茶苦茶じゃな!」
馬鹿な事を考える者は九賢者に多いが、ルヴォラの策もまた頭の悪さといった面では、どっこいどっこいだ。そして、だからこそミラは面白そうだと同意する。
「それならもっと派手にいかないとだよな」
「いいと思う。私も手を貸しましょう!」
話を聞いていたのはミラだけではなかった。近くにいたルミナリアとカグラもまた聞き耳を立てており、その愉快で痛快な作戦に協力しようと半ば強引に割り込んできたのだ。
「いや、今回についてはソウル君とだな……」
「まあまあ、ほらほら」
「こういう時は万全に準備しないと」
既に準備は完了している。そう説明するルヴォラであったがルミナリアとカグラは聞く耳をもたず。もっと高みを目指せると捲し立てる。
「まあ、今の流れを強引にこちら側へ引き寄せようというわけじゃからな。生半可なものではいかんじゃろう」
そしてミラもまた、策の上乗せ魔改造に賛成派だった。
「……こうなったらどうにもならないからな。諦めてくれ」
ミラ達がこのように言い出したら、もう逃れる事は出来ない。それをよく知るからこそ協力者であるソウルハウルも早々に諦めたようだ。止めるよう求めるルヴォラに無駄だと説く。
結果、ルヴォラが考案しソウルハウルと練り込んだ作戦は、ミラ達の介入によって大きく調整されていく事になった。
元プレイヤーの中でも特に精鋭ばかりで編成されたチームだが、魔王との戦いは熾烈を極めた。
これまでにないほどの強さだ。それでも戦い続けていられるのは、各々が自身の立ち位置をしっかり把握し十分な役割を果たして、その実力を連携によって最大限にまで高めているからだ。
一気に崩されるような事にならないのは、何と言ってもノイン達聖騎士勢の堅牢な守りがあってこそ。
また魔王に好き勝手に暴れられないよう、しっかり警戒させられているのはメイリン達前衛達がいてこそである。決定打とはいかずとも、無視し続けられるほど無害ではない。そう思わせるくらいには攻撃も通じている。
また中衛陣による臨機応変なサポートに加え、後衛陣からの多種多様な補助と強力な援護射撃は前衛陣の心に心強さを与えていた。
ただ、どこで習得したのか魔王の剣技も彼らに負けず劣らずの鋭さであり、その反撃の巧妙さもあってか攻める時も慎重にならざるを得ない。
そのため魔王戦という頂上決戦のような舞台にありながら、攻防が繰り返されていくたびに対応のため、警戒のための探り合いが多くなっていった。
結果、今はその延長戦が続いており、絵面的には随分と地味に見える状況となる。
ただ見た目とは裏腹に、現場はただならぬ緊張感がずっと続いている状態だ。
(あとは、タイミングか……)
ノインは最前線にて魔王の一撃を気合でしのぎつつ機会を窺う。魔王の一挙手一投足を見逃さぬように注意しつつ、その目端でちらりと垣間見るのは仲間の陣営を秘密裏に駆け抜けていく団員一号の姿だ。
今の膠着気味な状況に一矢を穿つ策が進行している事と、そのために協力してほしい事について団員一号が伝えて回っているのだ。
その作戦に必要なメンバー全員に伝令を終えた団員一号が、『いつでもオッケー』と書かれたプラカードをノインに向けて掲げる。これに対しノインが言葉なく了解と示せば、団員一号は『がんばっ』と手を振って地面の下へと消えていった。
島の地下には、ソウルハウルとエリュミーゼが整備した地下通路が順調に広がりつつあるようだ。こっそり来て、こっそり帰っていった団員一号については魔王も気付けなかっただろう。
「……ふん、何か企んでいるな。しかし何をしようと無駄というものだ」
だが魔王はノイン達の動きや反応から、それを察したようだ。今回の作戦に絡む面々を一人ずつ見回しながら、不敵に笑ってみせた。
「よく見ているんだな」
相手は確信を持っている。ならば誤魔化したところで無意味だ。ノインは魔王の言葉に肯定で返すも、そこに焦りを一つも浮かべはしなかった。
「それじゃあ、試してみようか」
むしろ挑発的に笑ってみせる。
「面白い!」
言うが早いか魔王は瞬時に飛び出した。しかも狙うのはノインではなく、作戦メンバーの一人であるゴットフリートだ。
「おっと、やるか!?」
これに真っ向から勝負を挑むゴットフリート。その大剣を豪快に振るい、鋭く迫る魔王の剣と打ち合う。
体格差、そして得物の重量といった面でいえばゴットフリートがずっと有利だ。けれどぶつかり合ってのせめぎ合いを制したのは魔王であった。
恐るべき重圧によって体勢を崩し、更なる一撃を受けて大きく弾かれるゴットフリート。咄嗟に大剣を持ち替えて防ぎはしたが、完全に間に合ってはおらず、その肩に深く刃が食い込んだ。
「次は俺だな!」
「いや、私だよ」
「僕に決まっているじゃない」
ただ魔王が続けて剣を振り上げた直後には、近くの将軍達が一気に動いた。
このまま追撃などさせるはずもない。深くまで踏み込んで来た魔王に容赦なく一撃を叩き込んでいく。
「相変わらず群れると厄介だね、君達人間は。本当に見事なものだ」
魔王といえど、その状況から無傷で抜け出すのは不可能だったようだ。憎たらしげに不満を口にするその体には幾らかの傷が刻まれていた。
「魔王に褒められるとは光栄だな」
「いや、今のは皮肉だろ」
これほどの実力者に認められたとあってか、肩から血を流しながらもゴットフリートは照れたように笑う。これに苦笑で返すのはローザンだ。
群れる事で、より強くなる。それは、ここにいる誰もが十分に理解するものだった。
国家戦力の筆頭である彼ら彼女らだが、この場に揃った誰一人として自分が最強だなどと思い上がった者はいない。何より、それ以上の敵と幾度も戦ってきたからだ。
だが、今は違う。こうして集まり連携するこのチームについては、誰もが最強だという自負を抱いていた。
「次は、私かな」
手当のために下がるようゴットフリートに促したローザンは、重厚な刀を手に魔王を睨む。
「ああ、その通りだ」
魔王は彼の傍に控える者達を一瞥すると、強烈なまでの威圧感を発しながらローザンへと斬りかかった。
「よし、来い……!」
納刀したまま構えるローザンが狙うのは抜刀術。ゴットフリートが力負けするとしたら、もはや一対一の押し合いで敵う者はいない。だからこそローザンは、その前に最速の技を決めるという選択肢を選んだ。
恐るべき膂力を秘めながら、速度までも合わせ持つ魔王。一足飛びで瞬く間にローザンへと迫る。
「──!」
あと僅か、ほんの爪の先ほどの距離で居合の間合いに入ろうかというところだった。直後に魔王の姿が掻き消えたのだ。
けれどローザンは動じない。むしろ鋭く目を細め、半歩前に踏み込みながら刀身を鞘に走らせ空を一閃した。
「目がいいな」
音速すら超えるローザンの刃。空気を斬り裂くほどの衝撃と共に、その一撃は確かに魔王の胴を捉えていた。それでいながら、それを受けてなお頭上より強襲する魔王は平然と剣を振り下ろした。
「くっ……!」
ローザンの抜刀術は、抜き斬りを最大限に突き詰めた先の先をとる一撃必殺。だからこそ完全に決まっても微動だにしないというような相手には、これまで遭遇した事がなかった。
ゆえにローザンの反応は、これまでで一番というくらいに早かった。未知に対する反射の如く、それこそ本能的な速度で前方に跳んでいた。
魔王の剣が右肩に食い込むも、ローザンは勢いそのままに転がる。
右肩は、まだ胴にくっついている。確認しつつ血が溢れるそこを押さえ咄嗟に振り返ると、既に仲間達の姿があった。魔王に追撃を許さず押し返し、イドニエドが守りを固める。
「あの手応え……あれが話にあったやつだろうか」
自慢の必殺技が、完全に無効化されていた。それを目の当たりにしたからこそ気づく。あの瞬間に感じた何かこそが、魔王の──もといフォーセシアの力だったのではと。
守りが得意とは聞いていたが、その手応えから既にその域を超えていると実感したローザンは皆に注意を促す。そして治療を受けるために前線から退いた。
「これならどうかな!」
「むぅん!」
魔王が次の標的を決めるより先に、アルトヴィードと鳳凰が仕掛けた。イドニエドが僅かに魔王の剣を受け流した一瞬を見計らい圧倒的な手数で攻める。
魔王とはいえ、前後から迫る怒涛の乱撃は完全に防ぎきれないようだ。しかし鳳凰の拳を受けても手にした剣の勢いは衰えぬまま。アルトヴィードの代名詞ともいえる剣嵐と真っ向から打ち合っていた。
しかも、その途中だ。剣と剣による攻防の中、不意に魔王が左手で剣を受け止めた時に状況が動く。
「なるほど、これか──!」
ローザンより伝えられたフォーセシアの力。使い方によっては研ぎ澄まされた刃を素手で止めるなんていう使い方まで出来るようだ。
ほんの僅かな瞬間に繰り出される数十の斬撃。その内の一つを左手で止められた事により、一瞬だけ魔王の剣が自由になってしまった。
目にも留まらぬほどの打ち合いは、それこそ目にも留まらぬ瞬間に決する。
「こりゃあ……まずいね」
迫る剣を前にして、アルトヴィードは咄嗟に左腕を犠牲にした。集中させた闘気による防御もあって骨の中程までで止めきれたが、このまま更に大きく振り抜かれでもしたら、被害は更に甚大だろう。
けれど、そのような事にはならない。
【奥義・天響八止】
なぜなら魔王の後ろで、より強大な闘気を練り上げていた鳳凰がいたからだ。
その蹴撃はローザンの抜刀の如く。鳳凰が振り抜いた脚は、これも音速に迫る速度で魔王の胴に炸裂した。
「おおっ……」
鳳凰渾身の一撃の重さと衝撃力は、魔王の想定を超えていたようだ。僅かに驚きを示しながら地面を転がってから飛び起きる。
その時だ。不意に地面が歪んだかと思えば、それは即座に鎖状へと変化して魔王に絡みついた。
地面に擬態していたエリュミーゼのマッドゴーレムだ。それが今、魔王を拘束するため一気に集まっていった。
「ふん、このようなもので」
団員一号がゴットフリート達に伝えたのは、この場に少しの間だけ魔王を足止めしてほしいというもの。
結果、誘導は成功した。けれど魔王はその膂力と剣技をもって、マッドゴーレムを斬り裂いていく。
本来は、そこからマッドゴーレムが固まるまでの間、魔王の抵抗を抑える予定だったゴットフリート達。けれどそれに気づかれ先んじて、作戦を伝えられた全員が深手を負わされてしまった。魔王の洞察力を読みきれなかった事が失敗の要因といえる。
「残念だったな」
マッドゴーレムを斬り捨てていく魔王は、余裕の笑みを浮かべる。
苦戦しつつも誘導までは出来たが、完全な足止めは叶わなかった。伝令から動くまでの早さを重視して伝える人数を絞ったからこその失敗といえるだろう。
これに即応出来る者はいなかった。ただ、それとなく流れを察し、魔王の抵抗を押さえ込むため数人が動こうとした時──。
「ちょっと大人しくしてもらうでござるよ」
なんとマッドゴーレムが擬態していた地面の下に潜んでいたサイゾーが、潤沢に用意済みだったミスリルの鎖を一気に投じたのだ。
固まる前のマッドゴーレムの鎖に比べると、その強度は段違いだ。そんなミスリルの鎖を操るサイゾーは、魔王の両腕を拘束して堅牢に地面へと繋ぎ止めた。
「直ぐ離れるでござる!」
これで作戦完了と言わんばかりに、駆けつけようとした面々に退避を呼びかける。
サイゾーは、この作戦概要を全て把握していた。なぜなら彼は、その地獄耳で団員一号がゴットフリート達にどんな作戦を伝えていたのかを聞いていたからだ。
魔王は鋭い洞察力によって団員一号と接触していた者達を見抜き、先んじて彼らを襲撃した。だからこそ直接団員一号と接触せず、離れた位置で聞いていただけのサイゾーがこの企みを把握しているとは気づかなかったのである。
そしてサイゾーは、この瞬間のために。作戦を潰したと慢心した魔王の僅かな隙を穿つため、ひっそりと地下で準備していたというわけだ。
「だが、この程度!」
魔王の膂力の凄まじさは、尋常なものではない。多重に巻き付けたミスリルの鎖がギシリギシリと軋み始めると、一本、また一本と弾けるように千切れていった。
だが、それでも今直ぐに拘束から抜け出せるというものではなく、作戦はそれで十分でもあった。
次の瞬間、後衛陣の方から一つの号砲が響き渡る。
城壁にある特大の巨砲。その特大の一撃を決めるのかと思えば、どうした事か。皆がまさかと目を見開く。
なぜなら飛来する砲弾にルヴォラが立っていたからだ。
「秘技──」
しかもそれだけではない。ルヴォラは、その砲弾の勢いまでも利用して、そこから真っすぐ魔王へ向けて跳躍したではないか。
巨砲より放たれた砲弾が持つ物理エネルギーを勢いに換えて飛来するルヴォラは、その圧倒的な速度のまま魔王へと迫る。
【仙術・地:雷鎚鉄戈】
空にマナが集約して魔術の雷が落ちると、ルヴォラはそれを脚で受け止めた。そして紫電に包まれながら、仙術に魔術が合わさったとっておきの一撃を放った。
「また、無茶苦茶な……」
かなり、というより常識を逸脱し過ぎたくらいの一撃だったからこそ、結果もかなりのものだ。落雷のような轟音が響くと直撃を受けた魔王は、ものの見事に吹き飛んでいった。
「よっと……これなら多少は効いただろう」
地面に穿たれた穴から、よろりと這い出てきたルヴォラ。彼は魔王の飛んでいった方に目を向けながら、手応えはあったと笑う。
「今のは凄かったヨ!」
彼の一撃を絶賛するのは、仙術士仲間でもあるメイリンだ。研鑽し合う同士であるからこそ、今のがどれほど凄まじいものだったのかを理解していた。
本来は、跳躍状態から雷を纏い豪快に蹴り下ろすといった術だ。
だが今回は発射された砲弾から跳躍する事で速度を上乗せし、更には途中でルミナリアの魔術を巻き込んで雷を極限まで強化した。
また、いくら鍛錬しているからとはいえ、その甚大な負荷に耐えきれるはずもないので諸々の強度と属性付与の相性から武装召喚で補う。
そこに加えてカグラの《破軍》だ。属性を纏い強化された武装召喚を対象に、その性能を限界以上まで増幅したのである。
その結果が、先程のあまりにも無茶苦茶な一撃だった。
「ここまでやるつもりはなかったが……まあ上手くいってよかった」
元々の予定は、ただ大砲で撃ち出してもらうくらいのつもりだったルヴォラ。だが九賢者に目をつけられて魔改造されてしまった今、こうして無事に立っていられる事をまず一番に喜んだ。
なお反動と衝撃で武装召喚の防護は効果が既に砕けてしまっている。生身で同じことをさせられていたらと肝を冷やしたルヴォラは多少安全も考慮してくれたミラに感謝しつつ、魔王の状態を確認する。
「これまた頑丈だな。けど、まあ目的は達したか」
魔王は既に起き上がっていた。そしてどこか不機嫌そうな様子で、じりじりとこちらに向かって来ている。
多少のダメージも期待したが、その程はあまり見られなかった。けれどミラからの指示は達成出来たとルヴォラは満足げだ。
「いや、お見事。これでもう少し戦いやすくなりそうだ」
戻る魔王を迎え撃つべく構えるノインは、その状態を確認して彼の活躍を称賛する。
あれほどの一撃を受けてもなお、魔王に目立った外傷はない。けれどこれまでとは大きな違いがあった。
それは、手にしていた得物だ。
そう、ルヴォラが一番に狙ったのは魔王が手にしていた嘆く亡者の剣だった。それが今、完全に折れている。もはや武器として使う事も出来なければ、何よりその特殊な効果を発揮する事も不可能だろう。
「早速、曲も変わったな。盛り上がってきたぞ!」
治療を終えて駆けつけたゴットフリートは戦場に響くレティシャの音楽を聴いて快活に笑う。
しかもゴットフリートだけではなく、全員の顔に更なる闘志が浮かんでいった。
これまではレティシャとパムの力で、嘆く亡者の剣の効果を相殺していた。だがそれが必要なくなった今、二人は仲間の強化に専念出来るようになったのだ。
特に上位精霊であるレティシャとパムの補助は頼もしく、前衛陣は勢いと活力を取り戻していく。
魔王が強敵である事に変わりはないが、先程までよりもずっと戦いやすくなるはずだ。
「っと、これからって時だが、もう暫くは耐久戦が続きそうだな」
全力で魔王に挑もうかといった矢先に、後衛陣から合図が送られてきた。それを確認したゴットフリートは島の端々へと視線を巡らせ、思った以上に大変そうだと苦笑する。
何があったのかというと、単純明快。魔物の群れの登場だ。
魔王の拠点を壊滅させて、その時に相手の手勢のほぼ全てを処理し終えたようにも思えたが、それはそれ。
ここにいる全員が、残りは魔王だけ──などとは考えていなかった。
何と言っても、相手は魔物を統べる王を継ぐものだ。拠点の配下を潰せば終わりのわけがない。状況によっては、その場で集めてしまうなんて事をしてくるかもしれない。
その懸念は、やはり正しかったというわけだ。
「確かに。とはいえ、こっちでやる事は変わらない。このまま魔王を引き受けておくだけだ」
時間はかかるだろうが、今の戦力ならばどうにかなる。そう信じるノインは続々と上陸してくる魔物の群れから目を逸らし、魔王にのみ集中した。
やはりというべきか、魔物の群れは魔王に従っているようだ。何か指示するような素振りをみせると、群れが大きく広がり始める。範囲攻撃で殲滅し辛いように広範囲へ分散させたのだろう。
「そうでござるな。拙者達は拙者達でやれる事をやるでござるよ」
想定していた状況であるため、既に後衛陣の方で作戦は進んでいる。だからこそ援護が薄くなってしまうが仕方がない。
それよりも後衛陣が集中出来るよう、ここが踏ん張りどころだと意気込むサイゾーは、けれど最前線は任せたと言って地下の通路へと潜っていった。
忍者である彼の能力は、忍んでこそ本領を発揮出来るというもの。そして臨機応変に立ち回る彼の頼り甲斐は確かだが、それでもなんだかなと苦笑するノインだった。
先日、ふと思い出したんです。
そういえば、今年はまだふるさと納税していなかったと。
という事で何にしようかといい感じのものを探していたわけですが……
そこで自分的にホットなそれを見つけたのです。
それは、銀山温泉お土産セット!!!
そう、ストリートビューで見るだけだった銀山温泉のお土産が味わえるというのです!!
というわけで今回は、山形祭りの開催となりました。
銀山温泉お土産セットと、芋煮、そしてどんどん焼きを選んでみました!!
思う存分に味わっていきたいと思います!
ビバ、山形!!




