635 初撃必殺
六百三十五
「とりあえず初撃は私達でいいでしょう?」「な」「いいだろう?」
データを一通り見終えたところで、一番手に名乗りを上げたのはルミナリアだ。加えてその隣には、名も無き四十八将軍のシュバルツとクラバが得意げに立っていた。
この三人に共通するのは、魔術士であるという点だ。つまり開戦の合図は任せろという意味である。
「まあ、それが一番だろうね」
「やっちゃってください」
アンドロメダとカシオペヤもまた、それでいいと承知する。
ミラもアイゼンファルドで参加したいところであったが、この三人の邪魔はするまいと大人しく身を引いた。ミラにはミラで突入後も重要な役目がある。だからこそマナは温存しておく方がいいというものだ。
と、そのように要所要所の作戦まで突き詰めていたところ。
「おお、我が君主様。お待たせいたしました。かの者が目を覚ましましたのでご報告させていただきます」
ミラの後ろに転移してくると同時、その隣に素早く跪くダンタリオン。
いわく、ニルヴァーナの空港で浄化した公爵が目を覚ましたそうだ。そして役に立ちそうな情報はないか聞き出してきたという。
ただ結果的に言うと、主因子を引っこ抜いた影響が強く、最近の事については記憶に残っていなかったそうだ。
「しかし、少々気になる点もございまして──」
最近の出来事はさっぱりだったが、ある程度過去に遡った出来事、中でも特に印象深い記憶についてはそれなりに残っていたそうだ。
またそれらは断片的だったが、中には今にも関係していそうなものが存在していた。
それは、魔王が関係した記憶だ。
「記憶は完全とはいえませんが現状に役立つかもしれませんので、その詳細をお伝えいたします」
ダンタリオンは公爵が記憶していた魔王について念入りに聞き出していた。彼の口から、魔王の傘下であった公爵が把握している情報が語られる。
いわく、魔王の復活は九年とちょっと前。この辺りについては、カシオペヤの情報とも一致する。
ゆえに続く情報は、そこから先についてだ。
魔物を統べる王の力を引き継いだのが、今の魔王だ。そしてその目的は、魔物を統べる神の復活。そのために、かの主因子は大陸に残されたのだ。
それに憑りつかれていた公爵は、だからこそ、これまで自分がどのような感情で何をしていたかについても理解していたという。つまり魔物を統べる神の復活のためだと、その行動に一貫性があったと認識していたわけだ。
「──しかし、そんな彼は以前から疑問を抱いていたそうです。主因子を持つ魔王も当然、同じ目的で動いているはずが、どうにもそうではない一面が垣間見えると。もしかしたら、魔物を統べる神の復活以外にも、何かしら企んでいるのではないか、というのです。こちらについては彼の主観による感想ではありますが、何かと他者不信……懐疑的……疑り深い……、あ、慎重な彼の事です。もしかしたら本当に何かあるのかもしれません」
そこまで話しきったダンタリオンは最後にもう一言「そんな彼が言うに、どうやら仲間の悪魔の誰かがそれを手伝っていたらしいです」と付け加えた。
「魔王が企む、もう一つの目的か。ふーむ、見当もつかんのぅ」
ダンタリオンが持ち帰った情報は、拠点攻略に役立つようなものではなかった。しかし、興味深い内容なのは確かだ。
そして、もしもそれが着実に進行している状態だとしたら、今後の方に影響が出る恐れもある。
はたして、その企みとは。不穏な要素が出てきた以上、そのままにしてはおけないというものだ。
「なら、魔王に直接問いただすか、もしくはその手伝っていたっていう悪魔を浄化して聞き出すって感じだね」
「うんうん、今出来る事から考えたら、そうするのが一番だね」
これこそが、この先にとれる確実な方法だとハミィが言えば、アンドロメダもまたそれが簡単確実な方法であると肯定した。
ただ、どの悪魔かまでは特定出来ていない。ゆえに、その企みを確実に暴くのならば、魔王側の悪魔を残さず浄化しなければならないという事。
と、そこで一つ問題が出てくる。それは、かの黒い液体についてだ。
悪魔を変異させてしまう、黒い液体。あれを使われてしまったら浄化する事が出来なくなってしまう。
幾らか対策を話し合ってはいるものの、絶対に阻止出来るとまではいかない。しかし今回の件で重要性が増した以上、そこをもっと突き詰める必要がありそうだ。
「確か、あれじゃろう。浄化についてはそっちの組織から助っ人が来てくれる事になっておったが、結局のところ、何名来れるんじゃ?」
ヴァレンティン達の組織も何かと忙しいという事で合流はギリギリだが、それでも魔王との決戦に向けてヴァレンティン以外にも悪魔を浄化出来る者が来てくれる手筈にはなっていた。
だが、それが誰なのか、何名ほど来るのかについては、まだはっきりしていない。
「お主は出来るか?」
今回の場合は、多ければ多いほど有利になりそうだ。ならばとミラは、脇に控えるダンタリオンを見やりながら問うた。
「ぐっ……申し訳ございません……」
こんな感じではあるが、能力的にはとても優秀なダンタリオン。けれど浄化の法は、かなり特別な代物らしく彼でも難しいようだ。
役に立てるチャンスを逃してしまったと悔やむダンタリオンの表情は、深く沈んでいった。
と、そんな時──。
「というわけで、余の出番というわけだ!」
まるでタイミングでも見計らっていたかのように、何者かが転移でド派手に登場したではないか。
「なんじゃ!?」
あまりにも唐突で、あまりにもキンキンと響く声とあって、ミラは驚きつつも迷惑そうに振り返った。
そうして他の皆も誰だ誰だと浮足立つ中で、ヴァレンティンだけが「あ」と何か知っているような反応を示す。
見るとその人物は、とてもわかりやすい特徴を持っていた。そしてそれはアンドロメダやカシオペヤと同じ特徴。
そう、天魔族である。ただ先の二人とはどうにもこうにも趣きというか、雰囲気、印象、その他諸々が違っていた。
「余の名は、ペネロペ。よろしくっ」
全員の視線を一身に受け止めたペネロペは、実に見事なギャルピースを決めながらそう言った。
そう、ギャルである。いったい何がどうしてそうなったのか。服装から何から頭のてっぺんからつま先に至るまで、ギャルとしかいいようのない色で染まっていた。
「ペネロペさんが直々にでしたか。それならもう大丈夫ですね」
実に衝撃的な登場と印象なのだが、ヴァレンティンにしてみれば、もはや慣れたもののようだ。彼女については特にこれといった突っ込みはなく、簡単にペネロペについて説明してくれた。
いわく、彼女こそがヴァレンティンらの所属する組織の創始者であり、また悪魔を浄化するための方法を確立した天魔族との事だ。
「話は聞かせてもらったよ。これから魔統べ王の後継者とやり合うんだって? で、その配下の悪魔ちゃん達を浄化するにはヴァレちゃんだけじゃあ不安っていうじゃん? だから、ここは一つ出番かなって思って余が来たわけだ!」
話自体は通してあったが誰が出張るかについては、つい先ほどペネロペが自ら決めたそうだ。公爵から得られた情報に加え、これまでにない大舞台になりそうだからこそ自ら出陣する事を選んだらしい。
ただ見た目の緩さとでもいうべきか、本当に大丈夫なのかという疑問の視線がヴァレンティンに向けられていく。
「ペネロペさんに任せれば、浄化は問題ありません。僕とは比べ物にならないくらいですから。ただ戦闘面においては正直あまり期待は出来ないので、誰かしら護衛に就いてもらった方がいいかもしれません」
悪魔の浄化の創始者だけあって、その方面では達人の域にあるペネロペ。だが特に研究者寄りであるため、戦闘の方では大した活躍は期待出来ないようだ。
「そこら辺は、相変わらずなんだね」
「仕方がないですよね、得手不得手がありますから」
前から変わらないと笑うのはアンドロメダだ。対してカシオペヤは、自身もそこまで得意というわけではないからかペネロペ寄りである。
見た目のギャル感とは裏腹に、インテリ系のペネロペ。彼女は天魔族の中でも特に、知識欲というのに憑りつかれた変わり者だそうだ。
いざという時の備えくらいはあるだろうが、戦いの場では役立たず。何なら優先的に狙われてしまう事だってあり得るため、出しどころが難しいというのがアンドロメダの寸評だ。
「でもほら、余の研究成果で大きな可能性が生まれたわけだからね、感謝してくれてもいいんだぞ」
いっそ浄化の達人ほどではなくとも、ある程度自衛出来るくらいの戦闘力を持った者の方がよかったのでは。そんな雰囲気が広がり始めたところで、むすりと不貞腐れたように唇を尖らせながら虚勢を張るペネロペ。
「そうだな、凄いな! ペネロペ様様だ!」
そもそもペネロペがいなければ悪魔の浄化なんて事は出来なかった。戦闘云々など直ぐに忘れたゴットフリートは、彼女の偉業を素直に称賛した。
「え、あ。そ、そう? うんうん、ほら! そうなんだって!」
普段はどのように扱われているのだろうか。もしかしたら褒められ慣れていないのかもしれない。
真っすぐなゴットフリートの言葉に戸惑ったペネロペは少しして、ようやくそれがちゃんとした誉め言葉であると理解したようだ。特にアンドロメダとカシオペヤに見せつけるようにしながら得意げに笑ってみせた。
ニルヴァーナを発ってから数時間。ペネロペの動きも加えた上で調整したり、緊急事態の際も想定しつつ作戦を詰めたりといった事も終わり、後はそれぞれのチームごとで話し合っていたところだ。
「もう十分そこらで到着するみたいだから、準備の方よろしく」
魔王の拠点がある島まで、あと少しのようだ。そう報告しにきたミケは、また忙しそうにどこかへと走っていった。
「それじゃあ、スタンバイしておきましょうか」
「ああ、いこう」
「よし、まずは我らの出番だな」
そう言って立ち上がったのは、ルミナリアとクラバ、シュバルツら魔術士組だ。三人とも広範囲殲滅魔術を持つ、いわば歩く戦術兵器とも言える存在である。
今回の作戦は、まずこの三人が開戦を告げる役目を担っていた。
いよいよ、魔王との決戦の時がきた。ルミナリア達に続き、全員が飛空船の甲板に上がっていく。
「ふむ、あの島じゃな」
現在飛空船は、術式迷彩を起動したまま海面近くギリギリを飛行している。その甲板から見えるのは、一面に広がる海原と正面の不気味な岩島だけだ。
カグラのお陰で特定出来たその島こそが魔王の拠点であり、また目的の骸もまだそこにある事がわかっている。
「準備はいいかい。上昇開始するよ」
その声にルミナリアが手を振れば、飛空船の高度が上昇し始める。そして同時にルミナリア達が詠唱を始めたところで、甲板には身も震えそうになるほどの緊張感が広まっていった。
『虚言に満ちた罪を裁くは、憤怒の焔。闇を照らすは、生者の祈り。
災いの果て、嘲笑う聴衆は呪言を囁き、純白のドレスを黒に染めた。列為す騎士は、無慈悲な刃をもって正義を謳う。
紅蓮を纏う乙女の願い。始まりを告げる原初の咆哮。今ここに審判の時は来た──』
名も無き四十八将軍の一人、紅蓮卿クラバ。炎と爆轟術式を好む彼は、厚手の黒いローブを身に纏い、顔には溶接工のようなマスクを被っている。どれも耐火性に優れており、時には自身すらも巻き込んで周囲を焦土に変える様は驚異そのものだ。
『枯れた大地に光亡き空。死出の鳥に覆われた滅びの国。無力な王をあざ笑う漆黒の帳。
死は翼を持ち、恐怖と絶望を運んで巡る。逃げ場はなく、救済もなく、未来もなく、罪なき骸が虚無の牢獄を満たす。
常闇の空。濁った瞳で天を見上げる王の忌み子は、そこに祝福を得る──』
名も無き四十八将軍の一人、粉砕者シュバルツ。初撃にして最大の一撃を放つため、杖を掲げて詠唱を紡ぐ。ただ筋骨隆々で白く輝く鎧を身に着けたその姿は、魔術士というより戦士にしか見えない。一見するなら杖よりも斧の方が似合うだろう。
だが彼もまた魔術士。その逞しい身体から溢れるのは、膨大なマナである。
『灰色の空、黒い月。疑心に染まる星々が、王を失った偽りの夜。全ての愛は零れ落ち、僅かの希望も流れて消えた。
主なき騎士団は、虚無の荒野を彷徨い歩く。その目に宿るは、後悔と懺悔。その手に握るは、憤怒と忠義。
千日千夜に及ぶ旅路の果て。誉れ無き英雄は、終わりと共に始まりを迎える──』
九賢者の一人、天災のルミナリア。その美貌で男女問わずに多くの目の惹き付けて止まない彼女だが、その二つ名の真意を知る者に至っては例外だ。
天災とは、自然現象によって引き起こされる災害の意。つまり彼女の魔術はそれほどまでの規模と評されているわけだが、それでもまだ理由の半分でしかなかった。
「おお……」
大陸最上位の魔術士三人による、最上位魔術。それは詠唱の段階から、尋常なものではなかった。
大気中のマナが震えざわつくのを誰もが感じられるほどで、だからこそ、それを初めて体感した者達の反応は驚きと緊張に偏る。
「なんという迫力だろうか……」
「凄い、毛が逆立ちっぱなしですよ……」
ただ、戦慄の中で興奮を示す者もいた。その鬼気迫るほどの緊張感を前にヘムドールが堪らず呟くと、四聖将の一人もまた、ごくりと息を呑んで応える。
随分な覚悟をもって、今回の招集に応じたのだろう。だいぶ肝も据わってきたようだ。
なお、ミラ達にとっては慣れたもの。「外すなよ」だとか「今日は真面目な場面だからね」だとか、変わらない様子で魔術士勢に声を掛けていた。
そうしていよいよ、飛空船が予定の高度にまで上昇し終えた時だ──。
「どうぞ」
ミケからの合図と共に、更に莫大なマナが膨れ上がった。
『天よ唸れ、大地よ叫べ。歪み狂う憐れな愚者に浄化の贖罪を齎し、永遠の罪を赦し賜え!』
【古代魔術・第一典 始まりの魔女】
クラバが最後の一節を唱えた。するとマナは一気に集束して一筋の眩い閃光となり、空から島の中央を撃ち貫いた。
ほんの一瞬の輝き、そして僅かに聞こえた甲高い破裂音。
今のは何か。そう思う間を僅かに置いて、景色は一変する。
地の底から響くような轟音。まるで火山が目覚めたかのような衝撃。少し前まで静かだった空は今、渦巻き逆巻く爆炎の波に呑み込まれていた。
『黒き空よ、腐敗の雲よ、滅びた光よ、朽ちる命よ。この目に映る全てのものよ、新たな王の誕生を祝い、我が前にひれ伏すがいい』
【古代魔術・第五典 冥府の偽王】
シュバルツが最後の一節と共に力強く杖を振り下ろすと、膨大なマナが宙に広がった。その直後に、目の前で劇的な変化が起きる。
クラバの魔術によって砕け飛散し巻き上がった石や塵に瓦礫に死骸、その諸々が急激な勢いで地に落ちていったのだ。
しかも見るほど、その影響は大きく、もうもうと上がる爆炎までもが引きずり込まれるかのように落ちていくではないか。
その場にある全てを大地に──否、奈落の底へと誘う引力は、広範囲に及ぶ重力の檻を造り出した。
『星降る夜に祈りを込めて、鐘を響かせ、軍靴を鳴らせ。今、凱旋の時はきた!』
【古代魔術・第八典 放浪の騎士団】
ルミナリアの声が響くと、マナが天空へと弾けていった。そして空高くに複数の魔法陣を描き出し、破滅の時を呼び寄せる。
彼女が招くのは、天災。それが意味する真の理由とは、即ち天より来たる災害である。
魔法陣より現れたのは空気を切り裂くような轟音と、灼熱の炎に包まれた岩石。だが、かの厄災を再現したそれは、だからこそ着弾時の衝撃も等しく再現されていた。
落ちるたびに大地を穿ち粉塵を巻き上げ、大気までも震わせる。
その光景は、まさに無慈悲の極みだった。先ほどまでは何ともなかった島の景観は跡形もなく、ごつごつした岩山は今、荒れ果てた荒野の如くだ。
「ふむ、これでわかりやすくなったのぅ」
だが魔王の拠点の心臓部分は、とんでもなく強固なようだ。地形を変えてしまうほどの破壊力をもってして、なおも健在。地下に隠されていた構造の一部が地表に現れていた。
しかも現れたのは、それだけではない。
これだけの飽和攻撃を加えても簡単に終わらないのが、グランデ級というものだ。
「反応を三つ確認。公爵級が二と、魔獣だと思う」
ミケのアナウンスが響くと共に島を見下ろしたミラ達は、迫る敵の姿を目視するなり合図を送り身を伏せた。
「では、予定通りに!」
すると今度は、ヴァレンティンら退魔術士の三人が結界と退魔の炎を展開し、飛空船の全体を覆う。
ここまで来て、逃げたり隠れたりなどするはずはない。むしろ正面突破あるのみだ。
巨大な炎の玉となった飛空船は急速降下すると同時に、一気に加速。宙を舞う公爵の一体に突撃して無理矢理に突破した。そしてそのまま強引に着陸したところで、戦闘メンバーが飛び出し陣形を組む。それから素早くチームに分かれ、公爵と魔獣に対応するため動き出した。
「して、どんな感じじゃろう」
出たチームは、ノインとゴットフリート、アンドロメダの三チーム。外で派手に戦っているところ、ミラを含むヴァレンティンのチームはまだ飛空船内に残っていた。
「細かいのは、だいたい吹き飛んだかな。地下にもう少し残っているみたいだけど、このくらいの反応ならどうにかなると思うよ」
最新の飛空船というだけあって、設備も最新のものが多く揃えられている。ミケは探知機を操作しながら、残りの敵性反応を調べていた。
観測した段階では、それなりに反応はあったが、やはり魔術士三人による初撃が相当効果的だったようだ。大小様々な大半の魔物は、あれでほとんど消し飛んでいた。
「ふむ、ここまでは予定通りじゃな。して、魔王の方はどの辺りじゃろうか。やはり骸を護っておったりするのかのぅ」
打倒魔王もあるが、ここに攻め込んだ大きな理由は、魔王に奪われた骸の奪取だ。けれど相手側も、こちらの狙いは予想出来るだろう。ゆえに護りを固めている事も考えられた、のだが──。
「うーん、どうなんだろう。なんかこう、それらしい反応が見当たらないんだよね。よほど隠形に長けているタイプなのか、本当にいないのかまでは、ちょっと調べきれないかもだよ」
ミケが言うに、どうしても魔王と思える存在が検出出来ないそうだ。
「お出かけ中というのならば、チャンスじゃな!」
今回の作戦は、完全に奇襲する形となっている。だからこそ魔王が留守中という事も可能性としては十分にあった。
「どちらにしても、気は抜いちゃだめだから」
「わかっておる、わかっておる」
心配性を発揮するカグラに、当然承知していると返すミラは、いざとヴァレンティンを見やった。
「では先に、最優先目標の確保から始めましょう」
魔王という大戦力がいないのなら、それに越した事はない。骸の確保と魔王への対応を担当するヴァレンティンチームは、さあ行こうと気合を入れつつも、こっそり飛空船を出る。
強引な着陸ではあったが、これもまた計算通り。飛空船が降り立ったのは、露出した構造物の近く。拠点の心臓部への入り口と思しき前だったのだ。
ミラ達は、敵に気づかれぬように静かに、そして迅速に動き、その入り口から内部へと進入していった。
今回、これは!!! というおやつに巡り合いました。
その名は、
黒糖きなこアーモンド!!!!
アーモンドの香ばしさにきなこの風味、そして黒糖の甘み。
美味しい!!!
しかし、お高めなのがなかなかに……。
一粒ずつ、ちょびちょび楽しんでいこうと思います!