432 三十年ぶりの邂逅
さて、何やらアニメの放送について新情報が出てきたようですね!
放送開始は、2022年の1月からになったという事です!
新しいPVなども公開されていますので、是非ともご覧になってみてください!
https://kendeshi-anime.com/
よろしくお願いします!
四百三十二
ヘムドールと別れた後、ミラは闘技場内の関係者用通路を進んでいた。
素晴らしい解説だったとスタッフに褒められては、「お疲れ様じゃ」といい気になりながらすれ違うミラ。
その途中の事だ。見覚えのある顔が、ぞろぞろと集まっていく部屋が目に入った。
そして見覚えがある理由は、その者達が闘技大会の各部門にて入賞していたからだ。
「ほぅ、別の場所でとは聞いておったが、ここだったのじゃな」
部屋の扉の脇には『賞品贈呈式場』の文字。そう、この部屋にて各賞品や賞金などの正式な贈呈が行われるというわけだ。
ちらりと部屋を覗いてみると、アルマの他にも、見た目からしてやんごとなさそうな者達まで揃って並んでいる。
なお、少しばかり探してみるとメイリン──もといプリピュアもいる事がわかった。
ただ、こういった場は苦手なメイリンである。抜け出さないようにするためか、その傍にはエスメラルダの姿があった。
大会の主催側としては、目玉である無差別級覇者が不在の贈呈式は何が何でも回避したいのだろう。エスメラルダが手にしているのは、ミラもまた羨むようなスイーツばかりだ。
(なんて理不尽なのじゃろうな……!)
主催側からの出場拒否により、出たくても出られなかった闘技大会の賞品贈呈式にあるのは、軽食やスイーツが揃う魅惑のテーブル。そして、出場さえしていれば手に出来たかもしれない豪華な賞品の数々。
それらを前にしたミラは、こんなところで見ていても虚しくなるだけだとして目を逸らし、その場から逃げるように立ち去った。
と、その直後の事だ──。
「え!?」
戸惑うような、だがそれでいて仰天したかのように驚いた声が、不意に前方から聞こえてきたのだ。
いったい何がどうしたのかと、ミラもまたほぼ反射的に、その声がした方向へと目を向けた。
すると、そこには一人の男がいた。しかも見覚えのある男──というよりは知り合いの男。無差別級準優勝者であるトムドッグもとい、最強のプレイヤーキラー、レヴィアードだ。
先程の声の主は、彼のようだ。そして、そんな彼は何事か、目を見開いたままミラの事を見つめていた。
もしや、この可憐過ぎる少女に一目惚れしてしまったのだろうか。
最近、そういった視線が増えていると思っていたミラは、とはいえこれだけ可愛いのだから仕方がないと心の中で笑う。
(じゃが、なんというか、あれはいったいどういった顔じゃ……?)
彼とは趣味が合う事もあった。ゆえに惚れられるのはわかるのだが、よくよく見たところ、むしろレヴィアードは突如幽霊にでも出くわしたとでもいった顔をしていたではないか。
そして彼はそんな顔をしながらも、じっと観察するように、何かを確かめでもしているかのようにミラの事を見据えていた。
(何を考えておるのかはわからぬが……嫌な予感がするのぅ……!)
彼が声を上げた理由。そして今、こうして見つめてきている事にどういった意味があるのかは不明だ。
しかしながら、レヴィアードは何だかんだで顔見知りである。下手に反応したり言葉を交わしたりした場合、ダンブルフだと気づかれてしまう恐れがあった。
これまでに積み上げてきたダンブルフ像を崩さないため。もはや既にあってないようなものだが、未だそれに縋るミラは、そそくさとその場を立ち去る事に決めた。
そうして気にしていませんよとばかりに、すたすたと歩いてすれ違おうとしたところだった。
「あ、ミラさん……だっけ? ちょっとだけ話をしたいんだけど、いいかな?」
まさかレヴィアードの方から話しかけてきたではないか。
その瞬間、ミラは立ち止まった。聞こえないふりをするという手も考えたが、この場ではどう考えても不自然だと判断したからだ。
とはいえ、話をするのもまずい。
「すまぬが、ちょいとばかし急ぎの用事が残っておってな──」
結果ミラは、最低限の言葉だけでその場を切り抜けようと考えた。急ぎの用事があると言えば、たいていはやり過ごせるものだ。
だがそれは、面倒事を断るために使い古された常套句でもあった。だからこそ、相手には別の意味で伝わってしまう事もある。
そう、面倒事や、しつこい勧誘、そしてナンパ等から逃れようとしている、といった具合に。
今回レヴィアードは、ミラの態度や言動、場の状況などを鑑みた事で、その言葉をそのように受け取ったようだ。
「あ、待って。そうじゃないんだ。えっと、もう、忘れちゃったかもだけどさ。俺だよ、レヴィアード。で、ミラさんは……ダンブルフさん、だよね──」
慌てたように弁明したかと思えば、懐かしむかのように自身の正体を明かし、更にはミラの正体までも声にしたではないか。
直後、ミラは大急ぎでレヴィアードの口を塞ぐなり「うむ、確かにダンブルフの弟子じゃが、なるべく秘密じゃよ!」と大き目に声を上げた。
なお、素早く周囲を確認したところ、レヴィアードの声を聞いていた者はいなさそうで、ミラはほっと胸を撫で下ろす。
ただ次の瞬間にミラは小さく、それでいて声を荒げながら言った。
「馬鹿者が! こんなところでその名を口にするでない!」
それは、わざわざトムドッグなどという偽名を使っているのだから、そのくらい察しろとばかりな言いようであった。
そして彼もまた同じような立場にあるためか察してくれたようだ。しまったとばかりな表情を浮かべる。
「あ、そうだった。ごめんごめん。俺もそうだけど、ダ……ミラさんもか。聞かれちゃまずかったね。何かもう突然会えたのが嬉しくて、そのあたり考えられてなかったよ」
反省した顔のレヴィアードは今一度周辺を確認するなり、ひそひそとした声で、そんな言葉を口にした。
彼の事である。人一倍注意はしていたであろう。だが、そんな普段の事を忘れてしまう程に、この再会を喜んでいたわけだ。
確かに、旧友と出会えたのは喜ばしい。ミラもまた気持ちはわかるとして、それ以上に何かを言う事はなかった。
だが、一つだけ気になる事がある。
「わかってくれたのならよい。じゃが、そもそも、なぜわしじゃと気付いた?」
単純な疑問だ。元プレイヤーならば、《調べる》だけで相手も元プレイヤーであると直ぐにわかる。
だが、わかるのはそれだけだ。誰かまでは見抜けない。ミラのように大きく姿が変わっていた場合、見ただけでそれを判断するのは至難の業だろう。
けれどレヴィアードは、ミラがダンブルフであると確信した様子だった。
その根拠は、いったい何か。場合によっては、今後、保身のために知り合いとの接触を極力避ける必要も出てくる。
「ああ、それはアレだよ。《特定観測》っていう技能によるものだ。注意して記憶した対象が近くに来たら反応出来るようになっている。それで昔は、よく俺に付き合ってくれていた事があったよね? しかも不意打ちばかり仕掛けてきて。だから記憶していたんだ。すると、さっきその時の気配を感じてびっくりしたよ。しかも、もしかしてと見てみたら女の子がいて二度びっくりさ」
レヴィアードは、そうひそひそ声で真相を明かしてくれた。
そしてミラは、その答えになるほどなと苦笑する。
ゲーム時代の事。ミラはプレイヤーキラーであるレヴィアードと友人関係にあった。
切っ掛けは、キルを狙ったレヴィアードの襲撃だったが、その戦いの中で二人は気づいたのだ。
互いにゲームを、楽しんでいると。
ほぼ全てのプレイヤーを震え上がらせた事で知られる、プレイヤーキラーのレヴィアード。だが現在の彼を見てわかるように、その実態は、なんて事のない普通の青年である。
というのも、プレイヤーキラーと一言でいっても、そのタイプは幾つかあるものだ。
稼ぐための手段と割り切っているタイプ。単純に対人戦が好きだったりするタイプ。また、優越感に浸りたいタイプ、弱い者いじめや嫌がらせが好きだったりするタイプ。
そして、悪人のロールプレイに徹するタイプなどだ。
レヴィアードは、まさにロールプレイ勢の筆頭ともいえる人物であった。
プレイヤー達の間に、ほどよい緊張感を与え、更には仲間とチームワークの大切さというのを強く知らしめた。
特に五人の名も無き四十八将軍と彼が繰り広げた死闘は、見事なまでの正義と悪の対比であり、プレイヤー達の間で語り継がれる伝説となっていた。
そんなロールプレイに徹していたレヴィアードだ。同じくロールプレイに拘りのあったダンブルフと、馬が合わないはずもない。
(何とも懐かしいのぅ……。途中から不意打ちが通じなくなったのは、そういう技能があったからじゃったのか)
出会ってから互いを知り友となっては、色々と設定を考えて対戦を楽しんだ二人。
中でも特にお気に入りだったのが、『かつて伝説の暗殺者と呼ばれた男レヴィアード──もといアルタイルと、そんな裏切りの暗殺者を粛清しにきた組織のボス、ダンブルフ──もといベガ』という設定だ。
どこぞの街や店、通りや広場などで芝居がかった会話と共に対戦を始めるのである。
はて、そういえばあの時の黒装束は、どこにしまっておいただろうか。
と、そんな事を思い出していたところだ──。
「あの、トムドッグ選手。そろそろ始めたいのですが、よろしいでしょうか?」
廊下で立ち話をしていた二人のところに、大会の係員がやってきて声をかけたのだ。
見てみると、贈呈式場には既に各部門の受賞者達が揃っていた。残るは、無差別級準優勝者であるトムドッグの席だけだ。
「あっと、そうだった。でも折角会えたんだから、今度ゆっくり話そう」
このまま話をしたいが、あれだけの人数をこれ以上待たせるわけにもいかない。そう判断したレヴィアードは、また今度と言って式場に向かった。
「うむ、今度は落ち着いた時にでものぅ」
ミラは、レヴィアードの背に向かって答える。
出会う前までは保身のためその気などなかったのだが、もう正体がバレてしまったのなら問題ない。というよりはしっかりと彼に言い訳を刷り込まないといけないからだ。
「ふむ、何やらこれまで以上に忙しそうじゃのぅ」
王城で迎えた朝。廊下を行くミラは、城内を観察するなり独りごちた。
闘技大会の全日程は、昨日をもって終了。二ヶ月以上にも亘って続いたお祭りは、終わってしまった。
それでいて城の者達は、実に慌ただしく働いている。それは作業が祭りの運営から後処理と撤去に移っただけだからだ。
とはいえ、そんな内情など気にもしないミラは、朝からご苦労な事だとばかりに見送りながら今日の予定について考える。
(さて、まずはヘムドールの件じゃな)
──昨日の夜の事。城の一室にて闘技大会無事完了の祝勝会も終わったところで、さらりと決まった事だ。
その場にいたのは、いつものメンバー。アルマとエスメラルダ、ノイン。ゴットフリート達と、九賢者にイリスだ。
途中、眠くなったイリスをエスメラルダが部屋に連れて行ったあたりで、ミラはそういえばと、その話題を口にした。アルカイト王国の建国祭についてだ。
そして、ソロモンが招待客について悩んでいたという件を告げた後、ヘムドールを招待するのはどうかと皆に話す。
ヘムドールは九賢者に憧れて心を入れ替え、努力して今の力を身に付けて、更には猛者達の集う特別トーナメントにて準優勝にまで輝いた。そんな彼ならば適任なのではないかと。
「まさかそんなふうに思ってくれていたとは、頑張った甲斐があったってもんだな! 俺は賛成だ!」
「試合見てたヨ。私も戦ってみたいネ!」
その話に感動を示したラストラーダ。またメイリンも、チャンスがあれば手合わせしてみたいと彼を評価する。
「やっぱり正真正銘の本人だったのか。なら、問題ないだろ。にしても、あれだけの大国だ。俺の知らない死霊術でも秘匿しているんじゃないかと思ったんだが……残念だな」
今のヘムドールと少年時代のヘムドールは、ソウルハウルの言う通り、まったくの別人であるといっても過言ではないほどの変わりっぷりだ。
ソウルハウルは、厄介になったヘムドールをどうこうした後、特殊な死霊術でもって都合のいいように操っているのでは、などと考えていたらしい。
「その発想が恐ろしいわい……」
彼の事だ。そういった研究もしていそうだからこそ、より恐ろしいというものである。
「私も、いいと思う。噂は所詮噂だし、今日の事がいい証拠になるでしょ」
大陸中の情報を集められる五十鈴連盟。集めた中には彼の噂なども幾つかあるそうだ。
それらにはいい噂などなかったが、今日の試合を見ればヘムドールが今の立場に相応しいだけの努力を積み重ねてきたのだとはっきりわかる。噂はただの噂に過ぎなかったと言い切るカグラ。
ゆえに、きっと大丈夫との事だ。
また、それならばとルミナリアも同意。
アルテシアも、あの時の男の子が──と、それはもうヘムドールの努力を称賛し、もちろんと頷いた。
そうして満場一致で、ヘムドールの招待が決定したわけだ。
その後ミラは、ニルヴァーナの通信室を借りてソロモンに、この件を伝えた。
『うっそ……!? あのお孫さん!? え……どうしてそんな大物が出てきたの!?』
第一に返ってきたのは、驚愕だ。
ヘムドール自身は過去の自分を省みて驚くほど謙虚になっているが、かといって彼が持つ権威は健在のまま。
むしろ頭を下げてお願いをするような相手のはずが、なぜそのような状況になっているのかと、ソロモンが次に浮かべたのは困惑だった。
とはいえ、ヘムドールがそれでいいと言うのなら、いいのだろう。
ミラの話を聞いたソロモンは、深く考える事を止めて『わかったよ、ありがとう』と答えた。
悪い噂はあれど、今は闘技大会にて真の実力を見せつけたという絶好のタイミングだ。
これを観戦していた者の中には、大陸各国の主賓クラスも多い。ならばこそ、話題性も高いとソロモンは嬉しそうだ。心して招待状を送ると約束してくれた。
「今日も忙しくなりそうじゃな!」
ヘムドールにその事を伝えたら、次はレヴィアードだ。
そのように今日の予定を決めたミラは、まず朝飯だと食堂に向かった。
とってもとっても今更なのですが……
ツナ缶がすっごくヘルシーだったという事に気づきました!
きっと本当に今更だと思う方もいらっしゃる事でしょう。
しかし、なんとなくカロリー高そうだと最近まで思っていました……。
なぜかと考えてみたところ、ちらほらと思い当たる点が!
一つは、自分の知っているツナ缶が、オイル漬けだけだったというもの。
オイルといえば、高カロリー。だから漠然とツナ缶はカロリーが高いなんて思ってしまっていたのでしょうね……。
それが今見てみると、何やら原材料に野菜スープというものもあるではないですか!
そしてもう一つの思い当たる点ですが、こちらはもう単純な思い込みですね。
ツナマヨのイメージが強かったからです。
マヨといえば高カロリー。という事で、交ぜられているにもかかわらず、ツナも一緒な印象を抱いてしまっていたわけです……。
それが今回、ライトツナという名に惹かれ、
ほぅ、ライトとな。ツナのくせにどれほどライトなのか見てやろうではないか。
と、カロリーを見てみました。
なんと、一缶49キロカロリー!!!
小腹が空いたときとかに丁度いいではないですか!
ツナ缶……色々と使えそうですね!!




