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249 名探偵ミラ

二百四十九




 受け持った仕事が終わったからか、ニナ達は気の抜けた様子でベランダの隅に座る。ミラもまた次の動きがあるまではやる事もないため、『ロックオンM弐型』の表示に注意しながら、その場にどかりと腰を下ろしニナ達と雑談をしていた。

 ファジーダイスを『ロックオンM弐型』に登録する事までが、所長の作戦だ。そして、ここから先の追跡はミラの好きなように、という事になっている。

 登録相手を示す印は、術士組合を指したまま。これが動き始めたとしたら、それはすなわちファジーダイスが術士組合での用事を終えて脱出した時。

 これまでは、言ってしまうなら準備の段階。ミラにとっては、ここからが本番。ターゲットを追って捕まえて、話を訊くまでがミラの目標であり、孤児院を見つける事こそが最終目的だ。


「え!? あれを足で追うんですか!?」


 屋根の上を疾走するファジーダイスの俊敏さは、人間離れしていた。そしてそれをミラが、『ロックオンM弐型』に登録した印を頼りに追う予定である。しかも尾行がばれないよう、ペガサスなどには乗らずにだ。そんな話の流れを経て、ニナが驚きの声を上げると、ミナとナナもまた、それは難しいのではと口にして、ミラの脚に目を向けた。細くて柔らかそうな、実に女の子らしい脚である。

 幾ら精霊女王などと呼ばれるAクラス冒険者であろうとも、その得意の召喚術を使わずに、あのファジーダイスを尾行するなんて出来ないだろう。きっとニナ達でなくとも、そう思ったはずだ。

 しかしながら、ミラには召喚術以外にも、これまで培ってきた仙術の技がある。


「まだ、言っておらんかったな。何を隠そう、わしは仙術もまたそれなりに使えるのじゃよ」


 得意げに答えたミラは、これみよがしに、《真眼》を開いてみせる。すると途端にミラの気配がより深く透き通り、その両目の色も変化した。


「それって、確か仙術の奥義の一つ……」


「先生の御友人と同じ眼……」


「やっぱり、二つ名持ちって特別なんですねぇ」


 ニナ達は息を呑むと共に、その目に憧れに似た色を宿しつつ、それならファジーダイスを尾行出来るかもしれないと納得する。


「でも、仙術の技も、結構飛んだり跳ねたりしますよね。えっと、それは大丈夫なんですか?」


 ニナはそう口にしつつ、視線をミラの下半身、スカートの部分に向けた。きっと、先日の所長達のように、パンツが見えてしまう事を心配しているのだろう。


「うむ、そこは対処済みじゃ。しっかりとパンツ隠しを買っておいたからのぅ」


 その心配は無用である。この日のためにインナーパンツを買ったのだから。と、自信満々なミラ。しかしながら、どういうわけかニナ達は、ミラのドヤ顔とスカートを交互に見やると、困惑気味に顔を合わせた。


「どう思う?」


「えっと、違うんじゃないかな?」


「私も、違うと……」


 何やらミラを余所にして、こそこそと内緒話を始めた三人は、どことなく言い辛そうな、困ったような顔で、ちらりと窺うようにミラへ視線を向ける。

 そんな三人の様子を前にして、ミラは、はてと首を傾げた。今の話の流れに、彼女達が困るような要素はあっただろうかと。

 そうしてミラが疑問符を浮かべていたところ、いよいよ何か意を決したとばかりにニナ達がミラに向き直った。そして再び、ミラの顔とスカート部分を一瞥した後、ニナが代表して口を開く。


「えっと……私達には、ミラさんのそれが本パンツにしか見えないんですけど……。そういうインナーもあるんですかね?」


 真剣に困惑した表情を浮かべながら、そう指摘したニナ。ミナとナナもまた、その目で、そう見えると訴えている。

 スカートの状態など気にせず、その場にあぐらをかいて座ったミラ。そんなミラと対面する位置にいるニナ達からは、丁度隙間になったところから、ミラのパンツが見えていたようだ。

 同性同士になると、その辺りのガードが緩くなる者もいる。当然ニナ達も、女同士という事もあり、これといって気にしてはいなかった。

 しかし、そんな最中にミラが言う。スカートの中が見えてもいいように、対策済みである、という意味合いの言葉を。

 その瞬間、ニナ達は驚愕した。彼女達の目には、ちらりと覗くそれがインナーパンツの類ではなく、直パンツにしか見えなかったからだ。

 そして、そんな彼女達の目は正しかった。


「何を言うておる。ほれ、この通り穿いて……──!?」


 この日のために、しっかりと穿いてきた。そう答えようとして、自身のスカートを捲ってみたミラは、そこに見慣れたいつものパンツがあって、その動きを止めた。そして思考する。はて、どうなっているのだろうかと。

 それから少しして思い至る。あの日、インナーパンツを色々と手に入れた時に穿いたくらいで、それからずっと穿き忘れていた事に。


「ああー……忘れておった……」


 こういう新しいものは、慣れない内だと、ついつい忘れてしまいがちだ。そんな言い訳を思い浮かべながら、ミラはいそいそとスパッツを取り出して足を通すのだった。




 しっかりとスカートの下にスパッツを穿いて、いつでも飛び出せる状態が整ったミラ。まだかまだかと『ロックオンM弐型』の表示を確認しながらも、先程までの流れから始まったニナ達の下着談義に交ざり、にやにやとした笑みを浮かべていた。

 会話の内容は、冒険者的視点からの下着の扱いについてだ。ダンジョンに持ち込む枚数に交換頻度、そして何よりも洗濯についてと、悩みは尽きないようだ。

 対してミラは、その点についての悩みなどなかった。召喚術を活用すれば、幾らでも洗濯出来て取り換え放題であるからだ。ミラがその事を大いに語ると、ニナ達はますますその目を輝かせる。そして、妹に召喚術を教えるという約束を、何卒よろしくおねがいしますと、ひれ伏した。


「えっとこれは……どのような状況でしょうか?」


 その時に丁度三階のベランダにやってきたユリウスは、ミラにひれ伏すニナ達の図を目撃して硬直する。


「なに、気にするでない。ちょいと今度、妹さんに召喚術の手解きをすると約束しただけじゃよ」


 ありのままを簡潔に説明したミラ。しかしながらこの場面は、その説明だけで把握出来るようなものではなく、ユリウスは「はあ……」と曖昧な言葉を返す事しか出来なかった。


「さて、それよりも何か用事があってきたのじゃろう。どうしたのじゃ? この後の予定は、尾行だけじゃが」


 なぜ、わざわざミラ達がいる場所にユリウスがやってきたのか。ミラは、登録したファジーダイスに動きがない事を確認しながら問う。

 所長の作戦では、ここから先についての案はなく、ミラの裁量に任せるという事だった。それともここにきて何か作戦を思いついたのだろうか。そうミラが考えていたところ、ユリウスが告げる。


「それなんですが、所長に突然、ミラさんを呼んできてくれと言われまして。詳しい事までは私もわからないのですよ」


 その言葉は本当のようで、そう説明するユリウスもまた困惑したような表情を浮かべていた。何でも現場から急いで組合に戻ってきた直後に、ミラを呼んできて欲しいと頼まれたそうだ。そのため、現在の術士組合がどのような状況なのかもまったく確認していないという。


「ふむ……理由はわからぬが、そう言うのならば行くしかないのぅ」


 予定では登録を終えた時点で任務完了であるが、何よりもあの所長の事だ。きっと何か意味があるのだろう。そう考えたミラは、すぐさま立ち上がり、ベランダからひらりと飛び降りた。そして《空闊歩》で宙を走り、するりと術士組合の出入り口に降り立つ。

 それからミラは振り返り、先程までいたベランダに向けて手を振ってから、術士組合に入っていった。



「あんな軽やかに……」


「やっぱり凄いね」


「ミラさんが先生になれば、きっとあの子も」


 さも当然のように飛び降りて、まるで息をするかの如く宙を駆けたミラの姿。仙術すらも高いレベルで使いこなすならば、本命の召喚術となればどれほどのものになるのか。三人の目には、その希望がありありと映ったようだ。憧れと尊敬、そこに若干の崇敬が篭った眼差しで両手を組むニナ達。

 対して、その場に居合わせたユリウスは、そんな彼女達の様子に加え、先程の状況を思い出し、少しだけ距離をとった。




 術士組合内部。そこには、活性化した証拠品と思しきものの対処をする職員と、三十人ほどの冒険者、そしてど真ん中にどんと構える所長の姿があった。

 特に、証拠品に仕掛けられた術の解除は相当に難解なようで、職員達は全員、そちらに注力している様子だ。


「して、わしを呼んだ理由は何じゃろうか?」


 一方、慌ただしい職員とは反対に、所長と、そこに居合わせた冒険者達は落ち着いており、その目はゆっくりとミラに向けられる。


「おお、来てもらってすまない。ここから先はミラ殿に任せるつもりだったが、何というか、少々探偵の血が騒いでしまってね」


 車椅子ごと振り返った所長はそう答えると、やはりファジーダイスを前にして、居ても立ってもいられなくなってしまったのだと苦笑する。


「いつものように武力でどうこうする事は無理としても、せめて知略だけでも試してみたくてね。予定と違いすまないが」


 ファジーダイスの魔力を『ロックオンM弐型』に登録したところで、所長の作戦は終了。つまり、この先はミラの作戦、ミラの予定となっていた。それをこうして乱した事に謝罪を口にする所長。しかしミラは、そんな所長にまったく気にしていないと答える。


「もとより、所長殿が立てた作戦じゃからのぅ。最後まで好きにすると良い」


 所長の我が儘を責めずに快諾したミラは、むしろここから所長がどのように探偵の仕事をするのかと、楽しみにすら思う。


「ありがとう、ミラ殿」


 朗らかに笑った所長は、直後に表情をきらりと輝かせ、その目線をミラの手元に移し「ところで、首尾の方はどうだったかね?」と続けた。


「うむ。ばっちり狙い通りじゃよ」


 ミラは『ロックオンM弐型』の表示を今一度確認して答える。そこには、しっかりとファジーダイスの反応を示す印が浮かんでいた。


「流石はミラ殿だ。任せて正解だったよ」


 満足気に頷いた所長は、これまでの経緯と現状について簡単に説明してくれた。

 ミラ達と別れた後、所長は術士組合でファジーダイスが来るのを待ち構えていた。それから暫くして、外が一際騒がしくなったところで、ファジーダイスが組合内に堂々と出現。そしてこれまで通り、防犯用の術式を活性化させた証拠品を置く。と同時に所長が合図を出し、正面以外の出入り口を全て封鎖。しかも秘密裏に用意しておいた術具で結界を周囲に張り巡らせたので、ここから出る者がいたら、音で直ぐにわかるようになっているとの事だ。

 なお、その結界は一度、ユリウスがミラを呼ぶために出た時にしっかりと反応していたので、その効果は確かであるという。


「この場合、ユリウス君が出るタイミングに合わせて一緒に出ていくというパターンが定番だが、その点も抜かりはない」


 ミラが指摘するより先に、所長はそのあたりについても触れる。この結界は人数分反応する仕様であり、まだカウントは一人だけだと。

 見れば所長の車椅子脇に見慣れぬ箱が置いてあり、そこには数字の一が表示されていた。どうやらその箱こそが、結界を生み出している術具のようだ。

 また、所長が説明している間に、ユリウスも帰ってきた。この事から、ユリウスに変装してミラを呼びにいき、そのまま逃げた、という事もなさそうだ。


「さて、そういうわけでね。ここにいる誰かがファジーダイスの変装という事になる」


 所長は、鋭い輝きをその目に宿し、そこにいる冒険者達を一瞥した。

 男性と女性。そして戦士クラスと術士クラス。場所的に術士の方が多いが、それらは全て関係ない。ファジーダイスは、何にでも変装出来てしまうからだ。そして変装するならば、出入りが多く見覚えのない者がいても余り不思議ではない冒険者が最適であると所長は語った。


「俺達じゃなくて、あっちはどうなんだ?」


 所長の言葉に対して、冒険者の一人が、そう術士組合の職員達を指し示した。ここにいる者に変装するのなら、職員も入っているのではないかと。


「いい質問だ。しかし彼らに変装するのは、難しいだろう」


 容疑者達との問答もまた、探偵の役割の一つ。ミラは、その様子を楽しみながら、所長の答えに耳を傾ける。

 職員に化けるのは難しい。そう口にした所長は、続けてその理由についても語った。

 誰でもない職員に変装した場合、職員同士は毎日のように顔を合わせている事から、そこに見覚えのない者がいたら直ぐにばれるだろう。そして現状、そのような様子はない。

 次にファジーダイスが職員の誰かに成り代わっているという場合だが、これは有り得ないだろうと所長は断言した。これまでの事例からみて、ファジーダイスの変装は、『誰かに』ではなく『誰でもない誰かに』扮するものばかり。流石のファジーダイスも、特定の誰かに化ける事は出来ないのか、それともあえてやらないかの、どちらかであろう。

 そこまで話した所長は最後に、成り代わった結果、その者が謂れの無い罪を負うかもしれず、だからこそあの怪盗は、誰でもない誰かにしか変装しないのではないかと続け、締め括った。



「なるほどな。だからこそ俺達の中の誰かってわけか」


 所長の説明に納得したのか、男はそう言いながら、そこにいる冒険者達を見回した。そして、確かにこの中の半分ほどは、この街では見慣れない顔だと付け足す。どうやらこの男は、この街を拠点に活動する冒険者のようだ。更に男は、そこにいる中から六人ほどの冒険者を指し示す。そしてその者達とは、もう何年もここで顔を合わせていると教えてくれた。

 互いに見知った顔ならば、ファジーダイスの変装である可能性は低い。そう理解した冒険者達は、各々で知った者同士確認し始め、それを所長に報告してからその場より端に移動していった。

 冒険者達によって自主的に行われた確認作業の結果、誰の顔見知りでもない冒険者が十数人ほど残った。つまり、所長の推理が確かならば、この中の誰かがファジーダイスの変装というわけだ。


「わざわざ、すまないね」


 相互確認してくれた冒険者達に礼を言ってから、所長は残った冒険者に目を向け、その者達の顔をじっくりと見回した。


「で、次はどうするんだ?」


 所長が、どのようにしてファジーダイスの変装を見破るのか。それが楽しみになってきたようで、先程の男は手伝える事があるなら言ってくれとばかりに名乗りを上げる。


「それでは、次にミラ殿が指し示す者を調べてもらっても良いかな」


 所長がそう答えたところ、男は「ああ、わかった」と頷き、誰を調べればいいのだとミラに顔を向けた。


「そうじゃのぅ。調べる相手は……」


 対して突然話を振られたミラであったが、そこに動揺はなかった。どのようにしてファジーダイスの変装を見破るのか。その手段は、何よりも今、ミラの手の中にあるからだ。

 ミラは話の途中からここに呼ばれた理由を理解した。だからこそ、所長の言葉を受けると同時に、『ロックオンM弐型』を確認する。予定では、追跡するための登録だった。しかしその特性上、不特定多数の中から一人を見つけ出すという使い方もまた当然出来るわけだ。

 この『ロックオンM弐型』が、これまでの不可能を可能にする。全戦全勝のファジーダイスの変装を見破り、黒星を付ける。ミラが誰かを指し示すその瞬間は、これまでのファジーダイスの歴史に、大きく刻まれる事であろう。

 先程ベランダにて見事にファジーダイスを狙い登録に成功したミラは、その表示が示す先をびしりと指さして、ここぞとばかりにその言葉を口にした。


「犯人は、お前じゃー!」


 その声、その姿、その勢いは、まるで物語の中に登場する名探偵の如くであった。推理で犯人を追い詰め、逃れられない真実を突き付け、その罪を白日の下に晒す決め台詞。

 機会があれば言ってみたい言葉の上位に位置するであろうそれを存分に言えて満足顔のミラ。しかし、そんなミラに男が告げる。


「いや……えっと、誰もいないんだが」


「……へ?」


 瞬間、間の抜けた声をもらしたミラは、慌てて自分が指し示した先に目を向ける。そこは、半数の冒険者が移動した事で生じた、空きスペースであった。

 そう、気ばかり先走っていたミラは、初めに確認していなかったのだ。『ロックオンM弐型』が、どこを指し示していたのかを。確認せずにポーズを優先したため、そこには誰もいないという事に気付いていなかったのである。しかしそれも仕方がない。ばっちりとファジーダイスを登録し、その前にはユリウスを実験台にその正確さを実証していたのだ。そんな優秀な『ロックオンM弐型』が、ここにきて見当外れな結果を出すなど、そう予想出来るものではないだろう。


「これは……どうなのじゃろう」


 ここにきて故障したのだろうか。そう思ったミラは、移動しながら表示を確認してみた。けれど登録対象は、どれだけ移動しても常に同じ場所を指し示し続ける。まるで、登録した相手が確かにそこにいると主張するように。


「きっと何かあるのだろう。その場所を調べてみてくれ」


 戸惑うミラとは違い、冷静にその場を見据えていた所長は、協力者の男にそう頼んだ。

 男は、ミラと同様に疑問を抱きながらも「わかった」と答え、『ロックオンM弐型』が指し示す方へと進んでいく。

 その術具でわかるのは方向だけであるため、男はミラの「そのまま真っ直ぐじゃ」という言葉に従い前進する。そして組合の中ほどを過ぎて、いよいよ依頼表が並ぶ壁際の前にまできた時だ。


「ん? なんでこんなもんが落ちているんだ」


 ふと足を止めた男は、そう呟きながら何かを拾い上げた。それから「なあ、誰か落とした奴いるか?」と振り向き、手にしたものを掲げてみせる。

 男が拾ったもの。それは、革のマントだった。しかし、ただのマントではなさそうだ。


「俺じゃねぇけど、俺だな」


「いえ、きっとあれは私のね」


「名前が書いていなければ、多分僕のでしょう」


 冗談半分といった様子だが、冒険者達が所有権を主張するような言葉を次々に言い始めた。一見すると、何の変哲もない革のマントだが、どうやら結構な代物のようだ。


「はて、あれは普通のマントとは違ったりするのじゃろうか?」


 冒険者の皆は知っているようだが、どうにも見覚えのないミラは、答えを求めて所長に問うた。


「おや、知らないのかね?」


 所長は少々驚いたような表情を浮かべたが、少しして、「いや、ミラ殿ほどの実力になると必要はないのかな」と、一人得心した後、それがどういったものなのか教えてくれた。

 所長の説明によると、そのマントは『対魔獣用潜伏マント』というものらしい。

 魔物が出現する場所というのは、その土地のマナの濃さや諸々の要素から、だいたいの種類や強さといったものが決まっている。そして魔獣が出現する場合は、全てがその近辺の魔物より格上である事も決まっていた。

 しかも、これといった出現条件というのは未だ判明していないため、魔物狩りの途中で、突如格上の魔獣と出くわしてしまう冒険者もいるわけだ。

 魔獣というのは、特に生物が持つマナを過敏に捉える事が出来る。そのため逃げるとなったら、その視界から逃れるだけでなく、マナの感知範囲外に出るしかない。

 だが、急に遭遇した場合は、たいていが格上であり、その難度は非常に高い。そこで活躍するのが、この『対魔獣用潜伏マント』である。


「このマントには、二つの術式が縫い込まれていてね。一つは、ただただ周囲のマナを循環させるもの。そしてもう一つは、着用者が持つマナを内側に留めるというものなのだよ」


 つまりこのマントは、カモフラージュによって風景に溶け込むが如く、周囲のマナを身に纏い、魔獣のマナ感知から逃れる事が出来るという便利な術具であるわけだ。


「なるほどのぅ……。そのようなものがあるのじゃな」


 魔獣がマナに反応するというのは、ミラも知っていた。ゲーム時代には、勝ちようのない魔獣と遭遇してしまった場合、マナを秘めた手持ちのアイテムなどを、そこらにばら撒きながら逃げるという対処法があった。

 そんな時代から時は進み、今ではその感知を欺けるほどのアイテムが存在している。ミラは、人々の知恵の賜物であるマントを見つめ、大いに感心した。






最近、改めて冷凍うどんのポテンシャルを知りました。

前は鍋に投入していましたが、光箱でも楽々だったのですね。

汁なしうどんなら、ちょちょいのちょいと出来上がります。

今は、納豆うどんがマイブーム!

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― 新着の感想 ―
[一言] 推理物嫌いだから長くてイライラしちゃう。早くコナン終わらないかな。
[一言] 安定のミラクオリティ。 先生のご友人ってMさんかなぁ。 というか、先生は誰なんだ。Rさん?
感想一覧
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