45 告白、その後
四十五
マリアナとクレオスに真実を明かし、それが齎した影響が落ち着くまで暫く。
どうにか状況を飲み込んだ二人を確認すると、ミラはどうしてこうなったのかを説明した。
原因は、特殊な力を秘めたアイテムによるものだと。そのアイテムは箱状で、開けたら今の姿になってしまった。戻るには同じ物が必要だと思われるが、それは二度と手に入らないかもしれない。
そして、こんな姿になってしまった事を知られると、二人に軽蔑されるかもしれないから、すぐには言い出せなかった。そう話す。
真っ先に口を開いたのはマリアナだ。しかも、少し憤慨気味に。
「私が、その程度の事でダンブルフ様を軽蔑する訳がありません。ひどいです、心外です」
「僕もですよ、ダンブルフ様」
クレオスも、マリアナの言葉と同意だと告げると、五杯目になるお茶を飲み干した。
「それと私達妖精族は、姿形などで人を判断しません。ダンブルフ様は、どの様な姿になろうとダンブルフ様です。私が一生尽くす事に変わりないです」
「そうですよ、僕もまったく気にしません。……それどころか、前よりも怖くなくなったので嬉しくすら思います」
断言するマリアナに、尻すぼみ気味に賛同するクレオス。だが、その目は真剣そのものだ。
「しかし、姿を変えてしまう箱とは……。もしやアーティファクトの類なんですかね」
思案気に目を瞑るクレオス。どれだけ強力な術具にも、姿自体を根本的に変えるという効果を持つ物は存在しない。もし、そんな物があるとしたら、それは神から与えられた奇跡すら起こせる遺物、アーティファクトくらいだろうとクレオスは考えた。
ゲーム時にも、アーティファクトは幾つか存在が確認されている。非常に長く険しいクエストの報酬であったり、超越級の魔物のドロップ品であったりするが、もちろん化粧箱の様な物は無い。
だが近いとも言えるだろう。神から与えられた。つまり運営から与えられた課金アイテム。
どの道、この世界はゲームで、円というお金を払って姿を変えるアイテムを買ったと言ったところで、それこそ証明も出来なければ、現実と成ってしまった今のこの世界では無意味でしかない。
「多分、そうだったんじゃろう。わしも迂闊じゃった」
そう考えれば嘘ではないだろうと、ミラはアーティファクト説を支持する。それこそ魔法の様な奇跡を起こすアイテムである。分かり易く、納得も出来る良い着地地点だ。
「ああ、それとじゃ。この事は誰にも言うでないぞ」
「かしこまりました」
「えっ、何故ですか? このまま皆様にお伝えして、ダンブルフ様が九賢者の座に戻って下されば、召喚術は今後安泰になるではないですか」
素直に聞き届けたマリアナとは違い、クレオスは疑問を浮かべる。言う事も尤もだが、ミラにはソロモンの言葉も理解できる。たとえ本人だとしても、イメージが違いすぎる。二人はダンブルフに最も近しい者だった為、その理解も早かったが、他の者達はこう素直にはいかないだろう。そして何より、今の状態でないと出来ない事があるのだ。九賢者という肩書きに戻れば、気軽に出掛ける事は難しくなる。それでは残りのメンバーを探せない。いずれは戻るにしても、今はその時では無い。
「ふーむ、そうじゃな……」
ミラは、少しだけ情報を整理すると、更に全てを話す事に決める。この二人は信用に足る存在であり、信じる事でもっと近くに感じる事が出来るだろうと。
それは今までの関係とは違う。人と人との関係になるという事だ。
「わしの事を知っている者は、あと二人。ソロモンとルミナリアじゃ。そして現在ソロモンの頼みで、世界のどこかに居る失踪中の残りを探しているところでな」
「なんと、九賢者の方々をですか!?」
クレオスにとって、それは異常事態ともいえるものだった。
九賢者失踪は、アルカイト王国最大の事件として挙げられるが、クレオスの知る限り国がその捜索を行ったという話は聞いた事がなかったのだ。王国最大の戦力であるが、探しもしない。その理由について幾つか憶測が飛び交ったが、その中で最も有力であり、超一流の冒険者達の間で一つの説が囁かれていた。それは、今はこの世界に居ない、というもの。そしてこの説は、これが正解であるという信憑性を持って、伝わっていたのだ。
クレオスの耳にもその噂は入ってきている。
だが国の最高位であるソロモン王、そして九賢者の一人であるダンブルフが現在その者達を探していると言う。それはつまり、失踪中の九賢者が今どこかに居るという確信があるという事だろう。
「九賢者に戻れば動けなくなる。済まぬが、もう暫くお主に任せたいんじゃが、頼めるか?」
「もちろんです! 九賢者の皆様が帰ってきて下さるという事でしたら、喜んで」
ミラの言葉にクレオスは歓喜に震え、全員が揃っていた頃の光景に思いを馳せる。銀の連塔の最盛期だった時代が、また戻ってくるかもしれないと思うと、クレオスは一介の術士として興奮せずにはいられなかった。
「それでは、ダンブルフ様はまた出て行ってしまうのですね」
マリアナが呟く様に言葉を漏らした。その声はミラの耳に届き、一瞬の沈黙を与える。それは自分が戻ったというだけで、涙を浮かべて喜んでくれた少女を、また残して行くという事だ。かといって、これは国家を左右する重要な任務な為、投げ出すわけにもいかない。
「すみません。少し我侭を言ってしまいました」
葛藤するミラの形容しがたい表情に、マリアナは即座に謝罪を述べて、問題無いと微笑む。だが瞳は、寂しげな色を湛え伏せられる。
「マリアナさんの気持ちも分かるよ。しかし、これは国にも関わる一大事。それに、ダンブルフ様は今ここに居る。今までとは違うんだ。それだけでも、きっと僕達は幸せなんだと思うよ」
僕達。それは九賢者が戻ってきた塔の補佐官と代行の事。九賢者は奇人変人が多いが、補佐官や代行が絶対的な信頼を寄せる人物でもある。クレオスは自分にも言い聞かせる様に、そう口にすると「ですよね?」とミラに向けて微笑む。
「そうじゃな、出来る限り戻ってくると約束しよう」
その言葉にマリアナとクレオスは安心した様に頷く。ミラは、カップを手に取ると少し冷めたお茶を口に含み、行ったり来たりが大変になりそうだなと苦笑する。だがその心の内は、少しだけ温かい何かに満たされていた。
「ですが……」
そう小さく言葉を発すると、クレオスはじっとミラへ視線を向けて難しそうな表情を浮かべる。
「なんじゃ?」
その視線を受けてミラが怪訝そうに問う。するとクレオスは今度は楽しそうに、いや、面白そうに笑みを浮べる。
「その姿でダンブルフ様と呼ぶと、どうにも違和感がありまして。それに秘密という事ですから、今後はミラ様と呼んだ方がいいでしょうかね?」
「ぬ……」
ミラは眉根を寄せ悩む。クレオスの言う事も尤もだ。秘密にするならば、そういった事も決めておかないと、どこかから漏洩してしまう事もある。
「うむ、確かにそうじゃな。……では、この姿の時はミラと呼ぶように」
「分かりました、ミラ様」
正体がばれる要因になりそうな芽は、少しでも摘んでおこうと決めると、ミラは二人にそう告げた。クレオスとしては、違和感という理由が九で秘密が一程度だ。
「マリアナもそれで良いか?」
「はいです。問題ありません」
マリアナはそう答えると左手に浮かぶ羽の模様を、大事そうに指先で触れる。妖精の加護で繋がっている証だ。今目の前には、契り合った最も親愛なる者が居る。妖精族にとって、それは何よりも尊ばれるもの。名前の違いなど、それこそ些細なものなのだ。
「ではまあ、そういう事じゃからな。また暫く留守にするが、よろしく頼む」
「お任せくださいです」
「出来る限り努めさせていただきます」
マリアナとクレオスが真剣に、それでいて嬉しそうに頷く。しかし、その次の瞬間、けたたましい鈴の様な音が室内に響いた。
「む、何の音じゃ?」
「これは、緊急魔導通信の呼び鈴です!」
慌てて立ち上がったクレオスは執務室の机に駆け寄ると、黒い箱を開けて中の装置のレバーを捻る。
「こちら賢者代行のクレオス」
〔私はシルバーホーン警邏隊所属のジョズと申します。緊急事態により塔の指示を仰ぐために連絡させていただきました〕
室内に切羽詰った、少し不明瞭な男の声が響く。丁度、電話越しに聞く様な声だ。ミラとマリアナは、無言でその声に耳を傾ける。
「それで、どうしたんだい」
〔はい、今より三時間ほど前に、上空に巨大な竜が現れたと近隣の住民から連絡がありました。その確認の為に、我々警邏隊で周辺を捜索しましたが、竜の姿はありませんでした。
ですがシルバーホーンより北西の森の空き地に、巨大な何かが居た形跡を発見。そこを中心に捜索範囲を広げたのですが、結局その主は見つかりませんでした。
見間違いかとも思われましたが、つい先程シルバーワンドより数時間前に上空を往復してから、こちらの方面へと向かう巨大な竜の姿を見たという通信が入りました。
多分同一であるとの見解です。しかし未だに飛び去るところを目撃したという情報は無く、隠形に長ける巨竜がまだ近くに潜伏している可能性が高いと思われます。
これ以上は、我らの力ではどうにも出来ず、塔の方々のお力をとなりまして〕
「竜……か。シルバーワンド方面からとなると、ルナティックレイクの近くも通っていたかもしれないね……」
〔はい。その可能性は高いかと〕
シルバーワンドの近くの山脈を越えると、ルナティックレイクが見える。その報告を聞いてクレオスは、一つだけ予感が過ぎると、ちらりとミラへ視線を向けた。
その瞬間、ミラは慌てた様に視線を逸らす。そわそわと身体を揺らしながらカップを口元に当てると、既に中身が無い事に気付きそっとテーブルに戻した。
「………………」
そんなミラの反応に、クレオスは確信めいたものを得る。
「君達は最低限の人数を残して帰還、こちらから連絡するまで待機。それとこの連絡は、他には誰に?」
〔はいっ、かしこまりました。クレオス様の他には、他の者がルミナリア様に連絡済みです〕
「分かった。ルミナリア様にはこちらからも連絡しよう。では、帰還を始めてくれ」
〔了解しました。では失礼します〕
ぷつりと単音が響くと、執務室は再び静けさを取り戻す。
「ミラ様は、昨日までルナティックレイクに居ましたよね。ここにはどの様な手段で?」
黒い箱を閉じながらクレオスは呆れた様な、しかしどことなく好奇に駆られた表情でミラに視線を送る。その顔は、もう全てを悟っているかのようだ。
「うむ……あー……それはじゃな……その……」
「あ、もしかしてミラ様……」
クレオスの言葉とミラの反応でマリアナも真相に気付き、クスリと声を漏らす。そして、それが決め手になったのか、ミラは観念した様に項垂れて口を開いた。
「アイゼンファルドにのぅ……。少し乗せてもらってじゃな……」
「やはり、アイゼンファルド様でしたか……。それは騒ぎにもなるでしょう」
ダンブルフに連れ回されていた時期に、クレオスは何度かアイゼンファルドに会っている。その勇猛、その巨躯、その圧倒的存在感。そんな脅威が人里近くで目撃されたのだ、騒ぎにならない訳が無い。ミラも、少しは気を付けていたつもりだった。だから、ルナティックレイクから離れた森の中で召喚したのだ。しかし、この世界ではそれでもまだ足りなかった様だ。自分達の命を戯れで刈り取れる程の存在が目に入る時点で、人々は夜の闇にも耐えられなくなるものである。
「僕は、ルミナリア様にこの件を伝えてきます。ミラ様も今後は少し自重してくださいね」
「うむ……すまぬ」
しょぼくれるミラの姿にクレオスは安心すると、足早に執務室を後にした。
(良いタイミングで通信が入ってくれたよ。前に零した愚痴について追求される前に逃げられたし。
それにしても、アイゼンファルド様に乗ってくるなんて、やり過ぎな所は昔と全然変わらないな。うん、これからまた楽しくなりそうだ)
クレオスは、スキップでもしてしまいそうな気分で、魔術の塔へと向かうのだった。
「ミラ様は、昔とお変わりないですね」
そう言ったマリアナは、あらゆる意味でやり過ぎだったダンブルフの頃の行いを思い出しながら微笑む。当のミラは「注意が足らんかったようじゃ」とバツが悪そうに苦笑する。
(済まぬ、アイゼンファルド。今後、余り呼べそうにないかもしれん)
送還の間際に、これから何度も世話になると言ってしまったが、現状から考えると、おいそれと召喚できないだろう。ミラは心の中で謝罪すると、一度人里離れた場所でその事を伝えておくべきかと考える。大きくても可愛い我が子なのだ。
クレオスが抜けて二人きりになったミラとマリアナ。自分でも良く分からない緊張感からか、ミラは思わずカップを手に取り、中身が入っていなかった事を思い出す。すると、それを見たマリアナが「私が淹れてきます」と立ち上がり二人分のカップを手に取る。マリアナは部屋の角側、お茶を淹れる為だけにクレオスが用意した専用の魔導機が置いてある場所へ向かった。
ミラは、そんなマリアナの後姿を見詰めながら、少しだけ口元を緩ませる。
(新婚みたいじゃな!)
しかしこの場合、どちらが旦那でどちらが妻なのだろう。そう、どうでも良い事に頭を悩ませるミラ。他人から見れば、良く出来た優しい姉と自由奔放な妹と映る事だろう。
「どうぞ、ミラ様」
「うむ、ありがとう」
マリアナがテーブルの上にカップを置くと、ミラは礼を言い、そっとカップに唇をつける。
「ふぅ……」
鼻腔に広がる香りに落ち着きを取り戻すと、ミラは対面に座り直すマリアナに視線を向けた。
「わしが留守の間、部屋の掃除や荷物の管理をしてくれていた様じゃな。迷惑をかけて済まんかった」
「いえ、迷惑ではないです。私の生き甲斐です」
マリアナは自分が帰ってくると信じて待っていたという、ソロモンの言葉を思い出しながら留守を詫びるミラ。しかし、当のマリアナが、それが当然だとばかりに微笑むと、二人は自然と思い出話に花を咲かせ始めるのだった。
ミラがマリアナの三十年の生活について感慨深げに聞いていると、騒ぎの処理を終えたクレオスが帰還する。
「ただいま戻りました。竜の件については、僕とルミナリア様で誤魔化しておきましたので、もう心配ないでしょう」
クレオスは、そう報告しながら、何やら楽しげな二人の様子に微笑を浮かべると、
「楽しそうですね。僕も混ぜてもらっていいですか」
そう言いながら、テーブルの上に置きっぱなしにしてあった自分の分のカップと、新たにもう一つ棚から取り出してお茶を淹れ始める。
「是非、私も加えて欲しいものね」
ミラは背後から掛けられた女性の声に振り返る。そこには赤に黒いラインの入った賢者のローブを纏った、真紅の長髪の美女が不敵にミラを見据えていた。
「一家団欒に何用じゃ」
既に見知った親友とも呼べるその美女、ルミナリアにミラは冗談めかしてそう告げる。それに対してルミナリアは、ミラに背後から抱きついた。
「孫の顔を忘れちゃったのかしら、おじいちゃん」
そう言いながら唇の端を吊り上げて、目と鼻の先程の距離に顔を寄せると「二人には話したんだな。少しは覚悟が出来てきたって事か」と耳元で囁く。それからすぐに手を離すと、クレオスからお茶を受け取る。一口啜ってその風味に満足すると、ルミナリアは一層笑みを浮かべて、
「今日のこの記念すべき再会の日に、私が夕飯をご馳走しましょう。ええそれがいいわ、そうしましょう」
有無を言わさぬ勢いでそう捲くし立てると、六時半に魔術の塔前に集合と言い残して、ルミナリアは準備の為に揚々と飛び出していった。
「相変わらず、強引じゃのぅ……」
ミラは苦笑するが嬉しくも思いつつ、今度は約束の時間までクレオスも交えて、思い出話や日常の会話を繰り広げた。
「良かれと思っての事じゃったが、済まんかったのぅ。クレオス」
「いえ……滅相もございません……」
流れから自然と前に零した愚痴についての話になると、そんな風に思っていたのかと謝るミラ。しかしマリアナとは対照的に恐縮しきったクレオスは、全身に得体の知れない汗を滲ませて謝罪の言葉を繰り返していた。
約束の時間、召喚術の塔の三人は、魔術の塔の前に居た。代行と補佐官が揃って立っている為、それは否が応でも目立ってしまう。ちらほらと挨拶に参じる者や、召喚術復興に役立てて下さいと実験的に作成した術具を渡してくる研究員も居る。そして一言、使い勝手を教えてください。クレオス曰く、効果はあるが契約まで至る確実性は無い、というものだった。助力しながらも、自身の利益も忘れない。
ここは変わらないなと、ミラは再度確認するのだった。
「お待たせ。さあ、入って」
勢い良く開いた扉からルミナリアが姿を見せると、塔の中に招く。
「どこかに、食べに行くのではないのか?」
「一般の店では、話せない事もあるの。
聞いたわよ、冒険中に色々あったみたいね。詳しく聞かせて欲しいわ」
「ふむ、そういう事じゃったか」
冒険中の出来事。つまりは、悪魔と精霊に関する事だろうと思い至る。三人はルミナリアに案内されて最上階の私室に通された。
調度品は、質素な見た目ながらも品の良い品が並んでおり、ルミナリアという人物とはまた掛け離れた様相を呈した私室だ。というのも、そもそもルミナリアは家具や内装に拘らない人物だった。私室の調度品は、そういった意向を受けて補佐官が全て用意したものだ。生活面においても優秀な補佐官だ。
そして今、その補佐官リタリアは、丁度テーブルに料理を並べ終わったところだ。今日の夕飯は、全てリタリア作である。
「お待ちしておりましたわ。ようやくダンブルフ様のお話を聞かせていただけるのですね、ミラ様。楽しみですわ」
「あー、うむ。まあ、後々……のぅ」
前に魔術の塔を訪れた時、そういえば別れ際にそんな事を言ったなと思い出しながら、ミラは何とも言えない表情で答える。
見知った顔だけでの夕飯は、ミラが主役となって冒険中の話を交えながら進んでいった。
ソウルハウルの行方、公式では絶滅したと云われている悪魔の出現や、公にはされていない精霊の誘拐事件など、それこそどこに目や耳があるか分からない一般の店では話せない様な単語が並ぶ。
楽しげに弾む会話の中で、目を光らせながらミラへと訴える様に視線を送るリタリア。いよいよ、誤魔化すのも限界かと観念したミラは真相を明かし、マリアナとクレオスが真実だと告げると、リタリアは無為な笑顔のまま硬直し、再起には相応の時間を要する事となった。
他にもルミナリアには学園での出来事を話し、小言をぶつぶつとぶつける。召喚術復興についての話も詰めつつ、ミラの居ない間はルミナリアにクレオスの補佐を頼むという事まで確約させた。クレオスは変な汗が止まらない。
ルミナリアからは交換条件として、更に一セットの触媒集めを依頼される。雪水晶と蒼白竜の鱗、氷柱の長槍の三種だ。
しょうがないとミラは了承し、リタリアを放置したまま、四人は国の機密満載の会話を続けるのだった。




