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452 メインステージ

活動報告の方にアニメ版のコメント置き場を用意させていただきました!

四百五十二



「いやはや、傑作じゃったな! あの名将と言わんばかりのソロモンといい、冷静沈着なルミナリアといい、まさかの演出じゃ。しかもソウルハウルは何がどうして、あんな悲恋を背負うイケメンになっておったのじゃろうな」


 九賢者の舞台劇を見終えたミラが真っ先に口にした感想が、それであった。

 演出が加えられた史実に基づく舞台劇を、真実を知る者が見たらどうなるのか。

 以前にも同じような事をしたミラだが、今回もまた同じように見て同じように楽しんだ次第である。

 ただ今回はマリアナも一緒だ。だからこそ、どの辺りが事実と違ったのか赤裸々に明かしていく。

 とはいえ、それは仲間の事だけ。


「──じゃが何よりも、やはりわしの存在感が際立っておったな。あの風格は、見事にわしを再現出来ておった。うむうむ」


 老練さに満ちたダンブルフの役者。その渋さといったらミラの理想通りに極めて近く、だからこそミラの感想はダンブルフ役贔屓に溢れていた。


「はい、あの頃のダンブルフ様と少し重なるようなところがありましたね。ですがやっぱり……今も素敵、です」


 舞台のダンブルフを絶賛するミラ。そんな、これでもかと調子づくミラを優しそうな目で見やるマリアナは、渋くカッコいいばかりではなくとも、そんなミラが一番だと微笑んだ。


「そ、そうか? うむ、まあ、そうかそうか!」


 突然の言葉に面食らって照れながらも、声を弾ませるミラ。

 そんな二人の幸せそうな感情を察したのか、ルナが「きゅい!」と鳴けば、自然と二人の手がルナに向かって重なった。

 そうして二人と一匹で、満ち足りた時間を過ごす事、更に暫くしたところだ。

 時を告げる教会の鐘の音が響き渡る。時刻は、夜の六時。一時間後に、ソロモンが一年の功績の発表式をする予定だ。

 そしてミラは、その際に九賢者帰還発表のサプライズがあると聞かされていた。


「よし、場所取りに行くとしようか!」


 折角の大舞台だ。いいところで見届けようと思い立ったミラは、そう告げて歩き出す。

 向かう先は、屋外に設営された建国祭のメインステージだ。





 ルナティックレイクの北側には、緑地が広がる場所がある。創薬研究所などがあるため、そこで利用する様々な植物が栽培されているのだ。

 メインステージは、そんな緑地に囲まれた広場にあった。


「少し早いと思うたが、もう随分と集まっておるのじゃな」


 ソロモンの挨拶が始まるまでは、まだ五十分ほどある。だが既にメインステージ前には、多くの者達が集まっていた。

 今は溢れかえるほどではないが、時間が経てば賑わうだろうとわかる状況だ。


「ソロモン様を直接目に出来る貴重な場ですので、毎年メインステージには沢山の人が集まるそうですよ」


 はぐれてしまわないようにと寄り添いながら答えるマリアナ。

 グッズ売り場でもその一端は垣間見えたが、やはりソロモンの人気というのも相当なようだ。

 一国の王というだけでなく、九賢者と肩を並べる英雄として幾つもの伝説を作ってきたからであろう。


「まるでアイドルじゃな……」


 見ればメインステージ手前には記者席らしき場所も確保されており、既にそこにはカメラだなんだといった機材が設置されていた。

 もはや、どこぞのライブステージとでもいった様相である。

 ただ、そんなメインステージもさることながら、何よりも目立つものがその奥にあった。


「しかしまた、立派な砦じゃのぅ」


 メインステージの奥側に見える壁。よくよく見上げてみると、それは大きな砦であるとわかった。そこらの大型建築すら霞む、実に風格に満ちた砦だ。

 街の中、しかも創薬研究所の敷地内に聳えているためか、その砦はどことなく異様な存在感を放っている。そして観客達の中にも、あれはなんだという驚きの声が広がっていた。

 なぜならば、その砦は一夜にして現れたものであるからだ。街について詳しい者ほど、その砦の存在に驚愕した様子であった。


(ふむふむ、いい感じで話題になっておるぞ)


 ミラは、知っていた。その砦が、ソウルハウル製の砦ゴーレムである事を。そして発表と共に、気になる砦から颯爽と九賢者が登場するわけだ。

 これならば、きっと盛り上がってくれる事だろう。そんな雰囲気を察したミラは、どんな反応になるのか楽しみだと目を細める。

 今回発表となる九賢者の帰還は、大陸中を駆けずり回って見つけ出したミラの功績といっていいだろう。その努力の結晶とでもいうべき結果が、遂に国民達の目に留まる事になるわけだ。

 だからこそミラは、その反応もまた楽しみにして、中心地となるこのメインステージへとやって来たのだ。





 ミラ達は、メインステージだけでなく観客達の反応もしっかりと確認出来るよう真ん中のあたりに陣取った。

 それからのんびりと明日の朝食だったり、ルナ用品の買い物予定だったりを立てながら雑談する事数十分。


「さて、そろそろかのぅ」


「はい、なんだか少し緊張してきました」


 砦の下の階は、控室代わりとしても使われている。関係者の出入りが激しくなり、その忙しさが伝わってきた。

 その時が近づいてきたようだ。さあ、九賢者帰還の発表による反応は、どのようなものになるのか。国民達が喜んでくれる事を想像しながら、今か今かとソロモンの登場を待つミラ。

 またマリアナにとっても、これまでミラが努力してきた成果が実を結ぶ瞬間という事もあってか、少し緊張した面持ちだ。


(お、お偉いさん方が顔を出し始めたのぅ)


 あくせくと忙しそうな砦の下から上部に視線を移すと、砦の窓から如何にもやんごとないとわかる者達の姿が窺えた。

 そう、ソロモンが九賢者帰還の見届け人として招待し、これに応えてくれた各国の権力者達である。


(あの娘っ子が、アリスファリウスの王女じゃろうか。そしてあっちが冒険者総合組合の総組合長じゃな、きっと。お、あの顔、見覚えがあるのぅ……。キメラのごたごたの末、ローズラインを牛耳る事になった……ウラシス、じゃったかな。そして、おお、アルマもおるな……って、何やら既にほろ酔い状態に見えるのじゃが、まったく何をしておる。まあ、隣にエメ子もおるから大丈夫かのぅ。それと……おお、よしよし、ヘムドールも来ておるな。ふーむ、少しばかり緊張気味のようじゃが、まあ錚々たる顔ぶれじゃからな。あまり表に出てこなかったヘムドールにしてみたら、仕方がないのかもしれぬ。とはいえ、あ奴も負けず劣らずの立場ではあるのじゃがな。それで失敗した過去を憂いておるようじゃし、立ち位置を探るのが難しそうじゃ)


 ソロモンから事前に参列する賓客達を教えてもらっていたミラは、その答え合わせをするかのように窓を見つめていた。

 招待客は、他にもまだ存在する。アトランティスの名も無き四十八将軍のレイヴンや、大きな商会の代表であったり国の要人であったりと、友好的な国や影響力の強い国など、揃いも揃った十一人。

 知っている顔もあれば、知らない顔もある。そんな彼ら彼女らと、ここに集まった者達が、今宵、大陸全土を沸き上がらせる歴史の目撃者となるわけだ。


「いよいよじゃな!」


「いよいよです!」


 全体が暗転したと思えばメインステージが明るくライトアップされて、勇壮な音楽が流れ始めた。

 遂に国王ソロモンがメインステージに現れる時間がやってきたのである。

 どこから出てくるのかと、ざわつく観客達。なんとソロモンは、毎年色々な方法で登場しているというのだ。

 ステージ下にずっと潜んでいたり、白馬で颯爽と登場したり、変装して観客に紛れていたりと色々である。

 今年はどこだと、それはもう慣れたように周囲を見回す観客達。とはいえ、今年は最も特徴的なものがそこにはある。

 観客達の目の半数以上は、砦にある大きな門に向けられていた。

 そして、その期待に応えるかのように、ババンと門がライトアップされる。

 やはりそうか、門から登場だ。そう観客達の盛り上がりが最高潮に達した時だった。

 その門が開くなり、そこから一台の馬車が悠然と出てきたのだ。

 御者が華麗に手綱を操ると、その馬車はメインステージに上がる。それから満を持してとばかりに馬車の扉が開き、さあソロモン王の登場だと誰もが息を呑んだ瞬間だ。

 なんと、どれだけ待っても誰も出て来やしないではないか。

 どういう事だと、どよめく観客達。するとそんな中で動く者が一人いた。

 御者だ。後ろを覗き込むなり驚いたようなリアクションをすると、そのまま馬車を動かして、ステージから下りていってしまった。

 いったいどうなったのかとざわめき始めた数秒後。今度は御者だけが、ステージ上に戻ってくる。そして右手を頭上に掲げた、その直後であった。

 突如として御者がソロモンに変わったのである。そう、ソロモンは御者に化けていたわけだ。


(ふむ、途中から予想は出来たが、まあ、こんな事を毎年という話じゃからな。大変そうじゃのぅ)


 変装とはまた違った早変わりだったためか、大いに盛り上がる観客達。ミラはその様子を眺めながら、それとはまた違った感想を思い抱いていた。

 それというのも、まず御者がソロモンであったというのは、出てきたところでわかっていたからだ。

 その変装には、ラストラーダの幻影の術を使ったのだろう。だからこそ、術を解けば早変わりに見えるわけだが、ラストラーダと同等の実力者であるミラの目を完全に誤魔化すのは不可能というもの。

 加えてミラは、この恒例化した登場シーンについて、ソロモンに心の内を聞かされていた。


『最初は、ちょっとしたノリで始めたんだけど意外と好評だったんで次の年もやってみたら、なんだかそのまま定着しちゃってさ……』


 今年はどのように登場するのかと期待されるため止めるに止められず、毎年頑張って色々と考えている。というのが実情だったりする。なかなかに苦労しているようだ。


(どうやら、今年も乗り切ったようじゃぞ)


 観客達の中から見る反応は上々だ。期待には十分に応えられたとみていいだろう。王様をやるのも大変そうだと感じながら、ミラはステージの上から手を振るソロモンに同情した。

 なおマリアナは、毎年手伝いなどで忙しいため色々と工夫したソロモンの登場を見るのは初めてだったようだ。まさかあの御者がと、それはもう驚いた様子であった。




「アルカイト王国の建国祭に参加いただき、感謝する。今年もまた、皆とこの良き日を迎えられた事を嬉しく思う」


 ステージにて、堂々とした態度で挨拶を始めたソロモン。王様ゆえ──王だからこそ下手にへりくだったりなどせず、威厳を見せつけるようにというのがスレイマンの方針だ。

 国民と接する時は自信と威厳を持つべきである。国の象徴であり道標にもなる王だからこそ、その全てで国民を安心させなければいけないのだと。

 だからこそというべきか、公の場に出るソロモンは普段と違い、あえて偉ぶるように話す。


「ソロモン様ー!」


 話すのだが、何だかんだでその寛容さは国民全員が知るところでもあった。加えて激動の時代の英雄であり、その実力といったら高名な冒険者をも軽く凌ぐと持て囃される域だ。

 それでいて、その容姿は少年そのものときた。ゆえに挨拶の際に時折黄色い声援が飛び交うのもまた、公の場面でありながらよくある事のようだ。

 ソロモンは、そんなファンの者達に軽く手を振って応えながら言葉を続けた。


「さて、諸君。今日は、この記念すべき日に集まっていただいた事、感謝に堪えない。そんな建国祭の初日も、あと数時間となった。そんな中、わざわざこのメインステージに集まってくれた諸君に、是非とも見て欲しいものがある──」


 挨拶の後にソロモンがそのように口にしたところで、メインステージの様子が一気に変わっていった。


(さて、楽しみじゃのぅ)


 毎年ソロモンが挨拶を終えた次は、国の事業や進められている研究などの成果発表などが行われる。

 創薬研究所にて伝染病の治療薬が開発されただとか、駅街シルバーサイドへの直通トンネル工事が開始しただとか、その内容はさまざまである。

 今日もまたその通りに色々な発表があるのだろうと、集まった観衆はあれこれと予想を立てながらステージに注目していった。











という事で最初の宅配ご飯は、とんかつでした!

かさねや というところの熟成かさねかつ弁当を注文したのです!


とんかつなんて、何年ぶりだったか……。久しぶりに食べるとんかつは、もう最高でしたね!

分厚くて柔らかく、ご飯がとっても進みました!


他にも美味しそうなメニューがあるので、かさねやはまた頼んでみようと思います。


そしてスイーツの方は、クレープです!

小さく包み込むような形になっているクレープを買ってきました。

チョコバナナとカスタードです。こちらもまた美味しかったです!



と、そういえば先日、編集さんからお肉の缶詰とゼリーを頂きました!

これまた、食べる楽しみが増えましたねぇ。

しかもゼリーの方は、なんとテレビなどでちょくちょく耳にする、千疋屋のゼリーではありませんか!


テレビで見るだけでまったく縁のなかった千疋屋……。それがまさかこの手に!

これもまた絶品でした!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今週も更新ありがとうございます。 日曜の内に感想を(汗) 舞台の賢者は出来る人ばかり… 脚本家は実話をどこまで知って書いているのだろう?(汗) 王様が手品みたいな登場をするって術者の国…
[一言] ソロモン「(前略)そして軍勢のダンブルフも戻ってきた!そう、世に知られているジジイの姿は世を忍ぶ仮のモノ、精霊女王ミラこそダンブルフの本来の姿だったんだよ!・・・とかできたら面白いし絶賛爆死…
[良い点] どうなるか楽しみです!
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