455 建国祭初日、夜
ところで、クラウドファンディングが始まったようです!
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何やら色々とある様子……。
こちらです! よければ、よろしくお願います!
四百五十五
建国祭の初日が終了した後、ミラはソロモンの執務室にいた。
そこにはソロモンの他、ルミナリアら九賢者もまた揃っており、明日の建国祭でのイベントについて話し合っているところだ。
「質問内容については、この紙にあるから、答えを考えておいてね。で、次は──」
三十年ぶりに帰還した九賢者。だからこそ色々と聞きたい事、知りたい事なども多いだろう。
それを質問形式で振っていくというイベントについて説明するソロモン。
配られた紙には、彼がそれぞれのためにチョイスした質問が記載されている。そのどれもが帰還出来なかった理由をやんわりとほのめかせるものとなっており、ところどころに虚偽や偽装といったものが含まれていた。
アルテシアやラストラーダなどは孤児院を理由として出す事が出来ていたが、カグラはその辺りを相当にぼかしている。大陸中に拠点を持つ組織のトップを張っていたなどと正直に話してしまったら、スパイでも送り込んでいたのではと余計な疑惑を生む種になってしまうからだ。
そしてメイリンは、ずっと遠くの地へと修行に出ていて、ようやく帰ってきたという事にする予定だ。
またソウルハウルについてだが、こちらは、ほぼそのままで行く予定らしい。大切な人を救うため、伝説のアイテムを求めて苦難の道に挑んでいたと。
なお、大切でもなんでもない、ただ大嫌いな死霊術士に救われて残念だったなと笑うためだったというソウルハウルの主張は、皆に優しく受け止められるだけで終わっていた。
「──という感じでよろしくね」
他にも、交流会だったり帰還した九賢者はどれほどのものかを披露する舞台であったりと、色々なイベントについての行程もそれぞれ決まったところで会議も一段落ついた。
「よし、それじゃあお風呂にでも行こうか!」
今日は疲れたと、それはもう顔に出ているソロモンは、ソウルハウルとラストラーダにそう声を掛ける。
「あのでっかい風呂か! いいな、行こう!」
思いっきりヒーローダイブが出来るためもあって、ラストラーダは王城の風呂を気に入っているようだ。もちろんだとばかりに立ち上がる。
対してソウルハウルは、「まったく、何が楽しいんだかな」と、どこか面倒そうに答えるも、まあ付き合ってやるかとばかりに立ち上がった。
「よし、俺達も俺達で行くか!」
連れだって出ていったソロモン達を見送ったルミナリアは、名案だとばかりにカグラとアルテシアを誘った。
そう、女同士で裸のお付き合いもたまにはいいだろうとでもいった笑顔でだ。
「……は?」
それに対するカグラの答えは、極めて冷徹な眼差しを添えた拒絶であった。
ルミナリアの事をよく知っているからこその正当な反応といってもいいだろう。そしてルミナリア自身も、仲間内からのそういった扱いには慣れていた。
とはいえ今回は、折角揃ったという事もあって半ば本気で望んでいたルミナリアは、その絶対的な拒否っぷりに消沈気味だ。
「うーん、ごめんなさいね。これから子供達をお風呂に入れないとだから」
またアルテシアも、その誘いを断った。彼女はルミナリアがどういう人物かといったところについて、さほど気にしていない様子である。
それこそ機会があれば一緒に、というのも叶ったかもしれない。
だがアルテシアには、それら全ての事よりも優先される子供という存在がいた。
ゆえにルミナリアの望みは、きっと叶う事はないだろう。
「仕方がないな。じゃあせめてメイリンちゃん──」
まだチャンスは残っている。趣味云々を抜きにして、親睦を深めるという点のみを重視する事にしたルミナリアは、問題なく一緒に風呂に行ってくれそうなメイリンの姿を求めて見回す。
だがしかしだ。気づいた時には、既にメイリンの姿はどこにもなかった。
(ああー、空気を察したのじゃろうなぁ)
大の風呂嫌いのメイリンである。風呂に行くという流れを察した瞬間には、既に脱走していたのだろう。
ミラもまた何時の間にと思いながらも、流石はメイリンだなと苦笑する。
「ちょいとそこの二人に任せたいのじゃが──」
とはいえ今日も何かと忙しくしており、明日もまた忙しくなるのは間違いないメイリンである。彼女自身の事でもあるが、多少なりとも考慮しておくべきだろう。
そう考えたミラは、帰り際のカグラとアルテシアに声を掛けた。そして、メイリンの風呂嫌いについて話した。
「そういえば、帰ってきてからお風呂に入っているところを見た事ないわね……」
「あらあら、そうだったの。なら任せて、ミラちゃん!」
建国祭の準備だなんだで、城に詰めていた帰還組。その間、思えば風呂に行くところも入っているところも見ていなかったと眉を顰めるカグラ。
そしてアルテシアはというと、何やらとても張り切った様子である。
ミラのお願いという形に加え、彼女にとってはメイリンもまた保護欲を掻き立てられる存在のようだ。それはもう張り切った目をしていた。
「……こっちね!」
早速とばかりに周囲へと視線を走らせたアルテシアは、スプリンターの如く駆け出していった。
メイリンの気配でも捉えたのだろうか。仙術士などではない彼女に《生体感知》のような能力はないはずだが、なぜだろうか、数分後にはアルテシアに捕らえられているメイリンの姿が目に浮かんだ。
ともあれ、そのように言葉を交わしてカグラとアルテシアを見送ったミラもまた、さて部屋に戻ろうかと歩き出す。
その直後だ。何やら背中に、暑苦しいまでの視線が突き刺さってくるではないか。
振り返ると案の定、そこには虎視眈々と狙うルミナリアの姿があった。
「ミーラーちゃーん、一緒にお風呂はーいろー。ほーら、お互い同じような立場なわけだしー、お風呂場できゃっきゃうふふして楽しもうぜー」
女性陣が全滅という事もあってか、せめてもといった顔で絡みついてくるルミナリア。
対するミラは、そんな彼女の手をひょいと払うなり「いや、わしはマリアナとルナを待たせておるのでな。一緒に入る相手は間に合っておるのじゃよ」と、それはもう絶対的な上から言葉を浴びせていった。
また何より、一人で先に入りでもしたらマリアナに何と言われるかわかったものではないという理由もある。
とはいえその内容は、ほぼ惚気だ。
そうしてミラにも振られたルミナリアは、「みんな冷てえなぁ……」と呟きながらしょんぼり肩を落として去っていった。
その背には、哀愁が漂っている。
二十年の間、たった一人の九賢者として頑張って来た彼女なのだから、少しぐらいは優しくしてやってもよかっただろうか。
などと思うものの、直後には通りすがりの女性文官にすり寄っていくルミナリアの姿を目にしたミラは、何の問題もなさそうだと、さっさとその場を後にした。
今日は、王城に用意されている自分の部屋で一泊する予定のミラ。明日もまた建国祭で朝から街は大いに賑わう事になるのだが、窓から見える街は今もまだ爛々と輝いている。
そう、何といっても九賢者の帰還が発表された日だ。建国祭初日を終えた街では今、そのまま住民達の手で九賢者帰還祭が開かれていた。
遠くからでも、賑わいと歓喜が伝わってくる。そして明日は、そのまま九賢者帰還記念ともなる建国祭二日目だ。今ですらこれほどなのに、もはやどれだけ盛り上がるのか想像もつかない。
そんなお祭りを早くから存分に楽しむため、ミラは移動時間の無い王城を宿にした。
当然明日も一緒に見て回るため、マリアナとルナも一緒だ。
「──というわけで、なかなかに愉快なイベントになりそうじゃ」
ミラは明日行われるイベントについてマリアナに話していた。
それは、帰還組がメインとなるデモンストレーションのようなイベントだ。国民達に、そして他国に対して九賢者ここにありとわかるよう、それはもう盛大にお披露目するわけだ。
それぞれ、どれほど腕を上げたのか。話すミラもまた楽しみだとばかりな笑みを浮かべていた。
そして、そんな話とミラの様子を前にしたマリアナは、「大変そうですが、とても楽しそうですね」と、こちらもまた嬉しそうだ。
「あ、ミラ様。先ほど厨房を借りる事が出来ましたので、こちらをメイリン様に」
そのように話している途中、マリアナが忘れないようにと幾つもの弁当箱をテーブルに置いていく。そう、約束していた『なかよしセット』だ。
後で渡すと言ったものの建国祭を大いに楽しんでいたため、作っている時間がなかった。
けれど、メイリンとの約束は絶対だ。ゆえにミラが会議に参加している間に、城の厨房にてそれを仕上げておいたそうだ。
「おお、わざわざすまぬな。しかしまた幾つもあるようじゃが、もしやこれ全部でセット、という事じゃろうか?」
メイリンならばペロリといけるかもしれないが、通常の一食分として考えると大食いレベルの量になる。
では、もしや。ちょっとの期待を胸にミラが問うと、マリアナは「一つで一食分になります」と答えた。
「すると残りは余りというわけじゃな! ならばそちらはわしが食べてしまってもよいわけか!?」
一つでも渡せば、約束は達成となる。とすれば残り分は着服してしまっても問題はないはずだ。
「はい。もしかしたらミラ様も召し上がるかと思いまして、多めに用意させていただきました」
それはきっと、予想通りの反応だったのだろう。マリアナは少し嬉しそうに微笑みながら、そう答えた。
「流石はマリアナじゃな!」
ミラは満面の笑みで残りの分を確保する。そしてアイテムボックスに保存しておこうとしたところで、その手を止める。
建国祭の間、あっちこっちと食べ歩きをしていたため、夕食は必要ない程度に腹は膨れていた。
けれど目の前にあるのは、グルメ好きなメイリンが探し求め、マリアナが作り上げた幻の弁当だ。
しかも九賢者をモチーフとした弁当だという。いったいどういうものなのか気になってくるというものだ。
そして結局ミラは好奇心に抗いきれず、その内の一つを開けた。
「なんと……!」
そこに広がったのは、独創性豊かで見事な彩りに満ちた魅惑の世界だった。
九に分けられた各所に、それぞれの料理が収まっている。そしてそれらの料理の種類や色合いなどから、どれが誰を象徴しているのかが一目でわかるほどの出来栄えであった。
「おお、これがカグラじゃな。こっちはメイリンか。む、ルミナリアは……少し贅沢過ぎやせぬか──」
見ているだけでも楽しくなる弁当だ。ミラはそれぞれを確認しては、その見事さに感動した。
「ミラ様、湯殿の準備が整いました」
と、そうこうしていると、いつの間にか結構な時間が過ぎていた。もういつでも利用出来ると、侍女の一人が報告してくれた。
今日入る風呂は、やはり王城に来たらこれだという噴水風呂だ。ソロモンの自信作であり、王城一の広さを誇る大浴場である。
だからこそマリアナもきっと喜んでくれるだろう。そしてルナもきっと楽しんでくれるだろう。
なお侍女に訊いてみたところ、カグラとアルテシアは落ち着いてゆっくり入れる、岩風呂の方を利用しているとの事だった。
そしてメイリンも一緒だそうだ。流石はアルテシアというべきか。どうやら見事にメイリンを捕まえたらしい。
と、メイリンの居場所もわかった事で、ミラはそのまま侍女に『なかよしセット』を託した。
何かとグルメについては積極的な彼女である。万が一にも、その製作者がマリアナだと知られたら面倒だ。そしてマリアナが作る料理が至高の逸品ばかりだと気付かれたらもっと面倒だ。
きっと食事時になるたびに訪ねてくる事になるだろう。だからこそ侍女を介して渡し、接点を極力減らす事が大事というわけだ。
食事時は一家団欒の大切な時間だ。荒らされてなるものかと、ミラもまた必死だった。
「これが……話に聞いていた噴水のお風呂なのですね!」
王城の大浴場。その中央に広がる浴槽と聳える噴水を前にして、驚きながらも興奮気味なマリアナ。
これまでに実物を見た事はなかったようだ。想像していたよりも広く大きく、そして激しいと、とても楽しそうであった。
「そうじゃろう、凄いじゃろう!」
そんなマリアナを前にして、何故か自分の手柄のように得意げなミラ。全裸で胸を張るその姿は、虎の威を借る何とやらを如実に体現していた。
それでいて凄いとマリアナが答えるものだから、ミラの調子は上がる一方だ。
と、噴水風呂ではしゃぐ二人とは別に、大浴場にて勇猛に佇む者がいた。
ルナである。いつもよりも更に広い風呂を前にして、闘志を燃やしているのだ。
以前より泳ぎの練習を続けていたルナは、その練習の成果を遺憾なく発揮出来そうな舞台を前に奮い立っていた。
そうして大浴場にやって来たミラ達は、存分に風呂タイムを満喫した。
雨のように降り注ぐ噴水の湯を楽しむマリアナ。嵐の海に立ち向かうが如く、果敢に湯舟の横断を目指すルナ。
(やはり、広い風呂はよいのぅ)
ミラはそんな両者を見つめながら、大いに足を伸ばして身体を休める。
疲れている時もだが、元気が有り余っている時の風呂というのもまた格別というものだ。
そのためもあってか、ミラもまたじっとしていられなくなったようで一緒にはしゃぎ始めるのだった。
存分に噴水風呂を満喫したミラ達は、気分上々に王城の廊下を進み部屋へ戻る。
その途中だった。
「あ、マリアナ様、それにミラ様!」
ふと廊下でばったり再会したのは、建国祭特別チケット売り場にいたヒメルダであった。十匹以上の兎達と共に暮らしているという兎好きで王城勤めのエリートだ。
なんでも彼女は、明日の準備なども含め今まで残業していたそうだ。ようやく終わり、兎達に会えると嬉しそうである。
だが同時に、その目は湯上り乾燥でふわっふわな毛並みになっているルナをロックオンしていた。
とはいえ人見知りなルナである。ミラ達に抱かれている時ならば、見つめられても少しは耐えられるようにはなってきたが、それ以上はまだまだ難しいようだ。
特にヒメルダの情熱で血走った目は相当のようで、すぐに頭を引っ込めてしまった。
「すみません、ヒメルダさん。とっても人見知りなものでして」
「いえいえ、とんでもない。私の方こそごめんなさい。あまりの可愛らしさに自分を抑えきる事が出来ませんでした」
マリアナとヒメルダは、そのように言葉を交わした事をきっかけとして、そのままルナと兎達について大いに話し始めた。
食事中の口元が可愛いだとか、寝ている時に耳がぴくんとする時が可愛いだとか、何でもない時にふと膝の上に乗っかってくるところが可愛いだとか。
もうそれだけで盛り上がっていく。
そしてミラもまた、ルナの可愛さを知る者として黙ってはいられなかった。
夜中に目が覚めたら、いつの間にか胸元に潜り込んでいて可愛い、お風呂で泳ぐ姿が可愛い、帰ると待っていてくれて可愛いと、それはもう一緒になって熱く語った。
王城の廊下のど真ん中で兎がどれほど好きかについて盛り上がるミラ達。
と、そんな三人を遠くから見つめつつ、そっと耳をそばだてている者がいた。
侍女だ。リリィが率いる侍女グループのうちの一人である。
その侍女は、三人の会話をじっと聞いていた。そして中でもミラの言葉を集中的に拾っていた。
夢中になって語り合うほどに、ミラは兎が好きである。それが今回の会話より、かの侍女が把握した主要素となる。
これを機にミラが兎好きであるという話が侍女達に知れ渡る事になるのだが、その影響が出るのはもう暫く先だ。
「あの者の兎部屋がどうなっておるのか、一度見てみたくあるのぅ」
「はい、すっごく気になりますね!」
ヒメルダと別れた後、部屋に戻ったミラとマリアナは、兎中心の生活をしているという彼女の部屋について話していた。
部屋の七割を兎飼育用に改装しているというヒメルダ。そして、だからこそ自由に動き回る兎達の姿を堪能出来るのだそうだ。
十匹以上もの兎達が戯れる部屋。それはもう可愛いのだろうと想像する二人。
だが、そんな二人の間で不機嫌そうにするものが一匹。
ルナだ。他の兎で盛り上がるミラとマリアナに嫉妬した様子である。ミラ達をぺしぺしと叩きながら「きゅいっ!」と抗議の声を上げる。
「おっと、すまんすまん。もちろんルナが一番じゃよー」
「そうですよ、ルナ。ルナの可愛さは誰にも負けません」
人見知りだがミラ達しかいない状況なら、とってもアクティブなお姫様。それがルナだ。
そんなルナのご機嫌を取り戻そうと可愛がるミラとマリアナ。
明日の建国祭はどのように回ろうか、そしてどんな美味しいものを食べようかと話しては、沢山遊ぼうと約束するのだった。
という事でして、先週の宅配ご飯は……
ジョナサンでした!!
そしてメニューはというと……
なんでこう、他にも色々あるというのにこれを選んでしまうのかという代表、
ミックスグリルです!!
ほんと、なぜこうも惹かれるのか……あの肉肉しさに……!
なお今回も罪悪感回避のため、オプションでグリーンサラダも追加しました。
あの肉祭りを前にしたら、もはや足りるはずもないサラダですが……きっと無いよりはイイ!!
さあ、次はどこにしようかなぁ。
ちょっと、すかいらーくグループを離れてみるか、それとも……。
ああ……当日が楽しみです!




