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246 ファンの分布

二百四十六




「いやはや、すまない。捕まってしまったよ」


 ニナ達と約束を交わした後、その予定について話し合っていたところで、ようやくファジーダイスファン達から解放された所長が合流した。随分な遅れようであり、謝罪を口にする所長だが、その表情は実に輝いている。若い女性達にチヤホヤされて、ご満悦といった様子だ。


「しかしまた、敵役でありながら随分な人気じゃのぅ」


 世間一般でみる所長のイメージは、正義のヒーローである義賊ファジーダイスを捕まえようとする悪役であった。しかし、ファジーダイスを応援するファン達にはユリウス共々、所長もまた人気者らしい。

 何とも不思議な状況に思えるが、所長は、何となくその理由を察しているようだ。


「どうにも私は、怪盗の引き立て役という認識らしくてね」


 人気は人気でも、自分は完全に脇役であると所長は笑った。

 これまでに多くの名だたる冒険者がファジーダイスに挑み破れていった。そしてファン達は、そんなファジーダイスの実力と華麗な振る舞い、揺るがぬ正義に惚れて増えていく。

 つまりファジーダイスのファンの多くは、ファジーダイスが悪党を懲らしめるだけでなく、強敵と戦い、それを打倒するという展開も望んでいるというわけだ。

 しかし現在、ファジーダイスが余りにも強過ぎるという事と、世間一般の評価も相まって、名だたる冒険者がファジーダイスの前に現れなくなってしまった。すると当然、ファン達が望む強敵との戦いもまたお預けとなる。

 けれど、そんな状況の中、果敢に挑み続ける男がいる。それが、探偵ウォルフ所長だった。

 現在連敗中とはいえ、所長はかつてAランクの冒険者であり、その実力は折り紙付き。様々な知略を巡らせる所長の策を、見事に破るファジーダイスという構図が、どうにもファン達に受けているようだ。更には、ユリウスという女性受けの良い好青年な助手がいるという点も理由の一つである。ただ、印象としては道化に近い。

 また、所長もそうした理由である事を察しながらも気にした様子はなく、「私よりもユリウスの方が人気だがね」などと冗談めかしてみせた。そして一言、「最後に勝ちさえすれば、それでいい」と不敵に微笑んだ。

 なお、所長同様ファン達に捕まっていたユリウスだが、見ると丁度解放されたところだった。そしてユリウスは、ファジーダイスファンの女性達に笑顔を残して去っていく。

 そんなユリウスの背に向けて「頑張ってねー」という女性達の声が響いた。その声は、どことなく所長に対するものとは違い、本当に健闘を祈るような色合いが含まれているように感じられるものだ。

 瞬間、ミラは表情を顰める。そして笑顔だった所長の目からも、心なしか笑みが消える。二人の心はスイーツ好き以上に、かつてないほどシンクロしたようだ。




 そうこうしてミラと所長、ニナ達が揃ったところで、簡単な打ち合わせが行われた。

 ベランダを貸してもらう事になっている店の中、その一角にあるテーブルを囲み、作戦の最終確認だ。

 ただ作戦とはいえ、ここでやるべき事は、そう複雑なものではない。ミラとニナ達は、ファジーダイスファンに扮してベランダに並び、怪盗が来たら、ミラが『ロックオンM弐型』で狙い撃ち、登録するだけだ。

 必要な事は、術具で狙っているという事を悟らせないようにするため、どれだけファジーダイスファンに紛れられるかである。

 そこで重要になるのが、ファンとしての立ち振る舞いだった。本物のファン達はファジーダイスが登場した時、とんでもない盛り上がりを見せると所長は言う。

 そんな中、姿恰好を真似ただけの状態で、静かに虎視眈々と術具で狙っていては、非常に浮きだってしまうわけだ。しかも所長が算出したという真っ直ぐ狙えるベストな場所が、ファンの集まる大通りよりも視点の高いベランダからという事もあり、待機する四人は特に目立つ事になる。

 つまり、ファンと同じくらいに盛り上がってみせなければ、ファジーダイスに怪しまれる事間違いなしというのが、所長の考えだった。


「……自信はないのぅ」


 術具で狙って撃つだけだと思っていたら、まさかの無茶振りである。好きでもなく、しかも男に向けて黄色い声援を送る演技など出来るはずもない。そうミラは苦笑した。

 すると、そこでニナが表情をキラリと輝かせる。


「私達に任せて!」


 そう言って、実に頼もしい笑顔をみせるニナ。更には、ミナとナナも問題はないと続けた。

 何でも彼女達の親は、大きな舞台を取り仕切る演技のプロであり、その娘である彼女達もまた、女優の道から逸れたものの、今でも演技には自信があるとの事だった。

 白いマントを取り出したニナ達は、盛り上がりながらミラをマントで隠すので、そこから狙えば問題ないと豪語する。


「ふむ、素晴らしい。それでいこうか」


 何と心強い言葉だ。しかし果たして、通用するのだろうか。ミラがそんな事を考えている内に、所長が即座にその案を採用した。彼女達がそう言うのを予想していたとばかりに。

 どうやら演技に自信のあるニナ達が、この作戦に組み込まれた事は偶然ではなかったらしい。所長の様子からして、彼女達の親や、その事情についても把握している節があった。分かり辛いが、何だかんだいっても所長はやはり凄腕のようだ。




 作戦の流れも一通りまとまった。そして開始までの間、本番前の腹ごしらえをしようという所長の言葉によって、五人は今、この店自慢のババロアを堪能していた。しかも当然のように所長の奢りである。


「聞いていた通り、これは絶品だ」


 前々からこの店のババロアを狙っていたのだろう、所長はとても満足そうだった。ニナ達も甘いものは好きなようで、笑顔がこぼれている。


「これならば、幾らでも食べられそうじゃな!」


 ミラもまたご機嫌だ。一つ目をぺろりと平らげると、そんな言葉を口にして、ちらりと所長に視線を送る。すると所長はそれを受けて、ミラやニナ達を見ながら言う。「まだ、予定まで時間もあるようだ。もう一つくらい、いってみようか」と。

 そのセリフは、是非もう一つ食べよう、という意味合いが込められているものだった。女性四人を差し置いて、自分だけがババロアをお代わりするというのは、なかなか抵抗があるようだ。しかし、四人のお代わりに便乗するという形なら、堂々ともう一つ食べられるというものである。

 しかしながら、ニナ達は顔に、もっと食べたいという色を浮かべながらも「大丈夫です。ありがとうございます」と、遠慮する。所長の奢りであるゆえか、これ以上は悪いと感じたのだろう。

 その慎ましさは美徳であるが、今回に限り、その答えは所長の望みの対極にあった。と、そこで助け舟を出す者が一人。


「おお、そうじゃな! それでは次は、チョコババロアにするとしよう!」


 そう、ミラである。ミラは所長の意を汲んで、また自分の食欲に対して素直にそう答えたのだ。そして、このミラの発言がニナ達の心に波紋を広げていく事となり、その表情の変化を所長は見逃さなかった。


「三人は、いいのかね? 遠慮する必要などないのだよ。私はこれでも、元Aランクだったのだからね」


 そう先輩風を吹かせながら、所長はニナ達に揺さぶりをかける。すると少しした後、「えっと、イチゴババロアを」「私は、チョコで」「カスタードをお願いします」と、三人は陥落したのだった。




 ミラ達が追加のババロアを堪能していた時の事。店に一人の男がやってきた。その男は、どうやら店主の知り合いらしく、カウンター席に座るなり気さくに話し始めた。


「しかしまた、ファジーダイスという怪盗の人気は凄いなぁ」


 そう前置きした男は、ここに来る途中で見てきた光景を、まるで何かの祭典のようだったと楽しげな様子で続けた。

 彼は教会の節気典礼に参加していたらしく、典礼が終わり教会を出たところ、そこにはファジーダイスのファン達が大勢集まっていたと語る。そして、そんな状況に驚きながらもこの店まで来たところ、正面の大通りまで同じような状態になっていて、また驚いたと笑った。


「この様子なら、あれだ。きっと、あのドーレスのところにも沢山集まっているんだろうな。で、あの男は、そこで盛大に負かされると。そして、怪盗のこれまでの行動からして、あの男の悪事は全て晒されて監獄送りになるわけだ。ファンじゃないけど、怪盗様様だ。これでこの街も少しは平和になりそうか」


 余程黒かったのだろう。ドーレス商会は、一般市民にかなり嫌われているようだ。しかし、その事に触れる者は、これまで見かけなかった。きっと、それだけ強大な商会なのだろう。

 しかし、そんな商会も今日この日に終わりを迎える。それをファジーダイスが成し遂げると信じているようで、店内にいた客の何人かが、男の言葉に同調していた。


「本当に、神の使者なのかもしれないな」


 くたばれドーレス商会と盛り上がる客達。随分とご機嫌な様子の男は、その状況を眺めながら、そうポツリと呟いた。

 実は怪盗ファジーダイスについて、教会関係者と信者達の一部で、ちょっとした話が膨らんでいた。それは、『ファジーダイスは神が遣わせた天使』説だ。そのような説が出た理由は、義賊的なファジーダイスの行いもあるが、出現がいつも節気典礼の日だという事も大きな理由である。

 その辺りについて所長は、大司教が教会にいるため都合がいいから、と推理しているのだが、どちらが真実なのか。それとも……。




「そこの大通りの状況からして予想はしておったが、教会にもファン達が集まっておるのじゃな」


 店のカウンター方面で盛り上がる常連らしき客達。彼らの話の一部を聞いていたミラは、ふとそんな事を口にした。


「うむ、そうだね。いつも予告状が出された現場だけでなく、教会と術士組合前に集まっている。だからこそ、今回の作戦を思い付いたわけだ」


 怪盗ファジーダイスの行動は、まず証拠その他を盗み出した後、教会に一部の証拠をばら撒き、次は術士組合に解術が必要な残りを置いて、どこへともなく消えるというもの。それがこれまでの犯行の共通点であるため、探偵が張り込むだけでなく、ファン達にとっても絶好の出待ちスポットとして周知されているようだ。


「ふーむ、しかしじゃな。ここや教会にいるよりも、予告現場にいた方が良いのではないじゃろうか? 向こうが主戦場となるのじゃろう? 登場から犯行までを見学出来た方がと、わしは思うのじゃがのぅ」 


 教会と術士組合前でファジーダイスがやる事といえば、証拠品を置いて立ち去るだけ。これまで話に聞いた限りでは、滞在時間も少なそうであり、やる事も地味だ。

 対して現場の方、今回はドーレス商会の屋敷だが、そこで行われるファジーダイスの仕事は盛沢山だ。

 まず、予告状の時間に登場する。被害者側が用意した戦力を、華麗に切り抜ける。それから見事に証拠と財を盗み出し、颯爽と去っていく。それらの犯行を、約十分ほどで行うという事だ。

 どう見ても、こちらの方が見応えがあるだろうと、ミラは考える。


「ああ、私も最初はミラ殿と同じ事を思ったよ」


 所長は、そんなミラの発言を受けて笑ってみせると、その疑問を解消するために集めたという情報を得意げに語った。

 怪盗ファジーダイスのファン達から聞き込んだ結果、予告現場と教会、そして術士組合は、目的によって違いがあるそうだ。

 まず犯行現場は、ミラが考えた通りだった。盛大な登場から始まり、警備員をスマートに昏倒させていく事から、ファジーダイスの確かな実力が堪能出来る。そして標的にされた悪党が見事簀巻きされて転がされる事で、正義に沸く。

 最後に隠された証拠やら、しこたま貯めた真っ黒な財などを見つけ出すと、華麗に盗み去っていく。

 と、予告現場は、ファジーダイスの根本的な魅力を存分に堪能出来る見学スポットだという事だ。


「話によると、ファジーダイスファンは、誰もがここから始めるそうだ。噂や逸話といったものは、そのほとんどが、この現場から生まれているからね。一番の人気スポットである事に揺るぎはなく、また、現場を見なければファンは語れない、と彼女達は言っていたよ」


 予告現場の魅力について、そう締め括った所長は、ファン達に声援をかけられるようになったのも、それが原因だったと笑った。何度も現場に現れては、怪盗に挑み続ける所長。幾度となく倒されても向かっていく姿に、つい応援したくなったと言われたそうだ。そして気付けば、正式なライバルとしてファン達に認められていたのだと所長は語る。


「何とも、不思議な関係じゃのぅ」


 ミラは、ふと世間の声を思い出していた。義賊であるファジーダイスを捕まえようと追い続ける所長を、悪人達の味方だと噂する者達の声をだ。しかし、それに対して、ファジーダイスを心から応援するファン達は、そんな所長をライバルとして受け入れている。そして彼女達の口から、所長が悪人の味方をしているなどという言葉を一度も聞いた事はなかった。

 一般よりもファジーダイス寄りでありながら、ファン達の認識は逆転している。実に不思議な関係だ。そうミラは笑った。




「さて、次に教会だが。こちらは言ってみれば、ファジーダイスファンの中級者向けになる」


 かの怪盗の虜になった者は、まず最初の見学スポットとして予告現場を選ぶ。そしてそこで回数を重ね、現場で見られるファジーダイスの魅力を堪能し切ったところで、彼女達は次のステージに進むのだと所長は言った。

 所長がファジーダイスファン達から聞いた話によれば、どうやら現場で何回か見学している内に、彼女達の中で新しい感情が芽生えてくるそうだ。


「ふーむ……感情、のぅ……」


 存分にファジーダイスの活躍を見学出来る現場で芽生える感情。つまり、現場にはない何かが、教会にはあるという事。それはいったい何なのだろうか。そうミラが考えていたところ、所長は待ちきれないとばかりに、さっさと続きを話し始めた。


「それは教会という場所の特殊性に関係があるものだったよ」


 そんな前置きから始まった所長の説明によると、ファジーダイスは基本的に屋根伝いで移動するが、この教会前では地面に下りるのだという。それから正面の扉より堂々と教会に入っていくのだ。

 神の家の屋根には上らず、中に入っても決して飛び跳ねたりはしない。そして大司教に証拠品を手渡した後、そのまま再び正面の扉から出ていくというのが、教会で、かの怪盗が行う行動の一部始終だった。

 現場とは違って随分と大人しいものだと続けた所長は、なぜファジーダイスが、そのように大人しい行動をとるのかについて推理したらしい。するとそれは、ファン達の考えと同じだったという。

 所長とファン達が思う、ファジーダイスの教会での行動理由。それは単純に、神に対して敬意をはらっての行動だと所長は言った。


「とはいえ、地面に下りるようになったのは、かの怪盗が世に現れて三回目からなのだがね。いったい、どこでどういった心境の変化があったのか」


 もしかしたら、誰かに叱られたのかもしれないな、などと冗談めかして笑う所長は、だとしたら少しだけ親近感が持てそうだと呟いた。どうやら所長も過去に教会で何かやらかした事があるようだ。


「ふむ……なるほどのぅ。しかしそれとファン達が、どう関係するのじゃろう?」


 盗みという罪を犯す怪盗でありながら、神への敬意は忘れない。神という存在が偶像ではなく実在するこの世界において、それを象徴する教会で暴れたなら、本当に罰が当たりそうだ。

 だからこそ大人しいのだろう。ミラは、ファジーダイスの行動をそのように予想しながらも、はて、それが中級というファン達が集まる事に、どう影響しているのかと問う。

 信心深いファジーダイスと一緒に、礼拝したいとでもいうのだろうか。続けてそんな事を思ったミラだったが、所長が答えた理由は、もっと単純なものだった。

 ファジーダイスの仕事ぶりを十分に堪能し切ったファン達が次に望むもの。それは、より近くでファジーダイスを感じる事だと、所長は語った。

 予告現場では、たいてい屋敷の外や柵の隙間から眺める事になるため、ファジーダイス本人までの距離は相当に離れている。ゆえに何度も見て、その仕事ぶりにどっぷり惚れ込んだところで、遠くからしか見られない状況にもどかしくなり、じらされ感が一気に高まるというのが、ファン達の心理だそうだ。

 また、ファジーダイスは移動中、屋根から屋根へと飛び移っていくため、余程のファンでなければ付いてはいけない。また、屋根の上で待つ事は、家の持ち主への迷惑となり、それがファジーダイスの評判にも影響するとの理由で禁止と、ファン達の間で決まっているらしい。ただこれには、多少他の同志達への牽制もありそうだと所長は自身の推理を付け加え、うっすらと笑った。

 次に術士組合だが、ここでは屋根伝いで辿り着いた後、そのまま組合の内部へ侵入し、どこへともなく消え去るという流れとなる。屋根の上で遠いどころか、その姿を見ていられる時間まで短いため、じらされたファン達が満足出来るはずもない。

 そこで、注目されたのが教会だ。


「先程も言ったが、ファジーダイスはこの教会前で地面に下りる。つまり、かの怪盗が彼女達と同じ目線になるのだよ」


 所長いわく、過去の出来事から予告の当日は、教会の正面出入り口に規制線が張られるという。そして、その規制線の外側にファン達が集い、内側にファジーダイスが降り立つ形となる。

 最前列ならば、三メートルという近距離でファジーダイスを見る事が出来て、また場合によっては目が合う事もあるそうだ。

 ファン達にとっての、そんな夢のような時間は、ファジーダイスが教会に入る時と出る時の二回訪れる。そう、教会の中級ファン達は、それを期待して集まっているのだ。


(前にテレビで見た、あれに似ておるな……。出待ち、じゃったか)


 どこかずれ気味な事を思い出しながら、ミラはそういう理由なのかと納得するのだった。




「さて、先程は、じらされたファンが満足出来ないと言った術士組合前だが、見ての通り、ここにもファンは沢山詰めかけている。では、そんな彼女達の目的は何なのか」


 なるほどと感心するのはミラだけでなくニナ達もであり、所長はそんな四人の反応に、随分と調子が上がった様子だ。まるで推理でも披露するかのような面持ちで、ファン達から取材した情報を並べていく。それはもう、饒舌にだ。


「教会に集まった彼女達は、間近でファジーダイスを見て一喜一憂する。そして、それを何度か繰り返すうちに、また一つ、新しい感情が芽生えるそうだよ」


 初級のファンは、予告現場でファジーダイスの仕事ぶりに興奮する。中級になると、教会で近くまで寄れた事に喜ぶ。では次にファン達は何を求め、術士組合に行き着いたのか。

 所長はおもわせぶりに語った。組合前の彼女達は、全員がファン歴の長い上級者だと。そして、そんな彼女達が求めるものは、画竜点睛。つまり、華麗に消え去る、その見事過ぎな終幕を見届ける事だと。


「前に話した通り、ファジーダイスは証拠品にかけられた防犯の術式を不安定にして置いた後、大騒ぎの最中、ひっそりと消えるのがいつもの手口だ」


 術士組合内に人がいなければ、証拠を投げ込まれて終わる。あえて多くの人員を組合内に残し、相互確認出来るようにしておいた場合は、そこにいる全員に《幻身》を施し、誰が誰だかわからないようにされる。また、制圧するために武装した冒険者を用意した時は、組合が半壊する騒ぎとなり、とんだ賠償をさせられたと所長は溜め息を漏らした。

 そんな事がありつつも、今回用意した策は、ファジーダイスが現れた後、誰も動かない事だそうだ。動かなければ幻影を使ったとしても、その場から逃げようと動いた瞬間に正体が判明するという作戦である。

 と、そこまで説明した所長は、更に続けた。術士組合前に集まったファン達は、毎回趣向を凝らした作戦を実行する自分の策を、ファジーダイスがどのように攻略するのかを楽しみにしているのだと。

 来るとわかって準備したにもかかわらず、ファジーダイスの対応力がその上をいき、ファン達が沸く。所長は敵ながら見事だと苦笑しつつも、「とはいえ、今回は入念に準備したのでね。そう簡単にはいかないはずだ」と、実にギラギラとした挑戦的な光をその目に宿して、にやりと微笑んだ。






いよいよ今週ですね。モンハンワールド。

武器は何を鍛えていこうか、今から楽しみです。


それはそうと、先日セブンイレブンでシュークリームトエクレアを買ってきちゃいました。

お高いですが、とっても美味しかったです!


次は何を買ってみようかな……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 組合半壊って。 眠らせれば被害も少なかったのでは。FDさん? 探偵に対する嫌がらせかなぁ。 腹ごなしは消化する方なので、これから食べるなら腹ごしらえの方だと思います。 腹を熟す(こなす)⇔…
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